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在りし日の歌

あなたの部屋の景色はなんて寂しいの
誰かを待ちわびて一人悲しみに暮れている

こんなにたくさんの人がこの果ての無い街で
壊れることも出来ずに血を流し続けている
無機質な言葉の群れが飛びかっていく
ガラクタに埋もれ明日には消え去っていく
私は今にも潰れてしまいそうなのに
それすらその他大勢の中の塵の一つ

みんな自分のこと誰かに解って欲しくて
振り絞るような誰かの叫びも耳に届かない

だけど、理解することと感じることはきっと違う
簡単に解るほど私は単純な存在じゃない
生温い共感が余計に傷口を拡げ
矛盾する感情が精神を二つに分裂つ
助けて欲しい でも、それは誰にも出来ない

今すぐ伝わるほど甘くはないのは知っている
ほんの少しでも血肉になればそれでいい
私は私という牢獄に閉ざされても
けして消えない言葉をこの壁に刻む

もし私が死んでも言葉はこの部屋に残って
訪れる人もないままこの海を彷徨う

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