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〜 2003年8月17日→8月23日鹿児島(枕崎)一人旅 〜
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(13) 福岡観光-後編 そして、さようなら九州。
[光明禅寺]から大宰府の駅へと戻り、そしてやって来たバスに乗ります。10分もしないうちに、[大宰府政庁跡]に到着。
バス停を降りるとそこにはただ、広い野原が広がっています。[政庁跡]とは言っても、実際は当時の建物の柱なんかが出土している以外は、そのままに野が残っています。そしてそれは、市民の憩いの場にもなっている模様。何人かの人が散歩しています。中には、模型飛行機飛ばしに夢中な若者の姿も…。
大宰府政庁跡。
どこまでも続く平原…。 |
すぐ近所の、大宰府展示館。 |
[政庁跡]すぐ側には[大宰府展示館]なるものがあったので、立ち寄ってみます。中は普通の、歴史資料館と言った感じ。でも、昔の人の食事風景とかが(模型で)置いてあったのはなかなか興味深かった。なんか上流階級と庶民との食事の差が凄すぎ…。
あと、どうでもいいことなのですが、この資料館に入る時。受付にいた係の方に「学生さんですか?」と聞かれました。僕ってそんなに若く見えるんですかねぇ? てまあ、若く間違えられる分には全然嬉しいのでオッケーなんですが。…て、この歳にもなってそれで喜んでていいのかどうかもかなり微妙(苦笑)
さて、これで大宰府での観光は終了。今度は福岡市内へと戻ります。ここからは二日市の駅へ行くのが一番近そうなのですが、バスはなかなか来ないし、タクシーも全然走っていない…。仕方なく歩いて戻ったのですが、結局30分以上かかった様な…。道分からんし(涙)
なんとか二日市の駅から西鉄電車に乗り、そして福岡へ。ここで何か美術館でも観に行こうと思います。福岡市内には何箇所かある様ですが、どこに行こうか…。と、地下鉄の駅構内に貼られていたポスターに目が留まります。「謎の古代文明展 −福岡アジア美術館−」 何か怪しげでイイです。これに決定!!
天神から地下鉄で一駅。[中洲川端]と言う駅で降りて、すぐの場所にあります。地下鉄の駅からそのまま上へ上がって、[博多リバレインリバーサイト]と言うビルの7階が[福岡アジア美術館]。
福岡アジア美術館。
このビルの7階が会場になっています。 |
福岡アジア美術館受付付近。
黄金の女性像が目をひきます。 |
受付付近には大きな壁画や、エキゾチックな顔立ちの黄金の女性像があって独特の雰囲気。なるほど、確かに「アジア」しています。そして奥の展示室で、お目当ての「謎の古代文明展」をやっています。
会場内は、土曜日と言うこともあってかかなりの人出。正直言って予想以上の大盛況ぶりでビックリ。美術館なんて、基本的に平日にしか行かないから、こんな混んでるところってあまり見た事無いんですよね。
「謎の古代文明展」展示は、エジプトのスフィンクス・イースター島のモアイと言った古代文明のオブジェの模型やレプリカ、写真などが展示され、そして順序に従って観て回るうちに各文明にまつわる謎解きが明かされていくと言うもの。展示のラストは、各文明の滅びのエピソードなどがつづられ、そして今の我々の現代文明も、いついかなる理由で滅びるのかもしれない…と言った、ちょっと警鐘も交えたエピローグで締められています。なかなかに面白い展示でした。が、ちょっと[美術館]のイメージとは違っていた様な…。別に古代の工芸品が展示されていたワケでも無いですし…。[博物館]の展示としてなら全く文句は無いのですが、[美術館]でこれをやる意義があるかどうかはちょっと謎。
せっかくなので、常設展示の方も観てみます。常設展は、[アジア美術館]の名の通り、アジア各国のアーティストによる絵画や彫刻などが展示されています。「アジア」と言う言葉のイメージから、エキゾチックで明るいものを想像していたのですが、この展示が思っていたよりもずっとディープで重いものでした…。確か「戦争と平和」と言うタイトルでの常設展だったのですが、「死」を直接連想させる様な、なんとも陰鬱でグロテスクな作品の数々…。でも、そこからは作家達の心の叫びがダイレクトに伝わってくるのです。
今回の旅行、本当に「命」「人生」と言うものについて考えさせられる様な機会が多かったのですが、最後の最後でまたちょっと考えさせられることになりました。何にせよ、この平和な時代に健康で生きていられると言うのは、本当に素晴らしいことだと思います。それはあまりに当たり前に存在しているから、つい忘れがちになってしまうのだけれど。
さて、展示を一通り観終って、時計を見るともう15時半を軽く回っています。そろそろ戻らなくてはいけません。いよいよ今回の九州旅行。終わりの時が近づいて来ました。
地下鉄に乗って博多駅へ。ちなみに福岡の地下鉄。JR線と乗り入れを行っている様で、地下鉄所有の車両の他に、JR九州の303系と言う車両が走っています。標準的な4扉の通勤車なのですが、JR九州の車両だけあってさすがに個性が違います。赤と黒の対比がかなり強烈。
福岡地下鉄を走る303系。
