DJ SLIP@大阪難波ロケッツ
 
このコーナーも、最近ネタがあまりないので(汗)もうやめようかと思ってたのですが、昨日のDJ SLIPがあまりにヤバかったので書くことにします。
 
 
2/22(金)の午前中、僕は家を出て大阪へと向った。理由は一つ。この日ロケッツに来るDJ SLIPを見る為だ。なぜこの人を見たいのか? 理由は単純。この人が僕の大好きなレーベル[KANZLERAMT]からもトラックをリリースしているからだ。去年はKANZLERAMTのオーナー、HEIKO LAUXが二回も来日したと言うのに、諸事情で両方見逃してしまった。もうそんな悔しい思いをするのはイヤだ。だから今後は、ここのレーベル絡みの人が来日すれば、例えそれが誰であろうと、どこでプレイしようと、何を置いても絶対に見に行くことに決めたのだ。
 
さて、大阪には3時ごろに到着。とりあえずはレコード屋を巡ることとする。生来の方向音痴が災いしてなかなかアメリカ村に着けないなどのトラブルもあったものの(汗)、なんとかリヴァーサイドとシスコ2店を回って色々とゲット。リヴァーサイドではDIEGOのアナログとヨハネスヘイルのアナログ、それにあちこち探していたカンツラ関係のCDを2枚も見つけて購入。シスコではこれまたカンツラ絡みのアナログを7枚(!!)と、CDを2枚手に入れる。…しかし、一体なんなのだ!? この大阪の異様なまでのカンツラの品揃えの良さは!!?? 名古屋には絶対無いようなものが色々と見つかってしまう…。CDに関して言えば、名古屋で探し回っていたものが、大阪ではタワレコに山積みになってさえいたぞ…。もっと頑張ってくださいよ名古屋(心の叫び)
 
一通りまわってその後、夕方になって再度リヴァーサイドへ。すると店員さんから「たった今スリップ来てましたよ」 な、何…!? しまった。まさかここへ来ていたとは…惜しい、ニアミス。そしてSLIP、なんでも2枚アナログを置いていったとのこと。見せてもらうと一枚はアーティスト不明だが、もう一枚はDIEGO。しかも、KANZLERAMTからではなく別のレーベルからのリリース。…どうもレアモノ臭い。というわけでこの2枚もお買い上げ(笑)
 
さて、夜になってとりあえずは、友人ゼンタ氏のパーティ、[ゼロシキ]のやってる難波CAFE BLUEへ。ロケッツでのSLIPのパーティは23:00スタート、おまけにSLIPの出番は26:00からということで、それまではゼロシキにお邪魔させて頂くこととする。
 
この日は、裏ではDJ SLIP@難波ロケッツ、それに別の場所ではイアンプーリーが来てたり、トミーフェブラリーのライブがあったりと、ゼロシキにとってはかなり不利な条件のハズ。しかし結構客の入りも良くかなり盛り上がっていた。これって結構凄いことだと思う。
 
ゼロシキでは、約3ヶ月ぶりに大阪の友人達と対面。色々話をしたり、まったりビールを飲んだり…。そして、踊ろうとするのだが、どうにも調子が悪い…足が、痛いのだ。先月のENTR@NCEで踊り過ぎで痛めた足がまだ治っていないのだろうか…。にしてもここまで調子が悪いというのはちとマズい。ヤバイ…この調子でDJ SLIPで踊れるだろうか…いやその前に、病院とか行かなくて大丈夫だろうか…。不安はつのる。
 
さて、そうこうしているうちに時間も24:00をまわり、盛り上がっているCAFE BLUEを後に一人、ロケッツへと向う。道も迷わずに(笑)、割となんなくロケッツへ到着。
 
中へ入ると、聴こえてくるのはバッキバキ・ゴリゴリのハードミニマル。さっきまでゼロシキで聴いていたポップな音とは正反対だ。とりあえず音にあわせて体を動かすが、やっぱりどうも足が痛い。なのでムリせずゆったりと体を揺らすことにする。
 
今日はハードミニマル系のパーティということで、DJ陣はみなミニマル畑の人ばかりのようだ。25:00をまわって交代したDJの人は、ちょっと前の田中フミヤみたいな感じの地味でディープなミニマルで、のんびり聴くにはもってこいだった。…が、この人、最後の方になって突然、あの[SENSEFICTION]のヨハネスヘイルリミックスなんてとんでもないものをかけやがった。うわ…こんなんかけられたら休んでるワケには行きません…と言うワケでここで激しく踊り過ぎてあやうく死にかける。
 
そして…時間は26:00。真打ち、DJ SLIPの出番だ。この人、KANZLERAMT等から出している自作のトラックはどれも、ちょっと変態かかった地味系ミニマルだから、DJもそんな感じでくるのかと思っていた。ところが、だ。
 
