AMERICAN PEARL/「AMERICAN PEARL」

2000年にリリースされたアメリカの「ろけんろーる・バンド」のデビュー・アルバム。

 HM/HR界は1990年に入り、グランジ・オルタナ・ブームにより勢いを失った。数々のバンドがグランジ・オルタナ・ブームに迎合し、その音楽に輝きを失った時代であった。
しかし、それも所詮は「ブーム」にすぎなかった。そのブームの終焉によって、多くのHR/HMバンドは従来の音楽性を取り戻した。
 もっとも、アメリカにおいては、80年代的な音楽性をもったバンドはほとんど皆無と言っていい。今、アメリカにあるのはモダンなヘヴィ・ロックとエアロスミスやバックストリート・ボーイズに代表されるような大衆ロックなのである。



 さてさて、こんな前フリはあまりにも一面的な情報で、使い古された表現なので、書くのもこっぱずかしいですが、今回紹介するAMERICAN PEARL、通称「あめぱ」(笑)を語る上で、一応の前提としておきたいのです、ハイ。

 最近、やっち。はBACKYARD BABIES(以下BYB)やHARDCORE SUPERSTAR(以下HCSS)という、いわゆる「スカンジナビアン・ロック(両バンドともスェーデン出身)」なぞにハマッてしまい、人生のBGMとなっていました。そんで、かつてはあまり興味のなかった「ろっくん・ろーる」な音を出すバンドを漁っていたのです。
 で、そんな中、見つけたがこの「あめぱ」(以下AP)なのです。

 アルバム全体の印象は「骨太ロック!」というカンジです。
 先述したBYB、HCSSはどちらかというと暴走する中で哀愁のただようメロディがそこかしこに現れる、といった音楽性です。他方、APは楽器の出す音質は共通したものがありますが、哀愁のメロディとまではいかず、アメリカらしい「大地の香り/笑」がただようカンジなメロディなんです(ああ、わかりにくい)。
 ま、日本人の持つ「ヨーロッパ人(しかも北欧)」と「アメリカ人」を思い浮かべて、両者が音楽で表現するとしたらこんな違いが出るだろうなぁ、という漠然たるイメージができるならば、それが結構そのまま当てはまるのです。ヨーロッパは湿り気のあるメロディー、アメリカはカラッとしたメロディなんです(もはやゴリ押し)。

 で、オススメな曲紹介。
 @からもうアメリカの大地に浮かぶ夕日に向かって歌いたいぜ!!ってなカンジの非常に開放感溢れる曲(あ、でも曲名は「California」だ/汗)。
 あとG。イントロだけを聴くと「お、メタル!?」みたいなギター・リフから始まりますが、実際はとても感動的でパワーのあるバラードです。これまたお台場の夕日に向かって歌いたいぜ!!てなもんで、サビがとてもいいのです。さぁ、皆さんもご一緒に「One Love〜♪」って歌おうぜっ!!
 他の曲も、たまにギター・リフが「お、THUNDER HEAD(今は無きドイツのメタル・バンド)か?」と思えてしまうこともありますが(笑)、パワフルで良い曲ぞろい。しっかし、今のアメリカからこんな良いろけんろーる・バンドが出てくるんだねぇ、とちょっと感動のやっち。でした。

※「スカンジナビアン・ロック」という語は現在の北欧出身のロック・バンドを指す語として使われることがありますが、厳密にこういった音楽性である、とはっきりとは言い切れないのかもしれません。しかし、一応の想定としては、馬鹿デカイ音を出す暴走系のロック・バンドだけに限らず、現在のアメリカのようなモダンなヘヴィネスを強調しない北欧出身のロック・バンドを指す語として使われていると思います。
HARDCORE SUPERSTAR/「THANK YOU」

 @Aのためだけに2500円払っても聴く価値はあると思います。ま、3曲目がミドル・テンポで勢いが削がれるのが問題なんだろうけどなぁ・・・。