★デスベアCDレビュー★
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LOST DYE DISPERSE BEACH


HATE HONEY:LOST DYE DISPERSE BEACH




01.blueberry motel
02.summer snow
03.silent than silence and slower than slow
04.last summer susie
05.miss world


「JACK REGRET」から1年半置いてリリースされたファン待望のミニアルバム。
枯れたギターのストロークから始まり、「らしい」と思わせるフトシさんの声が叫ぶ。「blueberry motel」夜のトンネルを暴走するかのような、少し翳りのある轟音ソング。フトシ+ミツのツインギターはフル回転でストロークする。必死に何かを振り払うかのような、追い立てるようなメロディはロックの本質を感じさせる。ただ、聴いた後の感想はただ単純に「カッコいい」の一言しか出てこない。
新加入したドラムのFUCHIに対しても、何の不安もなく安心して聞けるぐらいのまとまりがある。
歌詞もフトシさんらしいストーリーがあり、この音圧を感じるだけでなく、歌詞を見ても十分ココロをうたれる。この一曲だけでもう十分な気がするぐらいHATEHONEYの王道をつっぱしっている。

02.SUMMER SNOWは2004年夏版の「SUNSET DRIVE」だという印象を受けた。「泣き」のメロディでグっと来る。夏の雪の奇跡。振り絞るようなフトシさんの声。これはなかなかたまらない。
インスト曲を挟んで「04.LastSummerSusie」だ。恐らくHATE HONEYファンは「え?」と思うが、そう、「Susie Song」のリアレンジバージョンだ。日記か、どこかのインタビューでフトシさんが語っていたが、過去の作品の歌詞をもう少し変えたい、と。今回の音源の一連の流れと、フトシさんの納得いく歌詞がマッチしたのか。今回歌詞が少し変わって収録されている。
ラストはあのコートニーのカヴァーソング。コーラスにREDRUMのYUMIも参加して、いつものHATEとは少しだけ違う雰囲気に仕上がっている。
コートニーや、洋楽ロックファンも必聴のミニアルバムだ。




HELL'S KITCHEN


HATE HONEY:HELL'S KITCHEN


06. Chair
07. I Hate Myself and I Want to Die
08. Screaming In My Head
09. Teenage Attitude
10. I Love You


01. Greed
02. I'll Kill Myself
03 . MurderHouse
04. BlanketShelter
05. TheGuns of Brixton


なんてスリリングなアルバムなんだ。'90年代にとぎすまされた"RIOT"を連想するNo1バンドとしてBLANKEYJETCITYがある。そのBJCをはじめて聞いたときのような感情がよみがえってくる。

いきなり1曲目からユニゾンしまくりのGとBがまるで内臓をぐるんぐるんかきまわされるかのような、内側からの衝動にかられる。そしてノイジーに明るさを演出するカッティングが印象的な[I'll Kill Myself]、あまりに痛々しいVoがリアルさを痛感させられる「MurderHouse」、最初と変わらずにリズム隊は重い音をがんがん投げつけてくる。GはCOCOBATの人が参加してるだけあって、張り裂けるような音が耳をつき、時にエフェクティヴなサウンドをきかせてくれる。
1曲目「Greed]と同じようにグルーヴィーなリズム、スピーディーなメロディと、同じようで全然違う雰囲気の曲。走り抜けるような「前へ」という衝動を感じる。最後までフトシは叫びつづける。

そしてここで一転、ようやくムーディーなベースがきこえ、female Voiceが入る。テンポはミドルで、大人の暗いBarで酒をゆっくり飲んでいるイメージが浮かぶ。ただし、終始はいっているSEが危険な雰囲気を演出しているがまったりときけるいい曲である。

続いてもミドルテンポ。鋭いギターの音の印象か…雨の中で唄うフトシの姿が目に浮かんできた。世間一般で受け入れられる曲だとは言えないが、本当に胸にしみるロックバラードだ!男の色気をかもしだす。タカギフトシという男の力量がよく見える曲である。

そしてHATEらしい曲調に戻る。ほぼインストゥルメンタルのような「I Hate Myself and I Want to Die」この曲が一番暴動のアジテーターのようだと感じる。高揚する気持ちは続く「Screaming In My Head」にも続く。この並びはじっと聞いていられるほうがおかしいと言えるぐらいカッコよく、心をかき混ぜてくれる。

代表曲の一つ、「Teenage Attitude」とにかく少年の、止まらない・とめられない無謀な衝動と欲望・願望、意思の強さ、向こう見ずな無鉄砲さといった感情がいっぱい。
初期BJCが好きならこのアブナサは心地よいのではないだろうか。刺激を求めるすべてのファッキンピープルはぜひ聞いて欲しい。

シメはHate流のLOVESONGだ。メロディがない、と言えてしまう今作の中で比較的口づさめる曲だ。歌詞も押し付けがましくなく、しかしすこしセンチになってしまうような哀愁と切なさと愛情。

