<曲目>
*1)ご案内役/オリタ・ノボッタ、青島可奈
*2)アコーディオン/江森登
*3)スライド作製/長谷川清徳
ロシア国民楽派の祖としてしられるグリンカはイタリア遊学後ベルリンでデーンに師事しました。国民音楽の創造に取り組み、1836年最初のロシア・オペラの成功作≪皇帝に捧げた命≫を初演し、その後スペイン旅行をして、様々な国民主義の手法を開拓しました。 この曲は、単独でよく演奏されますが、もとは、プーシキンの詩に基づく、V.F.シルコフとバクトゥリンのロシア語台本による、5幕からなるオペラの序曲です。1842年12月9日、帝室歌劇場(ペテルブルグ)にて初演されました。 我々の持つ広い音域と華麗なテクニックをお楽しみ下さい。 |
さあ、ユーフォニアム・カムパニーと共にヨーロッパお国めぐりに出かけましょう。 スイスでは、アルプスの山々にこだまするアルプホルン。ドイツでは、バイエルン地方の射撃大会の鉄砲の音、ビヤホールの賑わい。イタリアは「O Sole mio」で女をくどき、 ヴェニスの謝肉祭で“乾杯”しましょう。さらに英国では「Rule Britannia」(*1)、「British Grenadiers」(*2)、そして「トランペット・ヴォランタリー」ならぬ 「ユーフォニアム・ヴォランタリー」そして、最後に、フランスはパリ、セーヌ川のほとりにて、アコーディオンと共に「枯葉」をお聞かせします。 (*1.英国民の愛唱歌、*2.ロンドン市の公式マーチ) |
1.Prelude | 前奏曲 |
2.Allemande en forme de Tango | タンゴ風アルマンド |
3.Sarabande en forme de Chaconne | シャコンヌ風サラバンド |
4.Interlude l'imitation de Mr. L. Couperin | ルイ・クープラン氏を摸した間奏曲 |
5.Gavotte en forme de Habanera | ハバネラ風ガヴォット |
6.Menuet en forme de Musette | ミュゼット風メヌエット |
7.Gigue en forme de Zapateateado | サパテアード風ジーグ |
いわゆる「古典組曲」をご存知だろうか。バッハの「フランス組曲」や「パルティータ」などが名作として知られるが、言ってみれば「舞曲集」である。たとえばアルマンドは16世紀から17世紀初頭にかけて踊られた、ゆるやかな2拍子系のドイツの舞曲。サラバンドは17〜18世紀にヨーロッパで流行した3拍子系のゆっくりとした舞曲で、メキシコに端を発するらしい。ガヴォットは2分の2拍子の中庸のテンポで、アウフタクトを特徴とする17世紀のフランスの舞曲。メヌエットも、17世紀に特に愛好された3拍子の舞曲。ジーグは16世紀イギリスで流行した活発な舞曲。 このように、当時流行した舞曲や、踊られなくなったレトロな舞曲が一堂に会するのが、古典組曲である(さらに、全体はすべて同じ調で統一されていたり、主題が似通っていることなどにより、変奏曲の一種とも解することができる)。その古典組曲を、アコーディオンとユーフォニアムというなんだか面白い組み合わせを以って現代に置き換え、あるいはより新しい舞曲をも取り込み、あるいはパロディ化したものが、この私の「古典組曲」である。そこで、なんだか新しくて古めかしいような作品となった。 全曲は7楽章。それぞれの楽章は短く、いくつかは繋がって演奏される。 なお、フランス語のタイトルは「古典組曲ふうに」という意味であるが、「a la suite」は「次々と」とも訳される。したがって「古典風に次々と」といったニュアンスをも持つことになろう。 |
21世紀を目前に控えた我々現代人が、「太古の昔の音楽」に思いをはせる時、(それがより古い時代の物であれはあるほど)一種独特の確固たる世界につきあたる。そこには遠い祖先たちが、人間として生きてきた熱い歴史があり、彼らが残してくれた至高のスタイルへの飽くことのない賞賛、共感、畏れといった、あらゆる神秘的な想いをそこに見いだして、一人静かな至福感に浸ったりするのは私だけのことだろうか……? 今回"映像と音楽で"というこ注文を頂いた時にいろいろと考えた末思いついたのが、たまたま私の所にあった「ヨーロッパ多声音楽の記譜法」という美しい写真入りの図鑑であった。ある意味ではまるで絵画のようにすら思えるような美しい楽譜の風景で、いつまで見ていても飽きないような、まるで古代の音楽が聞こえてくるような景色に見とれてしまった。