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− FABRICE LIVE@AIR −
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7月22日(金)。ついこないだのJORISの興奮もまだ冷めやらぬ中、今日もまたクラブへと足を運ぶ。ここまで短いスパンでクラブ行くのなんて本当に久々だ(笑)
今日の目的はFABRICE LIG。ベルギーの人なんだけれど熱い、「本物の」デトロイトテクノを聴かせてくれる素晴らしいアーティストだ。僕は彼のDJは過去に2度体験している。
が、今回はなんと、DJではなく「ライブ」アーティストとしての来日。これは貴重だ。ぜひとも体験しておくべきだろう。
当日、仕事を終えて帰宅し、23時過ぎに家を出る。途中で夕食を食べたりしつつ渋谷に0時頃到着。そしてハコへと向かう。今日イベントが行われるのは[AIR]と言うハコ。代官山の方にあるハコで、渋谷駅から線路伝いに歩いて向かう。
途中少し道に迷ったりもしたもののなんとか到着。ハコの入り口付近には結構な数の人が並んでいる。もしや今日のイベント…すごく混んでいるのでは…。ちょっと嫌な予感が頭をよぎる。あまりに人が入っていないイベントも盛り上がらなくて嫌だけれど、でも混み混みのイベントはもっと嫌だ。
ハコに入っていくと…う〜ん…。嫌な予感的中か。確かに人がかなり多い。まあそりゃ週末のイベントともなれば当然か。それにFABRICE以外のメンツで出るのがケンイシイ。いわゆる「超」有名人なワケだから人が沢山入っていても仕方が無いと言えばそうか。
[AIR]は結構…と言うかかなり大きなハコ。そしてちょっと造りが変わっている。ハコに入るとまずバーやクロークなんかがあって、フロアはその下。そして吹き抜けになっているのでフロアを見下ろせる。見るとフロア内はそんなに激混みと言うワケでもなく、結構空いているスペースもあって踊る分には不自由なさそうだ。少し安心する。
とりあえず荷物をロッカーに預けようとするがここでちょっとトラブル。お金を入れたのにロッカーのカギがかからない。ハコのスタッフを呼んで何とか事なきを得るもののちょっとテンション下がる。
気を取り直そうと独りビールを飲んでぼんやりとする。と、ふと見るとフロアを見下ろしている人の中に、見覚えのある、メガネをかけた一見マジメそうな外人の姿を発見。
「あれ…もしや…FABRICE LIG…?」
恐る恐る近づき、とりあえずその隣にいたスタッフと思しき?人に声をかけてみるとやはりそうだった。FABRICEに話しかけると、以前の来日時に話しかけた時と同様、笑顔で気さくに答えてくれた。僕はとりあえず「I
MET YOU…TWO TIMES…AT NAGOYA&TOKYO…」とか何とか言うのが精一杯。通じていたのかどうかも不明。全く以って情けない。FABRICEの方にも、僕が以前にも声をかけたことがあると言うのも上手く伝わらなかった様な…。忘れられてしまったか。残念。
でもFABRICE、「今日は来てくれてありがとう」みたいなことを言って握手とかもしてくれた。「ありがとう」だなんて…それはむしろこっちのセリフなのに。こっちは単にファンでプレイを観たいから来ただけなのに。なんか嬉しい。やっぱりこの人はイイ人だ。
FABRICEに声もかけれたので僕は再び独りビールを飲む。下のフロアで回しているのは誰かよく分からないが結構アゲ目でハデ目の音がかかっている。こないだのJORISのパーティでは全体的に渋めの音が多かったのでそれと較べると全然違った感じ。と言うかハデなテクノって久々に聴くなぁ。
時計を見ると1時位。と、いつの間にかFABRICEの姿がいなくなっている。そろそろプレイ開始か。僕も慌ててフロアへ降りていく。
フロアの後ろの方から入る。結構混んでいる様に見えたが、前の方まで行くと案外スペースが空いていて僕は最前列をゲット。ブースのまん前ど真ん中だ。FABRICEのライブはここで張り付いて観るとしよう。
ブース上に姿を現したFABRICE。色々機材を調節したりしている。だが機材の調子が思わしくないのか。ケーブルや色々な部品をライトで照らしてみたり、ハコのスタッフに何やら話していたり…。そしてしばらくするとブースから出て行ってしまった。
約10分後。再びブース上に現れたFABRICE。時間は1時半近く。そして前のDJの音が止み、いよいよ彼のライブが始まる。
最初にかけたのがデトロイトテクノ特有の、そして彼独特の、空間的なシンセストリングスの印象的な美しいトラックだった。その音に湧き上がるフロア。DJではデトロイトな選曲でソウルフルなプレイを魅せてくれるFABRICEだが、今日のこのライブでもデトロイトの魂溢れる、素晴らしいものを魅せてくれるのだろう−最初の一曲だけで充分にそう思わされた。
続いて2曲目。これはエレキオルガン系のソロの入ったトラック。と、ブースを見るとな、なんと!!
