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NewRelease

Epic Records
(ESCA-8325)

2310円(初回限定プライス)
'00年6/6発売
1. Sing
2. Dear Diary
3. Side
4. Pipe Dreams
5. Flower In The Window
6. The Cage
7. Safe
8. Follow The Light
9. Last Train
10. Afterglow
11. Indefinity
12. The Humpty Dumpty Love Song
13. Ring Out Bell *
14. You Don't Know What I'm Like *
15. Beautiful *

* Bonus Track
(Bonus Track以外は、RealPlayerで試聴が出来ます。)


『THE INVISIBLE BAND』 〜インヴィジブル・バンド〜

TRAVIS百年構想

 月並みで申し訳ないが、感心するぐらい良い曲が揃っている。重ねてお詫びしておくが、本当にそうなのだ。トラヴィスのメイン・ソングライターであるフラン・ヒーリーは、例えばトム・ヨークのようなミュージック・シーンに衝撃を与える影響力を持った楽曲を作り出すタイプではない。だが多くの人の記憶に残り続けて、ある瞬間ふと壊れていたと思っていたテープレコーダーが動き出すような感じで、頭の中にサウンドが流れてくるような曲。そういった普遍性を持った優しく美しいメロディを作らせたら、現在フラン・ヒーリー以上のソングライターはそうはいない。『グッド・フィーリング』『ザ・マン・フー』と、フラン・ヒーリーのソングライターとしての才能はアルバム・リリースを重ねるごとに磨きがかかっていった。その証明として、デビュー間もないにもかかわらず『カミング・アラウンド』はチャート初登場7位を記録し、『ザ・マン・フー』はイギリスだけで250万枚を売って'99年のイギリス国内最高セールスとなったわけだが、今作は今までと変わらないメロディの普遍的な美しさという要素に加えて、楽曲1つ1つにとても深みが加わった。なんというか、『ザ・マン・フー』ほどの即効性はないが、聴き終わってしばらくしてからメロディがゆっくり時間をかけて体中に染み込んでいくような感覚なのだ。
 アルバム・タイトルそのものを“目に見えないバンド”− バンドが存在しなくなっても生み出した楽曲はいつまでも世の中に残り続ける −とした彼ら。デビューから何度も自分達の理想として掲げてきた、トラヴィスというバンドの在り方。エゴの否定ということ以前に、“歌”が持つ力を信じているフランだからこそ創ることができた新しい“いい曲”達は、その夢のような話に現実味を帯びさせるだけの説得力を持っている。

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Biography
フランシス・ヒーリー(vo&g):'73年7/23生まれ
ダグラス・ペイン(b):'72年11/14生まれ
アンディー・ダンロップ(g):'72年3/16生まれ
ニール・プリムローズ(ds):'72年2/2生まれ


TRAVIS オフィシャル・サイト:www.sonymusic.co.jp/travis/
 ナスターシャ・キンスキー、ハリー・ディーン・スタントン主演の映画、『パリ・テキサス』の主人公の名前からバンド名をとったというトラヴィス。そもそもは'91年にアート・スクールに入学したフランシス・ヒーリー(vo)が、ニール・プリムローズ(g)、アンディー・ダンロップと意気投合し、2人のやっていた‘グラス・オニオンズ’というバンドに加わったことに端を発する。当時はこのメンバーのほかにマーティン兄弟というベースとキーボード担当の2人がいたが、'94年にバンド名をトラヴィスに変え、'96年にフランがソニーと出版契約を結んだあとにマーティン兄弟は脱退、変わりにフランの長年の友人であったダグラス・ペイン(b)が加入する(彼はまったくベースが弾けなかったが、フランがどうしてもと頼み込んで渋々加入した)。
 新たに4人組となって活動を始めたトラヴィスは'96年6月、ついに大学をドロップ・アウトしてロンドンに移り住む。そして本格的にバンド活動に専念し、様々な場所でライヴを行なっているうち、インディペンディエンテというレーベルを新に立ち上げたアンディー・マクドナルドの目に止まり、インディペンディエンテ・レーベルの初アーティストとして正式にレコード契約を結ぶ。ほぼ同時期にフランが母親から借金をして自主制作した「オール・アイ・ウォント・ドゥ・イズ・ロック」を750枚限定でリリース。いきなりNME誌のシングル・オブ・ザ・ウィークに輝くという快挙を成し遂げる。
 '97年「U-16 ガール」で正式にデビュー。カタトニアやオアシスの前座を務めるなどしてバンドの知名度が上がっていく中、同年9月に1st『グッド・フィーリング』をリリース、いきなりチャート7位という強力な滑り出しを見せる。
 '99年5月、オリバー・サックス著「The Man Who Mistook His Wife For A Hat:(妻を帽子と間違えた男)」という精神病分析の概論書からタイトルをとった2ndアルバム『ザ・マン・フー』をリリース。3ヵ月後に全英チャート1位に輝き、その後年を越えてからも2度にわたってチャート1位に返り咲くという超ロング・セラーとなり、現在までにイギリスだけで250万枚を売っている。『ザ・マン・フー』が売れ続ける中、'00年3月にバンドはブリット・アウォードで‘ベスト・バンド’‘ベスト・アルバム’を獲得し、同年のグラストンベリー・フェスティヴァルでは15万人もの観客を熱狂させた。
 そして'01年6月、完全にイギリスを代表するトップ・バンドとしての地位を確立した彼らが、待望の3rdアルバム『インヴィジブル・バンド』をリリースする。メロディの美しさはそのままに、より味わい深くなった楽曲のクオリティには思わず唸らされる内容だ。また、7月には2度目の来日となるフジ・ロック・フェスティヴァル'01の出演が決定している。