− HEIKO LAUX[Waves Scratch live ! Tour 2007] −
 
 
2月16日。この日は僕の敬愛するKANZLERAMTの首領(ドン)HEIKO LAUXが来日する。前回来たのが確か一昨年の5月か6月位だったから、実に一年半ぶりか。
 
当然僕は参戦!!なのだけれど、実は大きな問題があった。と言うのも、全く情けない話なんだけどこの数日前に、自宅マンションの階段で滑り落ちて腰を強打して思いっきり痛めてしまったのだ。一時はそれこそ身動きすらままならない状態だった。なので最悪、痛みが退かない様ならばHEIKO総帥諦めるどころか病院に…なんて考えていたのだけれど、結局、当日になってみれば(まだ痛みはあるものの)動くことに不自由は無いと言うことで、なんとか無事に参戦。まあいわゆる荒療治ってヤツですか
 
 
当日、いつも通りに仕事を終え、一旦帰宅して23時くらいに家を出る。今日のハコは西麻布のYELLOW。ハコに着いたのは0時くらいだったか。
 
YELLOWは初めて来たのだけれど、なんだか造りがちょっと不思議な感じがした。メインフロアとラウンジフロアとが完全に分かれている。ラウンジの方はなんかちょっと洒落たレストランバーっぽい。メインフロアはまあまあの広さがある。
 
 
とりあえずビールを飲みつつ、独りぼんやり過ごす。HEIKO総帥の出番は2時からと言うことで、ビールを飲みながらハコの中をあちこち行ったり来たり。
 
本当は、HEIKO総帥がフロアやバーカウンターにいたりしないかな〜など思いつつぶらついていたのだけれど発見出来ず。実は一昨年の来日の時に一緒に写真を撮ってもらったりしてるので、それを渡そうと思って持って来ていたのだけど…(あと出会えればついでにサイン貰おうとCDも持ってきていた)
 
そうこうしているうちに時間は1時過ぎ。相変わらずぶらついているとitomoさんに遭遇。彼とは名古屋時代に知り合いになったのだけど、少し前に東京へ越してきたらしく、先週のCOLORSのイベントで再会したばかり。貴重な名古屋出身のメンツ。多分東京のイベントでは今後も度々遭遇するだろう。 
 
itomoさんと喋りつつも、またハコの中を徘徊する僕。でも結局HEIKO総帥の姿は発見できないまま、時間もいつの間にやら2時近く。あきらめて荷物をロッカーへ預け、薄着になってフロアへ突入。
 
 
前へ前へと進むうちに、結局最前列まで辿りついてしまった。ブース上を見上げると、そこにはHEIKO総帥の姿が。赤いTシャツにジーンズと言ういでたち。Tシャツの胸には勿論「KANZLERAMT」のロゴ(笑)
 
そして時間は2時。始まったHEIKO LAUXのプレイ。ミニマルなトラックを淡々と繋ぎ、じわりじわりとミックスしていく。ブースを覗き込むと、ターンテーブル3台にCDJ、エフェクターにノートPCと言う非常に大掛かりなセットが組まれている。ターンテーブル2台には常に同じレコードが置かれていて、それをリズムとして流しつつ、ノートPC(トラクターか何かのDJソフト)で曲を混ぜ、たまにもう1台のタンテにレコードを載せてミックスする、と言った具合。そしてエフェクターを多用して曲に変化を付けまくる!!
 
かける曲自体は地味目なミニマル主体に、じわじわと攻める感じのプレイ。HEIKO総帥のプレイって、自身のレーベルKANZLERAMTの曲をやたら多用して、空間的で繊細でデトロイティッシュな音ってイメージだったのだけど(実際一昨年のプレイはまさにそんな感じだった)今回のプレイは明らかに違う雰囲気。
 
ブース上のHEIKO総帥、意外にも煽る煽る。たまに曲調やブレイクに合わせて、ヘンな動きや表情をしてみせたりで茶目っ気たっぷり。創っている曲やレーベルのイメージとのギャップがおかしい。
 
僕は最前列にかぶりついていたのだけど、HEIKO総帥のヘンなダンス(?)に合わせて手を動かしたりしていたら何度かブース上から握手してもらえた。ラッキー。
 
 
まあそれは良かったのだけど、しかしこの時気になっていたのが、フロアの雰囲気の悪さ…と言うかあまりの客層の酷さ。音楽を楽しむのではなく、ただ悪ノリしてあたり構わず絡んだりふざけたりしている輩が多過ぎる。とりあえず最前列まで来てただやみくもに「アゲろ!!アゲろ!!」とわめく連中がいたのには本気で閉口。しかもそれを他人にまで強制して言わせようとするタチの悪さ。確かにこの時間帯のHEIKO総帥の音はかなり渋めな感じだったけど、でもそれは音の展開・流れの中のことで、アゲるところもあれば落とすところもある。そうやってDJは独自の世界を創り上げていくのだと言うのに。
 
