*これはセブンスファーアスタリズムの神話でのオリジナル設定(フィクション)です。

◆空中都市の伝説

【竜戦争】

かつて万物の頂点に君臨し、神をも超えようと考えた竜の一族。
竜は空の覇権を巡って、大空を守護するもの「天使」と対立した。
大陸を見渡せる丘の上の城砦都市は、「暗闇の雲」に包まれ、
下から登頂しようと思うものを濃霧で迷わし、
上空から襲い掛かろうとするものを凍てついた嵐に包む、
鉄壁の守りを誇っていた。

人間と異なり、自我よりも神への忠誠が己を支配する天使は、
世界樹「ユグドラシル」に住む巨人族が鍛えた、
世界樹の枝でこしらえた聖なる槍をかまえ、
死を恐れるという概念すらなく突撃し、
数で勝る竜族を追い詰めていった。
ついに邪竜「ティアマット」を引きずり出すが、
その圧倒的な力に、戦局は長引き、
大陸「ミドガランズ」は七日間火の海に包まれた。

大天使長「マディン」は世界を救うため、
ユグドラシルにその命の半分を差し出してもらい、
一億二千万の枝を捻り上げて組み上げた最強の投擲槍、
ドラゴンランス」を借り受けた。
その代わりにマディンは、ユグドラシルの回復が早まるように、
神より授かっていた「王の指輪」のうち、
赤、緑、白の三つの指輪を巨人族に貸し出した。

闇の炎を吐き、周囲に近づくことすら困難なティアマットに、
マディンは「青の王の指輪」を埋め込んだ右腕ごと、
ドラゴンランスを全魔力を持って射出し、
ティアマットの巨大な翼を貫いた。
同時に大陸に巨大な穴が開き、
竜族がねぐらとするジャングルと巌窟塔は、
大陸から切り離され、海の底へと沈んだ。

また青の指輪の力により、三日三晩大雨が降り、
大陸を覆っていた火は沈下された。
海に沈んだティアマットと巌窟塔は、
完全に破壊し尽すことは困難で、
青の指輪を埋め込んだマディンの右腕が、
水の力により海底に封印するので精一杯だった。


【堕天使】

竜の一族を打ち倒し、
神の遺言により人とその子孫を守護する役目についた天使は、
欲にまみれ、それでも神に愛される人間を長い年月見るうちに、
「嫉妬」し、狂った。

天使にすれば、神こそが彼らの全てだというふうに作られたので、
長い年月が嫉妬と、人間の醜さへの悲観を招いたのは、
致し方ない流れともいえるかもしれない。

だがそういった嫉妬のエネルギーは、
「嫉妬」の大蛇※1による影響も少なくない。
(当然、七大蛇のことを天使は知らない)
また、そのような綻びを始祖ケイオスが放っておくわけもなく、
星喰いを通じて、呪海※2にダークマターを送り込み、
少しずつ、暗闇の雲に邪悪なるエキスを送り込んでいた。

※1 ミドガルズオム。
大穴が空き、三日月型となったミドガランズの正体は、
実はこの巨大な蛇の鱗で、頻発する地震は、その寝相だという。
大陸がいつ大蛇と入れ替わったのかは定かではないが、
ここまで巨大に成長した時点で、
大地と一体化ながら成長していたのだろうと考えられる。

※2 ドラゴンランスにより大陸に空いた大穴
マディンが海底にささったドラゴンランスを抜くと、
邪悪なものが噴出したので※3
この海域を呪海と呼び、封印した。

※3 もともとミドガランズの南半分は竜の一族の土地であった。
それはこの地の温泉よりダークマターが沸くからである。
邪竜ティアマットとは、
ダークマターより生まれた、この世の理とは異なる存在なのだ。

堕天使となったマディン達は、暗闇の雲を使って、
世界が竜戦争の時のように壊れないよう、穏やかに人間を死滅させようとしている。
心のどこかで、この暗闇を打ち破れる美しいものが現われねかと、思いながら。