HYDE
穏やかでどこか耽美な世界。80年代ニューウェーブをルーツとする彼自身の
世界観が見て取れた。重厚なオーケストラと最低限を美徳とし、声をより楽器と
して捉えた「ROENTGEN」古き良き時代のヨーロッパさえも思わせる仕上がりだった。
内省的でため込んだストレスを一気にはき出しドロリとした、詞。英詞だし、
楽曲のどこかにキャッチーさを含んでいるから一見そうは見えないけども。
ラルクでは決して見せなかった静のベクトル。吐き出すように、ぶちまけられた
感情は不可解さを携えながらも痛々しい。私はそう思えた。もっと自由に、と
願っているようなそんな想いがあるような気がして。
ROENTGEN以降はガラリとその容貌を変えて、アグレッシブなロックボーカリストとして
現れた。静と動が同居していて、そのギャップには驚くけれど素直にかっこいい!と
思った。ロックスター然としていて、背中が遠く大きくて。
ROCK IN JAPAN FESに完全シークレットとして出演したことを聞いたとき、驚きと共に
うれしかった。「望むところです」というシークレットに対する返答もその姿勢が好き
なんだと改めて思った。賛否両論ではあったがそれなりに結果が出たことも喜ばしい。
彼の地位はかなりのものなんだとも思ったが。
あの容姿だ、アイドル視されることも少なくない。巨大化していったバンドのボーカリスト。
世間では絶大な人気を誇り、ライブチケットはすぐに完売。
そんな狭い世界から抜け出したくなったのかもしれない。
彼のソロ2枚目のアルバムを聴いた。一通り聞いたときの感想は洋楽のバンドみたい
だというものだった。諸外国のバンドとなんら遜色のない楽曲群。HYDEの歌だって
ロックで力強い歌声を聴かせていた。この場所ににとどまるのが惜しいくらいだ。
私がHYDEのファンというのもあるのだが、この人はどこまでもかっこいいボーカリストだと
思う。未だにボーカルとして成長している気がする。これから始まっていくL'Arc-en-Ciel
としての彼がすごく楽しみだ。