でもこういう連中には、それが理解出来ないし、想像も出来ないんだろうな。悲しいことだけれど。
 
とりあえず。そんなにアゲアゲでノリだけの音が聴きたいと言うのなら。
 
 
自宅で独りで勝手に
 
33回転のレコードを45回転で聴いてろと。
 
そうすりゃきっとBPM300以上の超アゲアゲ(笑)
 
 
しかしWIRE行った時にも思ったのだけど、なんか最近、異様にノリの違う客が目立つ気がする。それは東京と言う土地のせいなのかもしれないし、集客の多いイベントだから必然的にそんな人間の数も多くなるだけなのかもしれない。…でも。もし。今の若い世代の一般的なノリがそれだとしたら…ああ。こうして歳を取った連中が、そのノリに付いていけずに段々とクラブから遠ざかってしまうのだろうか。そう言えば東京にも僕と同世代に近い位の知り合いが何人もいるハズなのに、最近クラブでほとんど見かけない。もう皆クラブ卒業してしまったのだろうか…。だとしたら僕も潮時、かもしれないな。
 
などと考え、少し凹む。 
 
 
まあでもめげずに最前列にへばりついて踊る。気が付くといつの間にやら時間は4時近く。でもHEIKO総帥のプレイは全く終わる様子が無い。普通は大体、ゲストDJのプレイは2時〜4時と言うのが多いのだけど、もしかしてまだまだ演る気なのか!?
 
しかし救いにも、この辺りからおかしなノリの連中がいなくなって、次第にフロアには純粋な音楽好きだけが残っている感じになってきた。そして、それに合わせてHEIKO総帥の音も俄然良くなってくる!! さっきまでは硬く渋めなミニマル展開だったのが、空間的な音を多用する様になってきた。
 
こうなってくると自然とフロアの雰囲気も良くなり、周りの全然知らない人間とも、曲のブレイクで手を叩きあったり、「この曲カッコ良いよね!?」と音に反応しあったり、どこか打ち解けたムードになってくる。これだよ…これが本来のクラブのあり方・楽しみ方なんだよなぁ…。
 
隣で踊っていた女の子が、ブース上のHEIKOのことを「オタクっぽい」とか言っていたのが笑えた。まあ確かに、あのメガネにあの髪型はなぁ…ドイツ人だからカッコ良く見えるけど、日本人がやってたらまあどっからどう見てもアキバ系か(笑)
 
逆隣ではitomoさんが全然知らない女の子達に抱きつかれたりされてて嬉しそうだった困惑していた。まあでもこんなのもアリだろう。
 
 
途中、HEIKO総帥がDJブースからスタッフと一緒に出てきた。曲は勿論かけっぱなし。「なんだ?」と思いきやそのままフロアから去ってしまう。…しばらくすると戻ってきた。ああトイレか(笑) まあずっと酒飲みながら回し続けているワケで、そりゃ出るもんも出るよなぁ。
 
でもこの時HEIKO総帥がかけっ放しにしていたトラックがカッコ良かった。[STAR DANCER]のリミックスか何かだと思う。多分。
 
 
 
 
ずっと踊り続けて気が付くといつの間にやらもう5時半を回っていた。しかしまだまだHEIKO総帥のプレイは終わる感じが無い…一体いつまで回す気なのか。
 
僕は残念だけれど、6時少し前にフロアを出ることにした。最後まで聴きたかった気もするけど、今日は昼から仕事なのだ。さすがにそろそろ帰らないと。腰も完治していないワケで無理は禁物。
 
 
結局、HEIKO総帥に写真を渡したりサインを貰ったりすることが出来なかったのがとても残念だった。出来れば一昨年の時みたく、少し喋ったりしたかったなぁ。
 
 
今回のHEIKO総帥の来日。途中までのフロアの雰囲気の悪さだとか、HEIKO総帥に接触出来なかったのが心残りだったりとか、色々あったせいで自分の中での満足度は正直イマイチだったかもしれない。
 
 
と言うか。あれ?? そう言えば。
 
 
今回カンツラかかってないんじゃ。
 
 
もしかしたらRAY KAJIOKAあたりの地味目のトラックはかかっていたのかもしれないけど、でもいかにもここのレーベルだって分かるKOWALSKIだとかDIEGOだとか全くかけてくれてないよ!!!
 
ああなんてこと…それが満足出来なかった最大の要因か(笑)
 
 
でもね、HEIKOさんのプレイ、今回みたいな硬いミニマルもいいと思うんだけど、でもやっぱりこの人には一昨年の時みたく、KANZLERAMTかけまくって欲しいなぁ。なんて、そう思っちゃったりするワケですよ。ファンとしてはね。ハイ。