FABRICEキーボードを手弾きしている。
そう。そうなのだ。ブースには小さなシンセサイザーの様な機材が置かれていて、FABRICE、それをまるでピアノでも弾くかの様に直に手で弾いているのだ。これには驚かされた。
最近はテクノのライブなんて言うとノートPC使って淡々とトラックを流すと言うスタイルが多いのだけれどこの人は全く違っている。4、5台もの機材をブースに置き、それらをこまめにいじって曲をかけ、かかったトラックに色々エフェクトをかけていくと言う、ある意味最もライブらしいライブスタイル。そしてそこにキーボードの手弾きまでやるとは…。最近流行りのノートPCでやるライブに較べて、とても「アナログ」な感じがしてそれがとてもいい。
こうして3曲か4曲やっただろうか。そこで入ってきたのがよく聴き覚えのあるメロディー。ストリングス系の優しい音色と旋律。ま、まさかこれは!!
[MY 4 STARS]キタァァァ−ーーッ!!!!!
KANZLERAMTからリリースしたアルバムのタイトルにもなっているこの曲。FABRICEの代表曲とも言えるこのトラック。何かのインタビューで読んだけど、タイトルの[MY
4 STARS]と言うのはFABRICEの家族のことを表しているのだとか。だから彼自身もきっとお気に入りの曲なんだろう。そしてフロアの反応も凄い。
まだライブ序盤だと言うのにもの凄い盛り上がりを見せ、その勢いは止まらない。ブース上のFABRICEもときたま手を振り上げたりして煽る、煽る。やっぱりこの人、思ったとおりDJだけでなくライブでも凄くソウルフルだ。
と何曲かかかった後でまた聴き覚えのある音。独特のベースライン。これも確かKANZLERAMTからのリリースのハズ…と言うか[MY
4 STARS]に入っている曲だ!!
[GOLDEN INSTANTS]キタァァァ−ーーッ!!!
ブンブン唸るベースラインがとても印象的なこのトラック。先にかかった[MY 4
STARS]ほどの破壊力は無いにしても渋くていい。と言うかもう、僕的には何がかかっても盛り上がる!!
…いやそれは僕だけじゃあない。フロア全体見たってそう。特に最前列付近で踊っている何人かはFABRICEのファンなのか。曲に対する反応もいいし、踊りっぷりもいい。そんな人達と曲のブレイクでは手を合わせてみたりして一緒に盛り上がる(全員知らない人達ばっかだけど)
凄い盛り上がりを魅せつつライブももう終盤戦。途中、またキーボードの手弾きなんかも魅せる。
と、ここで突如として轟音にも近い位の、もの凄い音圧で入ってきた、ラテンパーカッション!! 印象的で独特な−あまりにも独特過ぎるこのパーカッションのリズム!! そう、アレがとうとう来た!! 来ちゃいましたよアレが!!!!
[LOS PICAROOOOOS]!!!!!
