【2002.01.19 前橋club FLEEZ】


M01. Birthday Song
M02. Try to hold on
M03. 誇りであるために
M04.ざわめく時へと
M05. 家路
M06. 灰になるまで
M07. T-O-K-Y-O〜ドラム・ソロ
M08. Whisky and Woman
M09. 記憶の中
M10. 走り抜けた夜の数だけ
M11. WALL
M12. MORE
M13. RADIO MAGIC
---Encore--
M14. マシンガン・マッシュルーム
M15. 失われた7224

前橋に来てかれこれ丸1年が過ぎ、僕の仕事もそれなりに軌道に乗ってきていた。前橋と東京を毎週往復する生活に徐々に馴れつつも、それでも片道の2時間半は小旅行の感覚のままだった。そんな電車での移動中、僕はDVDを見て過ごすことが多かった。僕のPowerBookはバッテリー駆動で アメリカテレビドラマ<ER> をちょうど2本見れる。そんな移動時間の過ごし方に変化があらわれたのは他でもない。アースシェイカーの8年ぶりのフルアルバムがリリースされたのだ。

DISCOGRAPHYでも紹介している通り<Birthday>はまさに傑作で、前橋・浦和間で全曲2回ずつ近く聴ける。MP3ファイル化して iTunes で聴けば激しく揺れる快速アーバンの中でも音飛びすることは皆無。車輌は実に快適なアースシェイカー空間となる。唯一残念なことといえば電車の中では一緒に唄うことができないことくらいか。ともかく11月28日以降、僕の電車移動は<Birthday>にどっぷりと浸かった生活へと変貌した。

Birthdayツアーは年明けの 千葉LOOK を皮切りにスタートした。前橋はツアー序盤の2カ所めだ。僕は迷わず前橋のチケット予約を入れ、その日を待っていた。
1月19日。
その日は比較的暖冬の前橋にあってなかなかに寒い夜で、僕は買ったばかりの長いマフラーを首にぐるぐる巻きにし手袋をしっかりとはめて前橋中央駅そばの Club FLEEZ 前で開場を待っていた。5時半の時点ですでに30人ほどのファンが集まっていた。人気の少ない前橋の夜としては驚くほど人が集合していたにちがいない。前橋では繁華街でさえも午後7時を過ぎると軒並みシャッターが下ろされゴーストタウンと化す。その一方で飲み屋の数だけが妙に多いというのもなんとも不思議な街なのだ。
FLEEZは定刻通りに開場となり、A-4と若い整理番号だった僕はカイ前(ステージに向かって左)最前列で開演を待つことができた。ステージはかなりこぢんまりとしていて、その分、フロアとの一体感がある。

Queenの<We Will Rock You>が流れ、舞台奥よりスモークが少しずつ流される。やがてカイを先頭にアースシェイカーのメンバーがフロア脇より登場。すっかりお馴染みの黒のカウボーイハットのカイ。ぴたりとした黒のスパッツ姿のクドー。ピンクのTシャツ姿のシャラ。マーシーといえば赤と青を基調とした上下揃いのデニム。手狭なステージに皆よく映える。

ライブは <Birthday Song> で幕を開けた。8年間の実質的ブランクに応える、熱い思いの詰まったナンバーだ。アースシェイカーの本当の意味での復活を実感させてくれる一方で、これからの目指すべき姿をしっかりと見せてくれる、そんなプレイだった。続けて <Try to hold on> 。まさしくアースシェイカーらしいミドルテンポの一曲。マーシーのビブラートが直接、身体に伝わってくる。シャラの泣きのギターも健在で、この日のギタープレイを大いに期待させてくれた。

---アースシェイカーといえばシャラのギターソロ。エンディングのソロを楽しんでほしい。
そんなマーシーの言葉のあとはアルバムのエンディング・ナンバー <誇りであるために> 。マーシーの唄に呼応する形でうねるシャラのギター。そしてラスト2分にも及ぶギターソロ。時折、見せていた笑顔もこのときばかりは消え、陶酔した表情で一心不乱に弾ききっていた。

やがて舞台の照明はいったん暗転し、耳に懐かしい <ざわめく時へと> のイントロがはじまる。オーディエンスの反応も加速し、「あーーみうしなーったー・・・」というカイのコーラスに皆、声を合わせているのがわかる。

ここで一呼吸入れ、マーシーのMC・・・と思いきや、クドーが思わず、ダダン、とドラムソロ(?) 間違えて次の曲に入りかけたようだ。思わず吹き出すメンバー。「せっかく、えぇバラードやろーと思ったのに、オマエなー」とマーシー苦笑い。「クドーのお笑いコーナー(?)もあとからあるから、みんな楽しみにしといてな」 イベントで受けまくったMCクドーを知っているだけに会場も爆笑。気を取り直して、シェイカーらしいバラードの <家路> 。帰る場所はアースシェイカーのこのステージなんだ、と唄っているマーシーがそこにいた。シャラのギターソロはまさしく「唄うギター」で、泣けるのひと言。 <T-O-K-Y-O> からは続けてドラム・ソロ。

そしてお待ちかねの(?)MCクドー。クドー寄席のコーナー。
ドラムソロで頑張りすぎたのか、ギャグは滑りまくり、寒い空気が流れ始めたところにとどめのひと言「前橋フリーズだけに、フリーズ・・させちゃいましたかね」(爆笑)
---太鼓叩いちゃうと、すっかり駄目やなー。イベントの時はタンバリンだけでヒマやったからよかったんかなー?(マーシー談)

ハードロックバンドでの笑いネタを批判する向きもあるが、観客との一体感、ファンの笑顔を基本とするアースシェイカーにあって、むしろこの試みを僕は評価したい。いや、評価などと大上段に構えずとも好きか嫌いか、それだけのことでいいはずだ。
テクニックをウリにするバンド、見た目の派手さで勝負するバンド、そういったものをすでに超越し、アースシェイカーがアースシェイカーらしいと誰もが思える姿であればいいだけだ。
80年代を生きた僕らにどこか懐かしく、だけれども常に新しい、そんなアースシェイカーの楽曲の数々を生で聴かせてくれることが僕には何よりの喜びだからだ。楽しいと感じられるか否か、そここそがもっとも重要なのだ。だから、もちろん僕の答えは「好き」だ。熱い(ときにクサい)マーシーのMCの合間にクドーの三枚目なMCが入ることをこれからも期待したい。

後半は <Whisky and Woman><記憶の中> と懐かしい曲ではじまり、さらに <走り抜けた夜の数だけ><WALL><MORE> と定番の名曲で、会場のノリはさらに高まっていった。ラストは <Radio Magic> の大合唱。アンコールは <マシンガン・マッシュルーム> で会場前列、全員ヘッドバンギング状態となり、大締めは <失われた7224> でこの日のエンディングとなった。

ライブ終了後の 生ビール がまた最高な夜だった。この日の前橋の夜は本当に熱かった。

(01/19/2002 HONEYBABY)

Posted: Sat - January 19, 2002 at 09:40 PM      
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