<曲目>
アンコール
*1)ピアノ/伊藤康英
*2)語り/渡瀬英彦
ベルリオーズは、1803年医師の長男としてフランスに生まれました。パリの医学生であった彼は、オペラに夢中になり、とくにグルックに感激して音楽の道に転じました。1823年から音楽批評の筆をとり、26年パリ音楽院でルシュールに作曲を師事しました。30年には《幻想交響曲》を書き、ローマ大賞を受賞しました。《幻想交響曲》に代表される表題音楽の確立と、その色彩豊かで大規模な管弦楽法は、彼の音楽の特筆すべき点です。 1844年に作曲されたこの曲は、本来はオペラ<ベンヴェヌート・チェリーニ>の第2幕の序曲として書かれたものですが、今回の演奏は、本来オーケストラで演奏するべきものを、ユーフォニアムだけで演奏しなければならないため、非常に難易度の高いものになってしまいました。みなさんどうか演奏の成功祈りつつ、暖かい目で見守ってやってください。 |
フィリップ・スパークは、1951年12月29日にロンドンに生まれました。ロンドンの王立音楽カレッジに、ピアノ・トランペット・作曲を学び、作曲科のフィリップ・キヤノン教授の奬めもあって、在学中から主にブラスバンドの為の作品を次々と発表するようになりました。速筆・多作家で、大ヒット曲「ジュビリー序曲」や「ドラゴンの年」など、現在までに80曲を越える作品を書いています。 「ツー・パート・インヴェンション」は、イギリスのチャイルズ兄弟の為に1989年に作曲されました。原曲はブラスバンド伴奏ですが、他にピアノ版とウィンド版があります。「インヴェンション」には「発明品」の意味がありますが、ユーモア溢れる作曲者スパークの人柄を思うと、この曲はもうひとつの意味を使い「2つのパートによる"でっちあげ"」と訳せないこともありません。エンターテイメントの香り漂う曲想で、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」を思わせる前半部と技巧的な後半部からなり、大変楽しめる作品となっています。今回の演奏が本邦初演です。 |
この曲は1985年以来、毎年行われているレナード・ファルコーニ国際ユーフォニアム・コンクールの10周年記念として委嘱され、1995年8月にB.ボーマン氏によって初演されました。曲はこの大会の開催地であるミシガン州ツインレイクと同じ期間に行われる青少年のためのサマーキャンプにちなんだテーマから作曲され、ほたる, 水面にうつる月, オール・ザット・ジャズ, 先住民の歌, 風変わりなパーティの5つから構成されています。 |
ユーフォニアム4重奏の為に作曲されたオリジナル曲で、1996年にイギリスのStudio Music社から出版されましたが、"Toccata for Euphonium Quartet"(ユーフォニアム4重奏の為のトッカータ)という副題が付いています。 曲は題名のとおりエネルギッシュでステレオ効果満点の16ビートの曲ですが、作曲家のテンポの指定は"Presto Fuoco (Fuocoはイタリア語で火、火炎、情熱)"、つまり「火が出るほど速く」という当たり前といえば当たり前の指定がされています。 尚、この作品はイギリスのユーフォニア奏者、スティーブン・ミード氏のCD、"The World of the Euphonium Vol.2"に収録されていますが、本人が4パート全てを多重録音しているので、今回の演奏とは一味違った印象を受けます。(ちなみに彼のこの曲の所要時間は4分39秒です。興味ある方はそちらもどうぞ‥‥‥。) |
数年前、私は、ケンタッキー大学(U.S.A.)で行われた世界テューバ協会(T.U.B.A.)主催の国際大会で初めてユーフォニアム・カムパニーの公演を見ました。それが、非常に想像力豊かでエネルギッシュなアンサンブルのディレクターである三浦徹氏との初めての出会いでした。そのときに、ユーフォニアム・カムパニーの為の作品を依頼された私は、金管楽器のために作品を書くのが好きなことから、すぐに彼の依頼を引き受けたのです。 「CONTRASTS! 」は大きく分けて4つの部分から構成されています。 アンサンブルの美しい響きを強調したゆっくりとした導入部で始まります。続くアレグロは「ABA'」の3つの部分からなっており、ここでは12本のユーフォニアムのグループがしばしば分割され、3つのカルテットの様に扱われています。 この作品は、素晴らしい演奏者の音楽的才能を発揮できるよう意図されています。 ユーフォニアム・カムパニー ― 素晴しいミュージシャンのグループ ― の為に「CONTRASTS! 」を書けたことは、私にとって大いなる喜びです。 (W.ロス) |
黒人の貧民街でのできごと。ベスはクラウンの情婦。いざりのポーギーは根っからの純情者。ベスに惚れている。クラウンは賭博からのいさかいで、ロビンスを刺殺し高飛びしてしまう。そしてポーギーはベスをかくまったところから、二人は愛の生活を始める。 そんなある日、皆でピクニックに出掛けた折、そこに隠れていたクラウンはベスを見つける。抗しきれないベスは、クラウンに身を任せる。そうして一週間の後、ようやくポーギーのもとへと帰る。さて、ポーギーとクラウンの決闘、クラウンを刺殺してしまう。「さあ、ついにベスは俺のものだ!」。 だが、ベスは、スポーティング・ライフが手にした麻薬に釣られ、遠くニューヨークへと旅立ってしまっていた。聞けば千マイルもある。ポーギーは山羊車に乗り、意気揚々とベスをたずねる旅に出る。その表情には失望の影すらない。 ……というむ、ガーシュインのオペラ「ポーギーとベス」、これを15分間ほどで皆さんに御覧に入れましょう。 それはそうと、ポーギーはその後、どうなったんでしょうねえ。なんだか、ベスにはもう二度と会えなかったような気がするのですが……。 |
ハーレムとは大都市ニューヨークの中心地マンハッタンの黒人の人達が多く住む地区のことです。治安があまりよくない危ない場所とも言われますが、ジャズはこの街からもエネルギーをもらって育ってきた音楽です。今日は、いろいろな繰り広げられるこのハーレムをちょっと覗いてみるつもりでスタンダード・ナンバーを4曲、お楽しみください。最初は、ハーレム・ノクターンです。物悲しいハーレムの夜の歌です。その次は名曲スターダスト。ビルの谷間から見上げる夜空に降るような星が瞬いています。そして、アップテンポの楽しい春を予感させる様なクリフォード・ブラウンの名曲ジョイ・スプリング。最後はセントルイス・ブルースでちょっとセントルイスまで行ってみましょう。セントルイスもジャズと黒人の歴史にとってとても重要な街です。賑やかに行きましょう。 |