HATE HONEYのやや強引とも言える強い音は、強く切なく胸をうつ。
個人的には英詩を好まないし、歌が前面に出ているほうが好きなので、アルバム「DETROIT」のほうが好きだが、ロック好きには外せないマストな作品だと胸をはって言える。




blow


HATE HONEY:blow


07 深い灰色の彼女のうた
08 「」
09 鐘の音は南へ
10 .まぼろしの羽根
11 紫


01. 風の無い夜
02. christina
03 . alice's barrette
04. forever youth culture
05. 夜の果て
06 yes


HATE HONEY、実に4年ぶりのニューアルバムである。
"blow"と名づけられたそのCDからはロック好きな野郎にはたまらないであろう危険な香りがプンプンしている。
もっとも、危険な香りだけなら前作、「HELL'S KITCHEN」のほうが暴力的で破壊的、とにかく豪快なアルバムだったのだが、今回何が違うのかというと、このblowには「ドラマ」があるのだ。

もともとHATEHONEYの歌詞は、フトシと敦、二人の歌詞だが、二人ともストーリー性のある歌詞を書いていた。1stアルバムDETROITで特にそう思うのだが、今回は唄に感情がいい意味で入りすぎているのか、バンド全体の意思の塊がそうなのかはわからないが、どの曲も、映画のワンシーン、あるいは全編のように思えてしまう。
危険なにおいをかもし出すロック少年の短くも鮮やかな、そして決して終わることのない青春をまるでこの1枚のCDは描いているように感じる。

01.風の無い夜
HATE HONEYの再始動の一曲目を飾るのは、2002年夏にリリースされたコンピレーションアルバム、「STYLE OF LIMITED2」にも収録されたHATE史上極上のポップチューン「風の無い夜」
いきなりギターとヴォーカルのみで入って、スピード感あふれるサビまで流れ込む。この曲はアルバム収録用に再度録音されており、サビのギターや、歌の感じがまるで違っている。
バックの音が少し聞きやすい感じ(軽い?)になっているが、フトシの唄の力強さは増すばかり。切なさと前向きさと無謀さのコントラストが印象的だ。

02.Christina
続いてはPVにもなっただけに、シングルカットをするとしたらこの曲だろうか。「クリスティーナ」
リズムがHATE HONEYの中でも一番?と感じるほど明るい。心地よいスピード感もあり、夜明けの海沿いの道を車で走っているような映像がうかぶ。

03.alice's barrette
さて、割と世間一般でいう「わかりやすい曲」がこのアルバムの導入部分となったが。「風の無い夜」も「クリスティーナ」も紛れも無いHATE HONEYだ。しかしやはりこんな曲を求めるファンが多いのではないか。「alice's barrette」
ハウリングギターから始まってイントロからサビまで徐々にヴォルテージが上昇。
「カッコいい!!」もう、それだけなんだ。
再始動後の新メンバーとして参加しているMITSUは、今までライヴでしかどんな人かと言うのを見れなかったが、カッコいいギターを弾く人だとここで認識できる。テクニックよりももっと味がある。

04.forever youth culture
続く「forever youth culture」もイントロからもう極悪だ。敦は顔の作りは穏やかだし、どこかのほほんとした雰囲気を持っているが紛れもなくロッカーだ。テンポは全く違うが、DETROITに収録されている「DOWN」の進化系ではないか、と感じた。HATE HONEYのサウンドの魅力の一つが「暴動を感じさせるほどの衝撃を与えてくれる楽曲」だ。それがこのアルバムの中では一番顕著に出ている。そんな中、感想の口笛は殺伐さの中にほんの少しの安らぎをくれる。
この曲は特にベースラインがカッコいい。

05.夜の果て
夏のSTYLE OF LIMITEDのイベントでも披露されていた「夜の果て」。重いユニゾンのリフと極悪な歌声が最高にロックしている。Aメロバックのギターのブラッシングが個人的にはやや目立ちすぎてるのが残念だがコンポ等のイコライザーをいじるといい感じ。

06.yes
雑誌「BANDやろうぜ」の付録CDに収録されていた「Yes」
再始動の最初の曲ということでガツンと来るのを想像していたら大間違い。静かにきれいなクリーントーンから入る。
渋いフトシさんの声とあまりにも澄んだギターの音、痛いほどキレイな音が夜の夜景を思わせる。が、一転激しくなり、HATEらしい重みとヴルーヴをかもしだしてくる。テンポはゆっくりながら、舞い上がるような高揚感。前半とは打って変わって極悪ヴォイス。体中に血が巡る感じがする。
こちらも「風の無い夜」同様今回のアルバムでは再録されている

07.深い灰色の彼女のうた
静かな「深い灰色の彼女のうた」。ラストの「紫」とは少し違うバラードだ。サビでは「激情」する歌。本気のパワーが唄にやどっている。もちろんツボをしっかり押さえているベースやドラムもいい。

