Q. 野球をするにしても、ボクシングをするにしても、そのものをする(実際に競技をする事)だけでなく、多くのトレーニングやエクササイズをが研究されていますが、楽器の練習にこの筋力トレーニングを応用できないものか? と今真剣に考えております。
A. 楽器屋などに指の強化トレーニングと称して握力強化の商品や指につけるウェイトを売っているのをよく目にします。Q. 確かに市販品のあの物は、やるとスピードが落ちます。楽器奏者にとって重要な指の動きは初期動作速度ですね。普通のベーシストやギタリストがタッピングをすると、この速度が遅いので、いい音がしません。指を指板に当てて「パシッ」と音が出る位のスピードは時速200km前後では? (クシャミのスピードなどもこの速度です。) (速度は私の指をビデオに取って、駒数から算出しました。)
楽器を弾く上で必要な筋肉と単純な筋トレを短絡してないかと疑問点がかなりありますね。あのような機器を使って指を鍛えようとすると指を動かす腱が痛みます。主に手首部分ですが、指を動かせば動かすほど腱はすり減っていきます。日常的に楽器を弾く人は腱が再生するスピードよりも腱がすり減るスピードが速いので腱鞘炎になったりします。
楽器を弾く上で「握力」はあまり重要ではないですよね。特にエレキギターやタッチスタイルなどでは。どの部分にどの種の筋肉が必要なのかをよく考えるべきと思います。
一般的に軽い負荷のウェイトトレーニングでは筋肉をつければつけるほど持久力は上がりますが瞬発力とスピードは落ちます。私(関口)はどちらかといえば速さ・瞬発力を重視したいプレイスタイルなのでトレーニングはスプリント系になってきます。
短距離スプリンターのような太い断面積の筋肉が必要、です。私の日常的トレーニング内容ですが、おおまかに分類すると以下のようになります。
従来の筋トレの概念とは違うかもしれません。
以上ですが、このメニューをこなすのにはだいたい3時間強かかります。
- エアロバイク or ランニング or スクワット(ウォームアップ)
‥‥有酸素運動。大腿筋をはじめとする下半身の運動で心拍数を上げて脂肪燃焼。
心拍数140〜150くらいをキープ。いわゆるカーディオ領域とファットバーン領域を行ったり来たり。
調子のいいときは165まで上げるが、それほどの意味はない。
- 有酸素運動による腹筋、背筋、フットプレス、足の内側外側、腿の前後。
‥‥基本的に筋肉は表裏を両方鍛えないと意味ありません。また、負荷をかけて行いますが10回が限度、というウェイトをかけて10回×3で充分です。
注意点としては例えばダンベルを持ち上げる際に反動をつけてさっさかと行う人がいますが、あれは意味なしです。できるだけゆっくり、むしろリリースの動作のほうがが重要です。
有酸素運動の筋トレは下半身を中心に行います。
- 無酸素運動による腕全体のトレーニング。
‥‥3〜5kgのダンベルを両手に持ちます。ファイティングポーズをとって息を止め、最高速度で左ジャブ→右ストレート→左アッパーなどのコンビネーションパンチを行います。
腕の筋肉が痛くなってきたらやめます(筋繊維を破壊することが目的です)。
- 有酸素運動と無酸素運動のコンビネーション。
‥‥私はシャドーボクシング+サンドバッグ叩きをやっていますが、人それぞれです。
一定のテンポでコンビネーションパンチを打つシャドーと息をとめて速射砲のようにサンドバッグを叩くコンビネーションの繰り返し。
サンドバッグは思いっきり叩くのではなくてほんの軽く当てる程度。サンドバッグの反動で手を速く戻す感じでしょうか。打ち抜いてはいけません(手首を痛めます)。
また、かならずパンチンググローブを着用のこと。
- ストレッチ
‥‥すべてのトレーニングの前にはストレッチを行ってから始めますが、最後に行うストレッチは意味合いが違います。ヨガや気功に通じますが、呼吸を整えて、全ての筋肉がどう動くか、一つ一つ意識して確認していく作業です。
ここではアレキサンダー・テクニークなどを参考に。
楽器の練習に4時間ほど割いている人は割り当てを変えてみてはいかが?
運動すると睡眠時間もある程度短くて済みますよ。
一気に深い眠りに落ちて2〜3サイクルで目が覚めます。カルシウムを摂取してさっさと寝よう。遅寝早起き。
A.
---以下某所より引用---
クレアチンは疲労するまでの時間を長引かせ、回復力を向上させます。クレアチンは乳酸に対する緩衝剤として働き、pHの低下によって筋肉の収縮が不可能になるまでの時間を長引かせ(クレアチンの摂取による乳酸レベル上昇の抑制効果は、運動中の嫌気的解糖への依存が減少していることを意味しています)、また回復するまでの時間を短縮することができます。
------私(関口)がよくやる左右の手の高速交互連打(パラディドルなども含む)は前腕伸筋群・前腕屈筋群を硬直させて行いまして、即ち筋肉で弦を叩いているわけです。この部分の筋肉は指の屈伸のトリガーになっていますから、この部分の持久力を鍛えることは演奏を長続きさせるのには効果あるでしょう。筋肉を動かせばどうしても乳酸がたまってきます。クレアチンによってその分泌を阻害することは身体的影響はともかくとして演奏上では魅力的です。
蛇足ですが前腕伸筋群・前腕屈筋群の効果的なトレーニング方法はリストカールおよびリバース・リストカールです。
さて、しかしもっと大きな問題は「指の力」ではなくて「各指独立・分離」およびその処理速度ですから、これは筋肉の問題というよりも神経の伝達・処理の問題が非常に大きいと思われます。
私が思うにこれは先天的なもの(もしくは後天的でも幼児期などのもの)がかなり大きなウェイトを占めると思います。不器用な人がいくら頑張っても器用な人ががんばったのには敵わないということですね。このような不公平は世の中にはいくらでもありますゆえ、これ以上コメントしませんが(笑)。速く走れるヤツはもともと速い、という持論を展開したい所存です。さて、「もともと速い」というポテンシャルを持った人に限定してどういうトレーニングが有効か、これを考えていきたいですが、割愛。
>初心者が、練習ですぐ疲れてしまうのは、この「クレアチン」の
>蓄積量が少ないからでしょうか?余計な筋肉を緊張させているせいで早く乳酸がたまってしまうからだと思います。
例えば、前述の前腕伸筋群は
1.総指伸筋
2.長橈側手根伸筋
3.短橈側手根伸筋
4.尺側手根伸筋
5.固有示指伸筋
6.固有小指伸筋
7.長母指伸筋
8.短母指伸筋
の8つの筋肉から構成され、前腕屈筋群は
1.浅指屈筋
2.深指屈筋
3.橈側手根屈筋
4.尺側手根屈筋
5.長掌筋
6.長拇指屈筋
の6つの筋肉で構成されます。例えば人差し指で弦をタップするには浅指屈筋と長掌筋、親指をネックの裏に這わせている場合は長拇指屈筋を使うわけですが、初心者は筋肉の使い分けができていないのではないでしょうか。