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〜あらすじ〜
「主人公は時計屋の一人息子の少年(今で言う引きこもり)。彼にとって唯一の楽しみは、夜中の12時に家中のからくり時計が一斉に鳴る音を聴くこと。しかしある時から、家中の時計と言う時計が動かなくなってしまう。そんな彼の元に来訪した奇妙な老人の家庭教師。そしてやがて狂い出す運命。少年の母親は、頭から時計の針が生えると言う奇病(!!)にかかり、少年自身は老人からもらった腕時計を身につける度に時計人間の国(!!!)をさまよう様になる。少年自身も知らぬ間に時計人間へと変えられていきそして…」
ともっともらしくストーリーを書いてみたのだけど、本当にこんな話なのかどうかは定かじゃあない。と言うか、読んでみたものの「よくワケが分からない」と言うのが正直なところ。
なぜ「時計がいきなり動かなくなる」のか。なぜ「母親の頭から時計の針が生える」のか。「時計人間」とは何か。なぜ「少年も時計人間にならなければいけなかった」のか。全ては謎のまま。さっぱり謎。全ての事項が何の関連性も持たずに突如として起こる、と言う不条理さ。今、世間じゃ不条理ギャグマンガなんてものが流行ったりしているけど、ああいうのって「造られた不条理さ」だから安心して読めるのだと思う。でもこのマンガのはそれと明らかに異質なもの。計算とかじゃあない。間違い無く天然。
絵柄については、「[エゴン・シーレ]の様だ」などと世間で言われてるらしいのだけど、僕にはよく分からない。でもとりあえず、この壊れたデッサンは確かにあるイミで怖い。
登場人物の名前もかなり特徴的。と言うか、あるイミで素晴らしい言語センス。主人公の少年の名前が[声
タダシ]。彼の家に雇われているお手伝いさんが[オデ子]。一人目の家庭教師(老人の家庭教師とは別人)が[無階]。しかし、ストーリー上大きな役割を果たしている(と思われる)老人の家庭教師や、主人公の両親の名前が設定されていないのもまた妙なところ(むしろお手伝いや一人目の家庭教師は名前が必要な程の存在でもないのに)。
ちなみにこの復刻版[人間時計]にはもう一作ワケの分からない怪作[猫の喪服]も納められている(あるイミでかなりヤバいストーリー。今じゃ発禁受けてもおかしくないテーマの話) ちなみにその主人公の名前は[指
地図夫](!!) 更にこの話、[人間時計]に登場した[無階]君が出てきている。同じ顔・同じ名前の人物で。もしかして作者のお気に入りだったのだろうか??
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