もともとEUPHONIUMというシンプルですてきな楽器で、「グレコリア聖歌」を聞いてみたいと思っていたこともあり、両方が私の中で重なるのに時間はかからなかった。これだけでも立派にある一つの世界を描くには十分なのであるが、ものを書こうとする人間の悪い習性で、わざと相対する別のものをそこにぶつけて、それぞれがどのように調和してゆくのか試してみたくなってしまった。 もちろんそうすることによって、下手をすればすべてをぶち壊してしまうだろうことは容易に想像がつくのだが、あえてそうしてみたい衝動に駆られてしまうものらしい。そうなると、今度は何をぶつけるとふさわしいか、より双方が引き立つか……。 私にとって、古典作品の中核をなすあの偉大な存在、BACH。しかもその代表傑作の一つである「フーガの技法」以外にはついに思いつかなかった。さらに、あの美しい"グレゴリアンの時代"が徐々に終わっていったのも、BACHに代表される[多声音楽の台頭]であったという事実。二つの時代を代表する様式を、運命的に綴って見たいという欲求が、今回の「中世ヨーロッパの響き」と題した趣旨のすべてである。 そう決定してみると、あとはどんな写真が必要か取材をするのにもそう時間のかかることではなかった。優秀な写真家の方にもご協力いただき、必要な材料の全てが揃っていったわけたが、作曲するにあたっては有名なフーガの技法の第一曲目と終曲を使うこと、客席から聞こえて来るグレゴリア聖歌とのかけ合いを生かすこと、舞台上から二名の名手によるカノンの競演と、必要な場面は順調にそろっていった。結果的に、果たして全てがうまく書けているかどうかはともかく、きら星のごとき名手揃いのカムパニーの面々と、美しいスライドの数々を通して「中世ヨーロッパの世界」に、ひととき存分に浸って頂けたら本望である。 最後になりましたが、今回このような企画を頂き、また上演に際して惜しみないご協力をいただきました三浦徹&カムパニーの皆様方に感謝いたします。 |
ユーフォニアム・カムパニーのコンサートに御来場の皆様、オリタ・ノボッタです。変な名前だとお思いでしょうから自己紹介させていただきますと、米米CLUBのホーンセクションでお茶の間のTVにたまに登場しておりますBIG HORNS BEEでSAXなどなど吹いております。この度、縁あってユーフォニアム・カムパニーの皆さんに曲を書かせてもらう事になりました。本来はここでは曲についていろいろテーマや手法について述べるコーナーなのですが……まあ僕の作る曲なので聞いていただければお分かりいただけると思います。一つだけ言いますとテーマは「スパニッシュ!」まあスペインの香りのする曲ですね。実を言うと僕はこのユーフォニアムだけで作りだすサウンドっていうのは初体験なんです。一体どうなる事やら、てな事で当日は開けてビックリ玉手箱、とっても楽しみにしております。 |
米米CLUB, BIGHORNSBEE ORITA NOBOTTA |
伊藤康英(いとうやすひで) プロフィール
作曲家。東京芸術大学および同大学院修了。安宅賞受賞。日本音楽コンクール作曲部門、静岡県音楽コンクールピアノ部門などに入賞。交響詩「ぐるりよざ」(音楽之友社)、抒情的「祭」といった吹奏楽曲の作曲者として知られている。またユーフォニアムのためには、グラデイション(Euph.+Pf)、カデンツァ(4Euph.+4Tuba)、幻想的変奏曲(Euph.+Band)を始めとして、多数の編曲作品(管楽器ソロ名曲集・東亜音楽社刊)があり、さらには三浦徹氏のCDのピアノ伴奏もつとめている。 現在、東京芸術大学など各大学にて教鞭を執る他、作曲、編曲、ピアノ伴奏、「バンドジャーナル」誌や「教育音楽」誌への連載など多方面に活躍。声楽家・岡村喬生氏のピアノ伴奏者としての評価も高い。昨年3月、日本吹奏楽学会アカデミー賞作曲賞を受賞。 |
小倉啓介(おぐらけいすけ) プロフィール
東京生まれ。東京芸術大学付属高校、東京芸術大学作曲科を卒業。 作曲を池の内友次郎、松村禎三、池野成の各氏に師事。在学中より指揮を井上道義、ビクター・フェルドブリルの各氏に師事。劇団四季のミュージカル指揮者を経て、現在亜細亜大学吹奏楽団常任指揮者、RADIATEフィルハーモニー音楽監督、山本禮子バレエ団音楽監督、等を兼任。ピアニスト、編曲者としても多方面で活躍中。 主要作品は全て[おぐらぷし]と呼ばれ、「ESクラリネットとBASSクラリネットのためのイクタス」他、イクタスシリーズや、「8本のホルンとティンパニーのためのノネット」他、ノネットシリーズ。「ソプラノと金管アンサンブルのための音絵巻"西院の河原の物語"」。バレエ音楽「コンポジション」等がある。 日本音楽著作権協会(JASRAC)会員。 |