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WIRE03 2003/08/30@埼玉スーパーアリーナ |
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23:40 BROTHER'S YARD〜そして休憩
フロアに立ったのは、ピーター・ダンドゥブのソロプロジェクト、ブラザーズ・ヤード。真面目そうな兄ちゃんと言う感じだ。そしてその見た目の雰囲気通り、真面目に音を創っていくライブと言う感じだった。同じライブでも、さっき観たクリストファーのとは全然違う。黙々と機材に向きあい、音を、リズムを、トラックを創り上げていく。音はツール風なミニマルと言う感じ。
15分ほど聴きながら黙々と踊っていたけど、段々疲れがたまってきたのでここで休憩を取ることにする。お腹も空いてきていたので、ロビーへと出る。今年も色々な屋台が出ていた。アジア風の屋台が多い。タイ風にベトナム風。何か消化の良さそうなものを食べたいと思い、ベトナム麺を食べる。パクチーを入れてもらって、更に唐辛子をたっぷりとかけてみれば、もう完全に東南アジアの味。て、こんだけ唐辛子入れてしまったら、消化も何もあったもんじゃないなぁ(笑)
ロビーをぶらぶら歩いていたら、再びtackさん発見。そして隣に座っていた石井さんを紹介してもらってしばらく喋る。WIRE、名古屋は誰が来ているのか、とかどうやって来たか、とか色々。
今度はロビーに、神奈川のエリちゃんの姿を見つける!! 今日初めての遭遇!! 隣にナガイ君もいた。神奈川クルーのnaoさんもいて、紹介してもらう。そしてしばらくこの4人でブラブラ過ごす。途中で、てん君にも会った。何だかんだで結構知り合いにも色々会えて嬉しい。
ここで、再びセカンドに戻ることに。と言っても音を聴きに…と言うよりは飲みに(笑) 全員、ビール以外のアルコールが飲みたい!!という意見にまとまったのだけど、カクテル系はセカンドの方でしか売って無い様なのだ。そしてセカンドフロアの売店で、僕はジントニックを購入。ちょっと甘味が強いかな?と思ったけど、なかなかイケる。
セカンドでは田中フミヤが回していた。相変わらずの激シブミニマル。この人のも凄くパーカッシヴなんだけど、でもさっきのポール・マックのトライバルなのとはちょっと雰囲気が違うんだよな。何て言うのか、もっと深くて重いって言うのか。
と、突然そこへ、綺麗な上モノが印象的な、それでいてジャズ風味なトラックがかかる。それまで後ろでフラフラ踊っていただけだったのに、この曲があまりに気持ちよかったのでつい前の方まで行ってしまった。後で聞いた話ではこの曲、最近のフミヤさんアンセムらしいとのこと。
そしてしばらくして、フミヤさんのDJは終了。次のオルター・イーゴのライブに備えて、みんなで最前列付近まで移動する。
02:50 ALTER EGO
ライブブースに立ったのは、気難しそうな坊主頭と、神経質そうなメガネの二人組。このオルター・イーゴと言うユニットに関しては僕は、数年前のヒット曲[BETTY
FORD]はかなりハードでピークタイムアンセムなミニマルトラックだけど、後は割とディープでゆるい音を出していると言うイメージを持っていた。事実、この[BETTY
FORD]が入っているEPも、ハードなのはこの一曲だけで、後の曲は裏も表も全てディープミニマルなトラックばかり。
だから、今日のライブもきっとじわじわとディープな世界を展開して行き、そして最後に[BETTY
FORD]。そんな構成で来るのだろう、と思っていた。…ところが、だ。ライブが始まるや否や、いきなりハードな音とハードなリズムの応酬!! これには驚かされた。全然予想していたのと違う。でも…凄くイイ!! 凄くイイのだ。フロアの反応も凄い。ライブ始まって三分もしないうちに、完全にフロアはライブの雰囲気に飲まれていたんじゃないだろうか。
結構聴いたことある様な曲もかかる。あ、これもこの人達の曲だったんだ…。そんな感じで驚く。思ったよりも色々と、フロア向けなトラック創ってるんだなぁ。
と、辺りを見渡すとてつを君とかカズヒコさんとか、名古屋組がいつの間にかまた集まってきていたのに驚いた。今メインで回しているのはルーク・スレータのハズ。正直、皆がルークよりもこっちを選んできていたのは意外だった。でも、これだけの音を出しているライブならばそれも納得。