09.鐘の音は南へ
「え?これはHATE HONEYか?」そう言いたくなるような曲。なんとレゲエのリズム。「鐘の音は南へ」
爽やか過ぎる歌詞が今までのHATEファンには戸惑わせてしまうのではないだろうか?しかし。尖ってイカツイだけがHATEHONEYじゃない!って事が感じられるはず。
MITSUは初めてこういう曲を弾いたそうだが気持ちよくハマっていて表で聞きたくなる。

10.まぼろしの羽根
このアルバムの中で一番「パーティー」に似合うのは紛れも無くこの「まぼろしの羽根」だろう。
テンポはそれほど速くないが、常にフルパワーで歌うフトシの唄。いわゆるモンキーダンスも似合うリズムだ(テンポは遅いが)
ただ、BメロのエンディングからAメロに戻る部分、また、Bメロからサビにかかる部分は紛れもなくフトシさんの声・唄が生きていて、爆音で聞くと本当に気持ちが良い。代表曲、「Teenage Attitude」等とはまた違った意味でLIVEで映える曲になるだろう。歌声・メロディに体が押し上げられて本当に気持がいい曲だ。コーラスワークも今までに無いHATE HONEY。聞き所の一つだ。

11.紫
日記などを見ていると、こういうのがありそうだったのだが、意外に無かったフトシの弾き語り。ほぼギター一本で(静かに鳴っているピアノはあるが)歌い上げる男の姿が目に浮かぶ。
こんな雰囲気をもつバンドのアルバムがこういった曲で締められるのもまたいいもんである。「紫」
映画、「シド アンド ナンシー」の舞台にもなったホテルチェルシーの一室だったり、雨の中をずぶ濡れで歩いている姿だったり、色々なフトシの姿が浮かぶ。
少し切なくて、少しセンチで。強い男の中にちょっとだけ女々しい所もあって。
そう、この曲からは本当に等身大の高木フトシの"人"が見えるのだ。あくまで個人的な意見なのだが、そう思う。
このアルバムはただ尖がるだけがロックじゃない事。
そしてロックって本当にダイレクトに胸に届いてくるんだって事を教えてくれる。




JACK REGRET


HATE HONEY:JACK REGRET




01.JACK REGRET
02. CAN'T TAKE MY EYES OFF OF YOU
  (BOYS TOWN GANG cover song)
03 . LA LOTTA BABY


煌く様な音、雄大な広がりの第一音で始まるHATE HONEY復活後第一弾マキシシングル「JACK REGRET」
アルバムで一通り出し切った後の音源として、ワンランク上のクオリティを求めて聞き始めたが、期待以上のいい作品に仕上がっている。
タイトルナンバー「JACK REGRET」の歌いだしはスタッカート気味のベースがメロディを押し上げる。HATE HONEYの何がかっこいいかという一つに、どこからでも攻撃してくると言う所がある。メロウで聞きやすいメロディながら、その影では唄の援護射撃を行っている。
静かなAメロから高揚感を煽る、しかしまだ押さえ気味のBメロへ移動し、いきなりシャウトが入る。強烈なその歌声の歌詞が「GOD BRESS YOU」なだけに面白い。若干唐突過ぎる感もあるが、どちらかというと世間で言う「普通の曲」に近いのに、いきなりこういう悪ロック的要素を入れてしまうのが「らしい」
とはいえ全体的に本当に聞きやすくロックなナンバーである。

M-2はカヴァー曲。TeenthrashでもBlurをカヴァーしていたが今回はなんとBOYS TOWN GANG「君の瞳に恋してる(CAN'T TAKE MY EYES OFF OF YOU)」だ。シンセがギターにかわり、テンポも1,5倍ぐらい?「GO!」というシャウトが入ったりして中々笑える。
サビ前に一瞬ブレイクがあり、Drのカウントが入る事によりものすごく曲に締まりを出している。カヴァーではなくただ「こぴー」している人も少なくは無いが、この「君の〜」にはHATEの味がでまくりだ。一聴の価値あり。

M-3を始めて聴いた時は「ベタな...」と思ってしまった。連想するキーワードは「JOHNNY BE GOOD」等。60年代ぐらいのロカビリー調なんばー「ラロッタベイビー」
既にライヴで聞いてはいたものの、改めてCDで聴くと、より「ベタさ」が強調されているように思う。「デスコ」で踊りたくなってしまう曲調は楽しいロックバンドである。この辺りはベース八田のルーツがフィーチャーされているので「とうとう来たか」という感じだが、それにしても復活後のHATEの幅の広さを感じさせる挑戦だ。
また、八田は一部ヴォーカルも担当しており、「いきがった小悪魔」的な声を聞かせてくれる。
MITSUのギターも決して"ロックらしいプレイではない"のにキレイに弾きこなしている。その辺りも「巧い」のである。

アルバムも安価だったのだがこの作品も3曲で税込み1,000円。
「もっと金を出しても買う価値はある」と言えてしまえる作品である。