VOL.19
20000 LEAGUES UNDER THE SKIN/JOHANNES HEIL(KANZLERAMT)
・20000 LEAGUES UNDER THE SKIN
(PT.04/05/07/02/06/11/08/12/10/01) 全10曲
*** 新たなる境地へ… ***
これまでとはちょっと違った趣きを見せる、JOHANNES HEILの最新作。[20000 LEAGUES UNDER THE SKIN]と言う一つのタイトルの元、共通のイメージで創られた10のトラックは、そのどれもがとても美しく切なく、そして儚い。シンセサイザーで創り込まれた流麗なメロディーは、時には聴く者に語りかけるかの様に穏やかに、そして時には激しいリズムと共に攻め立てるかの如く押し寄せる…。決して明るくはならないその音、その独特の世界観。しかしそれは、これまでの作品で彼が魅せてきた[暗黒面]とは全く異なる新しいものだ。陰りのある音の中にも浮遊感と高揚感とを感じさせ、新たな境地へと辿り着くことに成功している…。そう、ここには今までに僕達の知らなかったJOHANNES HEILがいる。
LIQUIDISM/HEIKO LAUX(KANZLERAMT)
1.EARTHBOUNCING PT.1  2.TUNNELING
3.WINDOW SEAT  4.SPACE
5.JAM AT OLDSCHOOL ST. 
6.EARTHBOUNCING PT.2  7.ORGANISM  
8.LIQUIDISM PT.1  9.LIQUIDISM PT.2
*** 水墨画の様なテクノ ***
KANZLERAMTのレーベルオーナー、HEIKO LAUXが同レーベルより初めて出したアルバム。1998年のリリースながら、その作風は今の彼の作品にも通じるもの。デトロイト直系の流麗な上モノが生み出す独特の浮遊感、重た過ぎずに軽くなり過ぎもしない絶妙なリズムパターンのセンス…。彼の[現在の音]の全てのルーツがここに納められている。音数を少なめに曲を創り込んでいる為か、最近の作品と較べてどうしても地味な印象を受けてしまうのは否めない。確かに、この作品には[SENSEFICTION]の様な派手さもなければ、[ORNAMENTS]で見られる多種多彩さもないことは事実。でも逆に、それだけストイックな世界観を醸し出しているとも言える。まるで[水墨画]の様な独特の雰囲気をもったアルバム。
BERLIN NEW YORK CITY/ANDER GALLUZZI・JOHN SELWAY(DJ-SETS.COM)
・HEIKO LAUX/EVERY THOUGHT IS EVOLUTION PART1
・SENDER BERLIN/JR-500
・JOHN SELWAY/EDGE OF NOW(SECRET CINEMA REMIX)
・JOHANNES HEIL/20000 LEAGUES UNDER THE SKIN PT.1
・THE ATTACK PEOPLE/OPERATOR ・MARKO NASTIC/DEVIL IN MY PANTS
・RENATO COHEN/ABELHAS ・KOENIG CYLINDERS/99.9(SELWAY REMIX)
・KIKO&HUMAN BODY/TRAX MACHINE ・MATEO MURPHY/HALCYON DAYS
他全20曲(JOHN SELWAY SIDE) ANDER GALLUZZI SIDEは全14曲
*** ディープに個性派vsハードに盛り上げ系 ***
ますます好調、DJ-SETS.COMのミックス第6弾。ディープでダークな雰囲気が独特のANDER GALLUZZIの方もなかなか捨て難いのだけど、でも今回はとにかくDISC2のJOHN SELWAYがヤバ過ぎ。HEIKO LAUXの空間トラックにSENDER BERLINのダークなミニマルと言う組み合わせでスタートし、結構ディープな感じなのか?と思いきやハード、ハード!! ミニマルなトラック中心に自身の曲なんかも織り交ぜ、終始ハードにガツンガツンと攻め立てます。そのアゲっぷりはつい先日の来日プレイを彷彿とさせるかの様。でも、激しい中にもたまにディープに堕としてみたりと色々聴かせて飽きさせない展開。本当にこの人って音楽的な間口の広い人だよなぁ。そしてそれを裏付ける確かな技術力にただただ脱帽。
JOURNAL FOR PEOPLE/TAKAGI MASAKATSU(DAISYWORLD)
1.UTER 1  2.J.F.P.  3.UTER 2
4.PIANO  5.KETLE 1  6.KETLE 2  7.KETLE 3
8.WONDERLAND  9.BIRDLAND  10.AQUA
11.WALTZ  12.SALIDA DEL SOL  13.LIGHT SONG
*** 聴くモダンアート ***
映像作家としても知られる高木正勝の、日本デビューアルバムとなる作品。その音楽性は[音響系]や[エレクトロニカ]と呼ばれるジャンルに分類されるものだけど、でもいわゆるドイツテクノの流れを汲むそれとは全く違った音の創り方をしているのが面白い。信号波やノイズに頼ったコンピュータ一辺倒の音創りではなく、生音を中心にして音を組み立てていく。ギターやピアノの音をふんだんに使い、時には人の声までも…。それが全体としては何とも言えない、幻想的な雰囲気を生み出している。とてもアンビエントで聴きやすいのだけど、でもどこか前衛的な匂いも漂わせていて…。まるでモダンアートをそのまま音にしてしまったかの様だ。そのあたり、さすがは映像作家と言ったところか。
(NO TITLE)/LAZYFISH&MEWARK(K2O)
1.COMFORTABLE  2.POMAH C KAMHEM
3.TPAHC-TOPM03  4.I.O.S  5.RESTORUN
6.INCLUDE  7.ECTECTBEHHO
9.AHTEHHA  10.HEAVY MENTAL
11.MYASO-S  12.EVENTHERE  13.FLAONG
*** 優しい音 ***
モスクワのアーティストLAZYFISHとMEWARKの二人による共作アルバム。プチプチとかカチカチと聴こえる種々のノイズやパルス・クリックを背景に、フワフワ漂う電子音の上モノ。それは典型的なエレクトロニカの手法に忠実に乗っ取って創られたものだけど、でも何なんだろう、この音の優しさは…。澄み切ったメロディーの美しさには、ただただ聴き惚れてしまうばかり。そしてその美麗なトラックの数々は、聴く者を心の底から落ち着かせてゆったりとリラックスさせてくれる。そんなゆるやかな音の流れの中で、数曲だけ収録された[実験]色の濃いトラックが、心地良いスパイスとなって作品全体を美味く引き締めている。こんな音の世界もあっただなんて…ああ、時を忘れていつまでも浸っていたい。