そう。[LOS PICAROS]かかったのだ。まあこれか[UNIVERSAL TECH]のどちらかはかけてくれるんじゃないかと期待はしていたもののまさか本当にかかるとは。そしてこの曲、もの凄く好きなのだ。このサイトであげているミックスにも使ってしまった位、大好きなトラックなのだ。これかかっちゃったことで僕の興奮度が一気に最大値までアガってしまったコトはもう言うまでもない。
[LOS PICAROS]はイントロのリズム部分を結構引っ張る。そろそろメロディー入るかと思いきやなかなか入れずにじらすじらす。でもこのリズムが凄くいいのだ。ラテンパーカッションのリズムを音圧効かせてかけることでまるでノリノリなサンバの様に聞こえてくる。フロアも大熱狂で、みんな激しくガシガシ踊っている。もちろん僕も。
そして散々引っ張った後で入ってきた独特のベースライン。ケヴィンサンダーソンだとかあっち系の唸る様なベースライン。そんなもろデトロイトな音とラテンパーカスのリズムとが組み合わさったことで何とも言えない独特の世界を創ってしまっているこのトラック。やっぱりいい。素晴らしい。
途中、男性ボイスの入るブレイク。そして後半の盛り上がり。メロディーラインではまた、手弾きでキーボードを弾いてみせる。こうして大盛り上がりのまま、[LOS
PICAROS]は終了。次のトラックへとつなぐ。
[LOS PICAROS]最後のエレピソロ部分が無かったのはちょっと残念だけど(笑)、でもこれだけガシガシ踊らせてくれたのなら文句は言うまい。
そして更に2曲位かけてFABRICE LIGのライブは終了。彼に惜しみなく声をかける客。それに応える彼。最前列の人達には握手もしてくれた。もちろん僕にも。
本当に素晴らしいライブだったと思う。まさにデトロイトの魂がこもった、そんな熱気のあるライブ。
こないだ観たJORIS VOORNにしろ僕の好きなKANZLERAMTのアーティスト(DIEGOやHEIKOやKOWALSKI)にしろ、デトロイトの影響を受けているアーティストって多いと思う。彼らは皆、デトロイトテクノを自分の中で昇華して、デトロイトのエッセンスを漂わせつつもそれとは異なった音に仕上げている。
が、このFABRICE LIGは違う。ストレートにデトロイト直系な音を聴かせてくれる稀有なアーティストだと思う。ヨーロッパの人でありながら、ある意味、本場デトロイト以上にデトロイトなサウンドを創っている人だと思う。このライブを観てますますその思いは強くなった。
FABRICEのライブで満足したので(更に踊り疲れたので)、フロアを出てビールを飲みつつ独りまったりと過ごす。今はフロアではケンイシイが回しているハズ。
TECHNASIAの[FORCE]なんかかかってちょっと懐かしくもなる。他にもFUNK D'VOIDの[DIABLA]とかかかってベタなんだけど好きな感じだった。余力があれば踊りたかったところだけれど疲れた。と言うよりフロアが混み過ぎてて入る気にもなれない。
以前も何かのパーティで感じたのだけれど、1人だとこうしている時間にどうしてもやはり孤独と言うか一種の疎外感を感じてしまう。特に大きなハコや混み合ったイベントだと余計にそれを感じる。
較べるとこないだのJORISの時は、1人で行ったにも関わらずそれを感じなかった。やはりあのパーティは場に独特の「一体感」みたいのが生まれてて、それが心地良く感じさせてくれたんだろう。
まあ僕がもう少し社交的に知らない相手とかでも気軽に話しかけていける様な人間ならば、また違ってくるんだろうけど。
そんなことを考えながら酒を飲み、3時過ぎにハコを出てタクシーで帰る。ハコ滞在時間3時間ほど。実際にきちんと観たのはFABRICE
LIGのライブのみ。本当に観たいアーティストだけを全力で楽しみ、それが終われば始発前にサッと帰る。ある意味とても贅沢な遊び方だと思う(笑) まあでもこんなのもアリだろう。
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