赤と黒の対比が鮮烈にして強烈。 |
JR博多駅構内。
都会の駅と言う雰囲気そのもの。 |
コインロッカーに預けてあった荷物を取り出し、ホームへと向かいます。今回の旅行、行きは寝台列車でしたけど、帰りは新幹線。新幹線は正直好きではないし、極力利用したくないのですが、でもさすがにもうラクしてサクっと帰りたいです(笑)
ところで今回は[のぞみ]に乗ります。それも世界最高時速を誇る、500系の[のぞみ]。実はまだ、500系には乗ったことが無かったので、結構楽しみだったりします。新幹線は好きでは無い…と言っておきながらも内心ワクワク。おまけにこれまた奮発して、グリーン車に乗ります。
ホームで駅弁とビールを買い、しばらく待ちます。16:20くらいでしょうか。僕の乗る、[のぞみ]26号がホームに入ってきました。500系、シャープな前面スタイルはハッキリ言って文句無しにカッコいいと思います。この車両、鉄道ファンでない一般の人にも認知度が高いと言うのも納得です。
ホームにやってきた500系のぞみ。
カッコいいです。 |
500系のサイドビュー。
車体が丸っこいのがよく分かります。 |
500系の前面。
先頭部分がかなり長いです。 |
500系グリーン車内。
ワンランク上のエグゼクティブな空間。 |
さあ、車内へと入ってみましょう。乗り込むと、デッキ部分は割と…と言うかかなり普通な造り。グリーン車だからといって特に凝った飾りも無く、簡素な空間。まあ、実質本位と言えばそうなんですが…ちょっと寂しいかも。
でも客室ドアを開けるとそこは正に別世界。大きめサイズのリクライニングシートがずらりと並び、天井には間接照明。その照明も普通の蛍光灯の青白い光と異なって、白熱灯の醸し出す、黄色見を帯びた明るい光が特徴。確実にワンランク上の居住空間が広がっています。そしてこの500系。空気抵抗を減らす為に車体断面がかなり丸くなっているのですが、そのせいもあって非常に飛行機ライクな客室。グリーン車は航空機のビジネスクラスのイメージです。
座席に腰掛けてみると、本当に大きくてゆったりとしたリクライニングシート。座席そのものは、昨日乗った[つばめ]よりも上です。大きなシートが体全体を包み込む感じ。
そして16:35前後。[のぞみ]26号は定刻よりも5分ほど遅れて博多駅を出発しました。まずはヱビスビールで乾杯。そして駅弁に手を伸ばします。[玄界ちらし]と言う名前の散らし寿司の弁当。なかなかに美味しいです。やはりこういう、寿司スタイルの駅弁はビールのお供に非常にいいです。
ビールを飲んで、深々とした座席に腰をおろしているともう快適そのもの。客室の雰囲気も申し分ありません。ただし…厳しいことを言ってしまうと、ただそれだけなのです。それ以上のものが何もありません。グリーン車だからと言ってウェルカムドリンクがあるわけでも無いです。普通にワゴンサービスが回ってくるだけ。飲み物を頼めば、当然普通にお金を取られます(笑) グリーン車専任の客室乗務員なんて勿論いるわけもありません。サービスと言えば、各座席に備え付けの小冊子くらいでしょうか。
昨日、[つばめ]のグリーン車で日本最高峰のサービスを体験しただけに、ちょっと寂しい気がします。まあ新幹線はスピード重視な列車ですから、過剰なサービスは必要無いのかもしれませんが…。でもせめて、もう少し「何か」が欲しい。せっかく、世界最高の速度を誇る、「夢の超特急」なのですから。
しかし、スピードだけは本当にたいしたもの。あっと言う間に九州を出て、広島・岡山と山陽地方を駆け抜けて行きます。その乗り心地は、鉄道と言うよりも航空機に限りなく近い気がします。それは、客室の雰囲気が似ているから、といった要因だけでは無い様な気がします。走行音や、車体の揺れ。そんなものまでが鉄道のそれよりは航空機に近い様に思えるのです。やはりそれは、その圧倒的なスピードから来るものなのでしょうか。
博多を出た時の遅れもいつの間にかほとんど取り戻し、19:45。名古屋に到着しました。博多から名古屋までわずか3時間と15分。驚異的な速さです。昔は新幹線でも、九州行くのに5時間近くかかっていたのに…。そして今回の旅。行きは色々な特急に寝台を乗り継いで、12時間以上かけて辿り着いた九州の地。それが帰りはたったの3時間強…。あまりにあっけないです。時間を急ぐのなら、新幹線[のぞみ]。確かにそうでしょう。でも、速度と共に、何か大切なものも置き忘れていってる様な、そんな気もします。僕はやっぱり、時間の許す限り、のんびりとした鉄道の旅がいいです。
名古屋に到着したのぞみ。
これで全て終了です。 |
どちらにしろ、今回の九州旅行。全ての日程がこれで終了しました。一週間と言う長旅で、色々とトラブルもあったけど、でもやっぱり楽しかったなぁ…。行った土地。そこで観た風景。経験したこと。その全てが思い出深いものになったけど、でもやはり一番は枕崎でした。あの土地で受けた、人々の親切で暖かい、優しい心。それはきっと一生忘れないと思います。本当に、本当にありがとうございました。そしていつか、また会う日まで!!
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