僕はカギをかけた。踏み込まれることのないよう、しっかりと強く。
そうすればやさしくて明るいケンちゃんを演じていられるから。
他人なんかに入れさせない、僕だけの部屋。
いつだって感情を押し殺して、愛想笑いを振りまく。馬鹿馬鹿しい。

うるさくつきまとう数多の目。他人のプライベートがそんなにタノシイ?
他人の不幸や恋愛をよくのぞけるね。たいしたもんだよ。
くすぶったフラストレーションだけがくっきり取り残されていく。


気持ち悪くなってぜんぶ、吐き出した。化膿してゆくそれを止めることは出来なくて
気付いたときにはもう手遅れだった。ただ垂れ流すだけだ。
ギターを弾くことも楽しくなかった。疲れた。イメージを売るのにはホントもう飽きた。


空気が、つたわる。今にも崩れ落ちてしまいそうな僕ら。ガマンだって限度があるんだ。
バラバラな個性が摩擦を起こす。雰囲気に飲まれてしまいそうだ。

この選択が正しいのかはわからない。一度シーンから離れれば何かがわかるはずだ。

「心配するな」

そう言ってくれた君の言葉を信じてその時を待ってるよ。