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絶望の神が支配する

魚には心が無い
蛆虫には痛覚すら無い
指先を軽く切った それだけで痛い

花は散った
夏は往った
月は欠けて 君は枯れてしまった
萎えた乳房 吸い尽くした乳飲児は
血を吸ってなお 生きた
未だ娘は知らない この世界の汚辱と荒廃を
それは自分で血を流して覚えていく
それがこの世の理。

子供って可愛いですか?
きっと私は虐待しそうな気がする
きっと曇り無き瞳と 穢れ無き心が 許せないと思う
罪の記憶も意識も、引き継げはしない…懺悔の涙も
白紙の頁を血の涙で埋めながら この仔は育つ

やがて娘は齢十二で夢見ることを止めて、
無力な私はただ詫びるのです。
こんな世の中でごめんね、と。

飢え乾いて
垂れ流して
一人きりで死んでいくでしょう
そんな私と同じ道を
私を蔑んだ娘も往くでしょう
濁った瞳と汚れた心に
憎悪と諦めの毒を溜めながら
遺伝子の神が与え給うた
鋭敏な肌と心を備えて
遺すものは
続いていくのは
増していくのは
研ぎ澄まされた痛み
血を残して
血を繋いで
呪うべきは この世界の理。

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