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エログロ大好き睦月ちゃん
Brain deep,not skin
こんなの本当は私の全部じゃないんだ
それでもみんなの目の前で
今日は子猫を殺して見せたんだ
生暖かい期待と
自分では手を汚さずに褒め殺して
やがて飽きて見放す視線に囲まれて
真夜中 部屋で一人 嘔吐くんだ
このまま何もかも吐き尽くせたらいいのに
でも明日になれば
作り上げてきた卑屈な笑みを浮かべながら
自分を削っていくのだろう
私ほら 嬉しいとか 悲しいとか思い出せないよ
こんなに醜くて卑しくて汚くて小さすぎて
だけど
いつの日か 私でも 晒しても受け容れられたいな
その時は 貼り付けた この嫌な笑みを脱ぎ捨てるんだ
wrote 2010.11.02 15:53
お話背景(表)
両親は離再婚を繰り返し、近藤姓となった睦月。
クラスメイトは「コンドーム付き」と揶揄した。
よう、スキンが人並みに絵描いてんじゃねーよ。
どうせ孕まねぇだろう?お前ゴム付きだからさぁ
おいゴム、早く給食費払えって先生言ってたぜ。
何度目かの転校の果て、いつか睦月は決心する。
ありもしない属性を自分に与え、道化と化そうと。
ダメージを受けるのは、後付けの、付与した外側。
私の核には、誰にも触れさせはしない。
「はじめまして。近藤睦月ですっ コンドーム付き、じゃないですよ〜」
睦月は人気者になった。いや、名物といった方が適当か。
漕ぐのを止めたら直ちに倒れる一輪車にも似た危うさで。
そう、いつか、名前で呼んで欲しい。
誰でも、いいから。
ネタバレ(裏)
それは、やがてできた恋人に睦月が話した自己申告。
多少の揶揄はあったのかもしれない。
性格まで歪むには程遠い、微笑ましい程度には。
恋人の全身に残る火傷その他虐待の痕跡と、
それでも真っ直ぐで誠実な人格品格が、
私可哀想な物語を創造して悦に浸ってきた睦月を、
今度こそ本当に追い詰める。
どうして、救済を必要としている人ほど、他者を救おうとするのだろう?
どうして、謝罪されて然るべき人ほど、他者に謝ろうとするのだろう?
私は、醜い。
私は、卑しい。
私は、汚い。
私は、小さい。
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