★デスベアCDレビュー★
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オリエンタリズモ


IS:オリエンタリズモ


06. 模型飛行機
07. carnival
08. ビイドロ
09. 色とりどりの灯の下


01. the golden age
02. 野を越え山越え
03. new town
04. 貨物船
05. 紅い空


結成6年目にして最初で最後のフル・アルバム。
全体を通して初期イズから現イズまでを表すすばらしいバランスに仕上がっている。
「02.野を越え山超え」では初期のセンチメンタル・ノスタルジックを思わせる音作り・曲構成になっているし、「03.new town」ではDrアツヒト氏のタム回しが最大限活きている、イズなりのプログレというか、面白いバランス・展開を見せる。
「06.模型飛行機」ではGt.ノマ氏加入後のキラキラした音・雰囲気を味わうことができる。アルバムには収録されていないが、マキシシングル「模型飛行機」のC/Wだった「your landscape」ではVo.サトウ氏の初期には感じられなかった強さを聞けるのでそちらもチェック。
「オリエンタル」という言葉のもつ、和風さ。それに加えたロックという海外の要素。こういうのが本当のJ-POPミュージックなのではないだろうか。海外にこびることも無く、和に執拗に拘る訳ではなく。自分たちの持っているものをロックというファクターを通して発信してくれる。「男の癒し系バンド」と一番最初は表現していたが、癒しつつも力強さを与えてくれる。そんなアルバムである。
(2007/9/27)




ヒグラシの丘


IS:ヒグラシの丘




01, ダイブ イン ジ エーテル
02, new word
03, ヒグラシの丘


元アインスフィアの田淵アツヒトと、インディーズで長い経験をもつ渡辺ヒデロウが新人ヴォーカリスト佐藤祐介を迎えて結成されたISの1stマキシシングル。

男の癒し系という前評判だったが、確かに佐藤の声は透き通り、エンジェリックヴォイスと呼ばれるだけのことはある。
生まれ持ってのもので、基本的に変えようがない楽器、「声」。その武器を上手く活用するか、無駄にするかはその人自身のセンスだろう。

イントロのスライドギターが美しく、ハネるリズムのドラムに乗り始まる「ダイブ イン ジ エーテル」歌声は凄くやさしく、ゆっくりゆっくり空を昇っていく気持ちよさを感じる。(この印象派歌詞の影響が大きいかもしれない)
この曲の歌詞はISではないが、言葉のセンスは凄い。上昇する情景の中、様々な人物像やフォトグラフが目の前に見えてくる。

「new word」はバラードかと思いきや、途中で転調し、ミディアムナンバーのように思えたり、一度曲が終わったと思えばまた続きが始まったり…どちからといえばわかりにくい楽曲かもしれないが、これだけ複雑で、ある種プログレとも言える様な曲が3曲の中に溶け込んでいるのも不思議だ。メンバーの演奏力から、曲調やカラーがいくら変わろうが、「IS」として表現できている。
ただ、やはり難解なので、人によっては「前半はいいがここの部分は...」という事もあるのではないだろうか?ただいえることは「面白い楽曲だ」ということ。

そしてタイトルチューンにもなっていて、ISの代表曲でもある「ヒグラシの丘」
昔の童謡を思わせるようなメロディ、スタジオジブリ作品の「トトロ」の夕焼け〜日没ぐらいの情景が浮かぶ。8分にも及ぶ大作だが、8分の長さ・ダルさを感じさせないぐらい情景がキレイに浮かび上がってくる。
日本らしい清楚な映画を見ているようだ。少し寂しげではあるが、人の温もりはしっかりあって、大事なものはなくさないような。
「ダイブ イン ジ エーテル」も好きな曲だが、やはりISの曲を薦めるならこの曲だ。
聞き終わると、全体的にやはり「癒し」を感じるが、実はギターが歪んでいて唸っていたりする。ベースも決しておとなしいままで終わっていない。
ガツガツしたロックだけしか聞かない人には無理かもしれないが、音楽全般を聞く人だったらISの世界観は通じるはず。
目をつむって、音楽の世界に浸りたい方はぜひどうぞ。




SEASONS


IS:SEASONS




01,SEASONS
02,窓辺の花
03,SEASONS「ラフスケッチ」


ISの1stシングル「ヒグラシの丘」は情緒溢れる多彩な景色を持っていたが、「SEASONS」の方は同じ方向を向いた、違う美しさを感じる作品となった。
鮮やかで気持ちがいい名曲「SEASONS」。「フライ」収録の「lemon tea」も同じぐらい鮮やかな曲だったが、イメージする時間が「lemon tea」は夕暮れ時、「SEASONS」は午前中や、気持ちのいい午後といった感じを受ける。寒さも鬱陶しさも感じない、ホントに清々しい風を体いっぱいに浴び、青空の下で笑顔で居るようなイメージ。
それらを構成するのは「大地」を感じるアツヒトさんのDr、しっかりとして、広がりを持てるヒデロウさんのベース、そして新加入したノマさんのエフェクトを効果的に駆使したクリーンギター、そしてなにより佐藤さんの声。リリース当時のISの4人の一番いい所が最高の状態で絡み合った最高傑作といっていいかもしれない。もちろんリスナーの好みにより、この曲がいいのかどうかはわからないが、このISというバンドの個性を知るには最高の作品だろう。
個人的に楽曲も凄く好きで、「ダイブインジエーテル」「レモンティー」に続く殿堂入り並みの名曲だと思う。徐々に目が開いて、開放的な大サビに続き、最後はコーラスも効果的に入ってくる。曲展開としても100点満点だ。
C/Wの「窓辺の花」は一転して静かな室内の情景。静かに研ぎ澄まされている美しさを感じさせる楽曲で、聞き込むのももちろんいいのだが、自然にBGMとして流れているような。「いつも側に居るのに具体的な形をしていない不思議なカタチ」という"IS"という冠を見事に表現している一曲かもしれない。
ラストは「SEASONS(ラフスケッチ)」。いわゆるアコースティックバージョンではあるが、アコースティックギター1本と佐藤さんの声はバンドバージョンとは少し違った情景を見せてくれる。バンドの方は広い空間で明るいイメージだが、ラフスケッチバージョンは清流が流れる自然(静かな風が吹き、木洩れ日のある森の川沿い)をイメージさせる。ISの可変する多彩な魅力を味わえる一枚である。