名古屋メンツだけじゃない。実際、周りをみるとかなりの人間がフロアに集まってきている。オルター・イーゴというユニットがこれだけの注目を集めていると言うことに驚いた。いや、やっぱり皆この音に魅き付けられてきたんだろう。
ハードなトラックを次から次へと混ぜて繰り出し、フロアの熱狂が最高に高まってきたところで…とうとう来た。大本命の[BETTY
FORD]。この音の入り方もまた凄くカッコいい。その前にかかっていたトラックからそのままノンストップで、あの独特のパーカッションとリズムが被さってくる。そして曲の頭にくる、あのブレイク−。
この曲は、かなり長い時間かけていた。でも、単調にただ曲をかけるのではない。間に、他のトラックのパーツらしいものを少しずつ混ぜてみせたりで、音に変化をつけて聴く者を決して飽きさせない。ヒットしたトラックだからこそ、単純ではない聴かせ方で、レコードやCDで聴くのとはまた一味も二味も違った楽しませ方をする。これこそ、本当のライブなんだろうと思った。
オルター・イーゴのライブ。予想以上に、と言うか予想外に素晴らしいライブだった。まさにこの日一番のダークホース的存在だったと言ってイイだろう。きっとこの日のベストアクトに挙げる人も多いんじゃないかと思う。僕も、自分がこの日に聴いたライブでは(と言っても、ライブは三組しか観てないのだけど)ベストだと思った。
02:30 CHRIS LIEBING
続くクリス・リービングのDJ。とりあえずさっきのオルター・イーゴのライブで完全燃焼してしまったのでここで軽く休憩。セカンドフロア内の売店でビールを買って、座って飲む。と、ビールを少し飲んだところでまた小腹が空いてきたことに気付き、売店でポテトチップスを買って、ビールと一緒に味わう。そして座ってボーっと聴くクリスのDJ。
この人のは、勿論ハードミニマルはハードミニマルなんだけど、でもポールみたいなトライバルなのとは全然違う。何て言うのか、もっと「テクノ」と言う言葉のイメージにしっくりと来るミニマルだ。機械的だったり金属的だったりする音が多めと言うのか。アーティストで言えば、SPEEDY
Jとかが創ってそうな、そんなトラックが多めにかかっている気がする。
しばらく座って休んでいたら疲れが取れてきたので、参戦することに。一気に人の間を縫って、そして最前列へ突入。ブースを見ると、クリス。タンテだけじゃなく、ノートPCも持ち込んでいる。なるほど、タンテにPCも併用したプレイをしているワケだ。
そして、観ているとこの人、ず〜っと終始笑顔なのだ。プレイ中ずっと、真っ白な歯を出して、何とも言えない笑顔でとても嬉しそうにプレイしている。これは意外だった。フライヤーの写真なんか見る限りでは、気難しいおっちゃんみたく見えてたのに…。だから、ただひたすら黙々と、しかめっ面でDJする人なんだと思っていた。事実、ハードミニマル系にはそういう人が多いし。
でも違う。本当に何とも言えない愛嬌のある笑顔でプレイしている。例えて言えば、ウェストバムとかみたいな、あんな感じのある種「可愛い」憎めないキャラクター。でもおかげで、観てるこっちまでテンションあがってくる。やっぱり、プレイしている本人が楽しそうにしているとこっちまで楽しくなって来るんだよなぁ。かかってるトラックは、妥協のないハードミニマル。それが凄腕のDJで、寸分の違い無く次から次へとミックスされて繰り出されていく。でも、そんなストイックなミニマルがかかってるのに、何とも言えなくただひたすら「楽しい」のだ。
ハードミニマルを聴いて踊るのは勿論楽しいのだけど、でもそこにはひたすら(プレイする方も踊る方も)自分一人の世界にこもって黙々と音を聴く。ある種自虐的とも言える、そんなイメージがあったのだけど、でもクリスのプレイのは違う。音はハードミニマルなのに、大アンセム連発の時の様な、そんなお祭り的な雰囲気の楽しさに溢れているのだ。フロアを観ても、実にみんなイイ笑顔で踊っている。この時、裏のルークのプレイの方へ行ってしまったのか、知り合いは周りに誰もいなくなっていたのだけれど、でもそんなのはどうでもイイ。周りは皆知らない人ばかりなのに、でもその場の雰囲気を共有出来ている様な、何か不思議な一体感の様なものを感じて踊る。音を聴く。
時間が深くなるにつれ、クリスのプレイは更にハイテンションに。とにかく煽る煽る。ブースの上で踊る踊る。そしてとうとう…ブースを飛び出してきてしまった!! ブースから飛び降り、奥へ行ったかと思えば水のペットボトルを手に持って再び出て来る。そしてフロアー最前列へやって来て、前で踊っている客に水をかけながら走り回る!! 僕も勿論水をかけられる!! 踊って汗だくになっているから、頭から水をかぶるのが凄く気持ちがイイ。