DJ SLIP、最初にかけたのはヒップホップにも近い歌モノだった。「え…!!??」 そしてそこに続けるのも似たテイストの曲。ヒップホップとエレクトロとアブストラクトとが混ざったような曲(とりあえず[テクノ]ではない)を4曲ほど、MIXするのではなく、曲の終わりと初めとを合わせる感じでつなげていく。「この人って、テクノのDJだよなぁ…??」 ワケが分からなくなる僕。
 
と、そこへ徐々に、聴いたことのあるフレーズが入ってきた。デトロイト調の…これは、[EXPO2000]だ。そう、クラフトワーク[EXPO2000]のDJロランドリミックス。そしてこの曲を、徐々にピッチをあげていく。ほとんど限界まで上げきったところで、そこへハードなテクノをミックスしていく。
 
ここからはもう、ハードなテクノの応酬だった。が、ハードと言っても、いわゆるリズムだけのバキバキ・ゴリゴリハードミニマルではない。ハードな中にも色々な要素をプラス。歌モノもあれば、デトロイト調の流麗なものもあり。それらを、実にキレイにミックスしてつなげていく。次々といろんなタイプの曲が繰り出されていく。果たして次はどんな曲がやってくるのか…もう、ワクワクしてしょうがない。「踊れる」というだけでなく、聴いてて楽しいタイプのDJだ。
 
後半へ行くにつれ、さらにハードに加速するDJ SLIPのプレイ。徐々に上モノが少なくなっていって、バッキバキのハードミニマル中心に。それらを、今度はさっきまでとはうって変わって、実に荒っぽくつないでいく。ピッチなんて少々ズレていてもお構いなし、だ。だがそんなことは気にならない。音の迫力。プレイそのものの迫力。とにかく迫力で押し切ってしまうのだ…凄い。ここへきて、ふと「DJてなんだろう」と考えてしまう…。僕はDJというのは、とにかく曲と曲とをキレイに、それこそつなぎ目も分からないくらいキレイに混ぜてつないでいくものだと思っていたが…どうやらそれだけではないようだ。こんなDJスタイルも存在するのだ。でも、僕なんかがマネしてやったところで、「単にヘタクソなDJ」で終わってしまうのだろう。
 
もうこの頃には、足の痛みも忘れて踊り狂っていた。と言うより、痛みも気にならなくなっていた。どうやら限界を超えてしまったらしい(笑) こんなことしてて明日どうなってしまうのか少々心配だが、もうここまで来たら気にしたってしょうがない。
 
と、DJ SLIP、突然立ち上がった。手にはレコードを持っている。そしてブースを立つと、最前列で踊っている僕の方へと近づいてきた。そして…なんと!! そのレコードを僕にプレゼントしてくれたのだ!! これはもう、死ぬほど嬉しかった。僕のあまりのキ○ガイ踊りっぷりが目にとまったのか。その壊れっぷりに同情したからなのか。それは分からないが、とにかくレコードを僕にくれたのだ。こんなことはもちろん初めてだった。
 
そしてDJ SLIPのプレイ、いよいよ終盤。ここへ来て、そこまでのハードミニマルから一気にスローダウン。実験ぽいエレクトロ(アンソニーローザーとかあっち系)へと移行して、最後は音響ぽい曲でふわふわっと浮遊感を漂わせて終わらせた。あっと言う間の2時間。色々な音が繰り出された、まさに音の饗宴とでも言うべきDJプレイだった。
 
一度のプレイで、ここまで色々な音を聴かせるDJは初めてだった。この人のプレイを振り返ってみると、音の細かいジャンル分けだとか、そんなのがまるでバカバカしく思えてくる。あえてジャンル分けをするのなら、[DJ SLIP STYLE]とでも言うしかない。そんな独自性を持ったプレイだった。
 
 
あとがき
DJ SLIP。一言付け加えると、とってもいい人でした。創ってるトラックの変態性から言って、もっと変な人(失礼!!)かと思ってたのですが…全然そんなコトない。まさにナイス・アメリカン!!という感じでした。終わった後で少し喋ったり(でも全部英語>当然だけど…ほとんど分からない>爆汗)、握手してもらったり、更に帰り際にはもらったレコにサインまで頂いてしまいました。更に…「WHAT'S YOUR NAME?」と、名前まで聞かれたのは凄く嬉しかった。どうやら僕の踊りっぷり、たいそうお気に召して頂けたようです。「NICE DANCIN'」とかって言ってたし(笑)
 
 
SLIPさんにもらったレコ&そこへ頂いたサイン。もうこれは一生ものの家宝です。マジで(涙)