VOL.23
ROOTS OF THE FUTURE/FABRICE LIG(RAYGUN)
1.ESCAPE FROM NOWHERE  2.OPENING  
3.THRU YOUR SOUL  4.NOCTURNAL MELODY  
5.GALAPAGOS  6.PURE SOUND  7.4TUNES  
8.DOUX REVES  9.FROM START TO END  
10.SWING SWORDS  11.SHAME OUT  
12.THETRARCHY
*** 正統派デトロイトテクノ ***
先月の来日で素晴らしいDJプレイを魅せた、FABRICE LIGの最新アルバム。ドイツや北欧系のアーティストでデトロイトに影響を受けた人は多いけど、その殆どはあくまでデトロイトのエッセンスを漂わせた、言わば[デトロイト風]テクノを創っているに過ぎない。しかしこの人の創る音はそれとは異なる。それは正に純正の、正統派デトロイトテクノと言っていいだろう。少しハードなフロアチューン・ハウシーな歌モノ・ユルいトラック…色々と入っているけど、そのどれもがとても美しく、奥行きの広く深い音を奏でている。それは彼のDJを聴いた時にも感じたのだけど、まるでKEVIN SAUNDERSON御大の音にも通じるものがある。そこから独特の「黒さ」だけを取り除いた感じ、とでも言うべきか。
SHEATH/LFO(WARP)
1.BLOWN  2.MUM-MAN  3.MONKEYLIPS
4.SNOT  5.MOISTLY  6.UNAFRAID TO LINGER
7.SLEEPY CHICKEN  8.FREAK
9.MUMMY,I'VE HAD AN ACCIDENT...
10.NEVERTHELESS  11.PREMACY
12.MILLIONAIRE DOGS  13.BUTTERSLUT
(12・13は日本盤スペシャルトラック)
*** 復活のLFO ***
ビョーク等のプロデュースでも知られる、マークベルのソロユニットとなった[LFO]。その実に7年ぶりとなるアルバムがこれ。美しくもあり、ディープでもあり、また激しくもあるトラックの数々。しかし根底にあるのは、そのどれもが紛れも無く[テクノ]であると言う事実。ミニマルだエレクトロだと細分化していくテクノの世界。このアルバムのトラック達は、そんな細かいジャンル分けに捉われることなど無い、ある種テクノの原始と言ってもいい、そんな音を聴かせてくれるのだ。「何がテクノか?」「これこそがテクノだよ」− そして彼の来日はいよいよ来週末。今年のエレクトラグライドで一体どんなライブを魅せてくれるのか。いやがおうにも期待は高まるばかりだ。
AUDIO SPONGE 1/V.A.(DAISYWORLD)
・ELECTRIC COMPANY/I SHALL CHOICE MYSELF
・FOUR TET/SHE MOVES SHE  ・SKETCH SHOW/PLANKTON
・8 DOOGYMOTO/MINIMALISTICO  ・HARUOMI HOSONO/ATOM WALK
・MIHARU KOSHI/SONNETTE  ・WORLD STANDARD/FOREVER GREEN
・EATER/EATER  ・HUMAN AUDIO SPONGE/QUARTER DREAM
・AOKI TAKAMASA/I'M JUST A TINY DUST
・MIROQUE/COOKING,RING,RING
・CORNELIUS/BIRD WATCHING AT INNER FOREST 他全15曲
*** アドヴァンスド・ミュージック ***
デイジーワールドが提唱する、アドヴァンスド・ミュージック(次世代音楽)のコンピレーション。細野晴臣御大にスケッチショウを初めとして、国内外様々なアーティストによるトラックを全15曲収録。その音はいわゆるエレクトロニカ系のエッセンスを感じさせるものが多いのだけれど、歌モノがあったりブレイクビーツ風があったり、生ギターをフィーチャーしたトラックがあったりと多種多様。でも全体を通して感じるのは、まるで大自然の中でのんびりしている様な、何とも言えないリラクゼーション感覚。いわゆる[ヒーリング・ミュージック]的な雰囲気を強く漂わせているのだ。何もしたくない・どこへも行きたくない休みの日。ベッドに転がってのんびり聴くのがいい。
JAILHOUSE ROCKER/FRANK LORBER(COCOON)
1.INTRO  2.ELECTRIC SPARKLE  3.RADIATOREN
4.DOMINO  5.MIMIC  6.JAILHOUSE ROCKER
7.BLECHTROMMEL  8.SKY HIGH  
9.R U SITTING COMFORTABLY?
10.DISCO VOLANTE  11.MEDIZIN
12.TOMORROW STARTED
*** ダークなジャーマンテクノ ***
ドイツのDJ&アーティスト、FRANK LORBERのアルバム。JOHANNES HEILと共作でトラックを出していることで知られているけど、このアルバムにもJOHANNESが参加。その他にも、ANTHONY ROTHERにSIKORA、そしてW.JORG HENZEとなかなか濃いメンツがプロデューサとして顔を揃えている。さて、その音の方はと言うと、これがかなりダークでディープ・なおかつ硬派なジャーマンテクノ。アルバム全体に一貫してその路線を貫きつつも、フロアを意識したミニマルからエレクトロ・リスニング寄りな美し系トラックと、かなり変化に富んだ音創りをしていて飽きさせない。それはまるで一昔前のJOHANNES HEILを思わせる。最近この手の音はあまり見かけなかっただけに、かなり新鮮で嬉しい一枚。
OFFSHORE FUNK/HEIKO LAUX PRESENTS(KANZLERAMT)
1.DOPELAGGED  2.POPULATION  
3.STILL LIVELY(ALBUM MIX)
4.OFFSHORE JAZZ  5.SANTA MARIA(ALBUM MIX)
6.TAMARAMA  7.BEST OF ALL WORLDS
8.PALM COVE  9.DUDE LOCO
10.DIMINUENDO
*** HEIKO総帥新プロジェクト ***
HEIKO LAUXがジャズミュージシャンであるTEO SCHULTEとスタートさせたプロジェクト、それが今作のタイトルともなっている[OFFSHORE FUNK]。その音は、HEIKO氏お得意の流麗で分厚い上音のテクノを基調としつつも、今までに彼がリリースしてきたどの作品とも異なるものだ。デトロイトテクノ・そしてジャズの要素を随所に取り入れ、それをドイツ独特の硬質な音の雰囲気と融合させることによって、全く新しい世界観を産み出すことに成功している。10のトラックはどれも素晴らしく美しい。そして何より、このアルバムの締め方は秀逸だと思う。ラストに納められた[DIMINUENDO]が終わると同時に、どこまでも広がっていく空間音響。それは、あのYMO中期の名曲[CAMOUFLAGE]をも彷彿とさせる。