更に、クリスのプレイ中、マネージャの人と思われる人が何度かブースから降りてきて、これまた最前列を走り回っては写真をバシバシ撮ったり、ステッカーやポスターを最前列で踊っている客に手渡しでプレゼントしたりしていた。僕も勿論もらった。しかもステッカーもポスターも両方!! でも、何度も何度も降りてきてはプレゼントしてたから、最前列で踊っていた人はほとんど皆貰ったに違いない。
なんてサービス精神旺盛な人なんだろう…。そう思っていたら、ブースの後ろから坊主頭の巨漢が!! え…もしかしてバムやん!! そう。なんとウェストバムが飛び入り…。ブースから飛び出て踊りまくるクリスの代わりにブースに立ってみたり…。勿論、回すことは無かったけど、でもスクラッチのマネだけしてみたり。そして終いには、クリスとバム。二人で突然の寸劇。これには大爆笑!! 思えば、こういうパーティでプレイ観ながらこんだけ笑ったのって、WIRE00のゾンビネーションのライブ以来だなぁ。
プレイ最後半には、DJ RUSHの[GET ON UP]。最近出た(らしい)、ロングヴァージョン。曲の終わりがず〜っと声モノのループになっている。もうこの時なんて、トラックかけっぱなしにしたまま、プレイそっちのけでブースから出て来てはしゃぎまくるクリス。それを観てるだけでも本当に楽しい。
終始、楽しい気分のまま、あっと言う間に終わってしまったクリスのプレイ。本当にめちゃめちゃ楽しかった。最初は、「クリスのプレイがイマイチだったら、メインのテクネジアのライブでも…」とか思っていたのだけれど、そんな考えはいつの間にかどっかに吹き飛んでしまっていた。ハードミニマルのDJで、これだけ踊ってて「楽しい」と感じたのは初めてだった。知ってる曲なんて、[GET
ON UP]以外はほとんどかかっていなかったのにも関わらず、だ。もう、間違い無く今回のベストアクト!!
プレイが終わって、ブースから出てきて深くお辞儀をするクリス。フロアーの誰もが、惜しみない拍手を送り、声援を送る。僕もつい、「クリスー!! 素敵!!」とか叫んでしまった(笑) でも本当に素敵だった。ありがとう、本当にありがとうクリス!! アンタ最高だよ!!
04:20 TOBY
ブースに立ったのは、本日セカンドフロアのトリを飾るトビー。トビーさん、髪が短髪の銀髪みたいになってて、写真とかで見てたのとは少しイメージが違う。
と、ブースにもうトビーさんスタンバイしてるのにも関わらず、クリスがまだやり足りなかったのかウロウロしている。機材(PCとか)片付けつつ、笑ってポーズとってみたり(笑)
さて、僕はまたもクリスで完全燃焼したので、とりあえず少しだけ休憩。ビールを飲んでまた座る。やっぱり、無理なく踊り続ける為には、こまめな栄養(ガソリン)補給って必要だよな。
そして、ビール飲んで少しまったりして、またフロアへ。再び最前列へと向かう。ほとんどの人がメインのジェフを聴きに行ってしまったのか、フロアはかなり空いている。でもこれ位の方が踊りやすくて僕には嬉しい。最前列で、手すりにつかまったりしながら、音に合わせて体をゆらゆら揺らす。
トビーさんのプレイは、実は個人的には結構楽しみだったのだ。この人のは、DJ-MIXは何枚かCD持ってて、どれも選曲やミックスがツボなのだけど、まだ生では観たことが無かったのだ。
そのプレイは、ミニマル中心なんだけど、さっきのクリスみたいなハードでは無い感じ。結構、上音の綺麗なトラックが多め。そこにたまにジャーマントランス風なのや、ハウシーな曲なんかも混ざる。BPMも遅過ぎず早過ぎずにちょうどいい位。これまで一晩散々踊り明かして、疲れた体にはこれ位がとても心地いい。音が体中に染み渡る。
ブースのトビーさん。何とも嬉しそうな表情でプレイしている。この人って、思えばWIRE99ではトップバッターを勤め、その後は前夜祭をずっと担当して、WIREというパーティにはずっと何らかの関わりを持って来た人だけど、それが5周年と言う節目でトリを飾れると言うのは、やっぱりその嬉しさもひとしおなんだろうなぁ。
その嬉しさが、踊ってるこっちにも伝わってきて、何とも言えない幸せな気持ちになってくる。さっきのクリスもそうだったけど、プレイしている本人が嬉しそう・気持ちよさそうなのはやっぱりいい。
踊りながらふと上を見上げると、天井が真っ白になっている。ここでやっと気が付いたのだけど、セカンドフロアーの、DJブースの真上は天井がガラス張りになっているみたいなのだ。今まではずっと、漆黒の闇夜に彩られていた天井が、朝焼けの白さに変わっている。それがとても印象的だった。
そしてトビーさんのプレイ、ラストにかけたのは何と、僕の大好きなALEXANDER
KOWALSKIだった!! 彼のニューアルバム収録曲にして表題曲の[RESPONSE]。思わず大声で「来たぁ〜〜〜!!!!」と叫んでしまう僕。勿論この曲でこんなに過剰反応しているヤツなんて、僕以外には誰もいない(笑) でもイイのだ。まさか最後の最後で、この曲聴けるなんて…。今年のWIRE、来て本当に良かった。トビーさんの幸福感たっぷりのプレイ。その中でも、最も幸せな気分になれた瞬間だった。
05:45 TOBY(アンコール)
さて、時計を見ると5時45分かそこら。まだきっと終わらない。そう思って会場の誰もがトビーコール。するとトビーさん、一枚レコードを取り出し、かける。何やら綺麗な歌モノの曲だった。それでもまだまだ足りない。再びせがむフロアー。そしてトビーさんは、それから二枚のレコをかけてくれた。どっちも聴いたことのないトラックだったけど、リズム主体のテクノトラック。
そしてこのアンコール中、トビーさんもかなりハジけてたのか、ブースから出てきてハシャぎまくり。踊りまくっていた。寝そべってヘンなポーズを取ってみたり。
そしてこの時、最前列で一緒に踊ってたチヒロちゃんと何度もトビーコールしていたら、とうとうトビーさん、フロアー最前列の前まで降りてきてくれた。そして、最前列の客達と手をタッチして走り回る!! やっぱ何でも言ってみるもんだなぁ(笑)
客がDJに声をかけ、DJがそれに応えてくれて、両方で一層楽しく盛り上がる。クリスの時に続いて、この時も凄くいい、フロアの一体感みたいなの、出来てたと思う。でもこの時、ブースのトビーさんが盛り上がれば盛り上がる程、ブース下で待機している黒人セキュリティの顔が引きつっていってるのが見てて面白かった。まあそりゃ、彼らにしてみりゃ仕事終わるのが遅くなるってコトだもんなぁ。きっと。
結局、終わった時にはもう6時をまわっていた。個人的には、今まで参加したWIREの中で、ラストの方の雰囲気は一番好きだった。
終わってみて、メインフロアをちらっと覗いてみると、こっちもちょうど、ジェフがラストの曲をかけ終わったところの様だった。
EPILOGUE
今回のWIRE。正直言って、参加までのテンションは今までで一番低かったと思う。元々、出演者にあまり興味のあるアーティストがいないと言うのがあったし、WIREを迎えるまでの間に色々と、落ち込む様な出来事が多かった。大好きだったアーティスト、CHRISTIAN
MORGENSTERNの死。そしてそれに伴うHEIKO LAUXの来日中止…。そんなのがあってもう、パーティとか、クラブで遊ぶこと自体がどうでも良くなったりもしていた。(事実、WIREの前に行ったパーティは、6月初めに奈良であった[neu]が最後なのだ。実に三ヶ月近くもパーティに行ってなかったことになる)
そんな中で迎えた今年のWIRE。凄くどうでもいい個人的なことなのだけど、直前に一人旅に出かけたりしたせいでテクノに対する熱自体も低くなってしまい(どうもテクノ以外の趣味に走った後はテクノ熱が下がってしまうみたい)、更に直前になっての出演者変更。唯一興味を持っていたアーティストJAY
DENHAMが来ないと聞き、また一段と下がるテンション。「行くのやめるか?」そんな問いかけを前日まで心の中で繰り返しながらも結局参加した今回のWIRE。果たしてどうなるか…と思ったのだけれど、しかし!! 蓋を開けてみれば今まで以上にはしゃいでいる自分がいた。少なくとも、去年のWIREの1.8倍(当社比)は楽しんでいたんじゃないかと思う。去年は、途中のルークのライブ位で力が尽きてしまい、ラストのバムの時なんて実は半分寝ながら踊っていたのだけど(笑)、でも今年はそれが無かった。最後までいいペースで踊り続けることが出来た。結果的には、セカンドフロアしか観なかったことになるのだけど、それでも充分すぎるほどに満足して楽しむことが出来たと思う。
来年もまたWIREに行くのかどうか。それはまだ今の時点では何ともわからない。出演アーティスト次第では不参加とか、そんなのもあるかもしれない。でもやっぱり、こんな楽しい気持ちになれるのなら、なるべく行きたい。だって、年に一回の、せっかくの「お祭り」なのだから!!
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