今回おとずれるた秩父市蓼沼は化石産地として有名なところで、地ハイでもこれまでに何度もきています(最近では、96.10.27.第302回)。さらに、10月に発行予定の新版「日曜の地学〜埼玉の自然をたずねて〜」(築地書館)でも紹介されている場所です。今回の見学地である、秩父市黒谷〜蓼沼周辺には、今から約1500万年前(新生代新第三紀)の地層が分布していて、それを荒川・横瀬川の流域でみることができます。今日はその新第三紀層の観察と化石採集、新第三紀のれき岩中のレキと現在の川原のレキとの比較、さらに荒川と横瀬川のレキの比較、などを行いました。
レキの観察では、昨年出版された「地学ハンドブック・川原の右の調べ方〜荒川の石〜」を使いました。
最近は『秩父』というと、50万年前とか、35万年前のことが騒がれていますが、もっと古い時代にもたくさん興味深いことがありました。地層の石をたたき、化石をさがしながら、はるか昔の秩父のようすに思いをはせてみました。
今回の見学コースの概要は次の通りです。
日時:8月20曰(日) 10:00
集合:秩父鉄道「黒谷」駅 解散:「黒谷」駅 16:00頃
みどころ @荒川と横瀬川の合流地点で「河原の石」の観察
A秩父盆地を埋めた「新第三紀の地層」(砂岩礫岩互層)
B秩父盆地に見られる「いろいろな種類の化石」
コース:秩父鉄道黒谷駅→和銅大橋上流の川原→下小川橋下の川原→
蓼沼→黒谷駅
主 催:地学団体研究会埼玉支部、日曜地学の会
案 内:岡野裕一(飯能高校)、橋屋功(伊奈学園高校)、力田正一(早稲田大学)
松本昭二(所沢市在住)
地形図 国土地理院1/25,000「皆野」
持ち物:弁当、水筒、ハンマー、筆記用具、定規、新聞紙
参加費:100円(保険代・資料代・諸経費)
今回は案内者のご厚意により案内パンフをもってハイキング記録といたします。
ホームページ作成者は参加していません。ごめんなさい。
秩父盆地には、今から約1700〜1400万年前(新生代新第三紀)の地層が分布していて、全体での厚さは約5000mにもなります。主に、砂岩・泥岩・れき岩からなり、一部に凝灰岩層もはさまれています。地層の走向は、盆地の西部と北東端で南北方向、中央部から北部では東西方向で、全体としては逆S字型、Z字型の構造です。
多くの化石が含まれることなどから、秩父盆地の第三紀層はこれまでにたくさんの研究者によって調べられてきました。層序区分もいろいろなものがだされていますが、よく使われているのは1960年の新井・菅野(英文)のものです。それによると、秩父盆地の新第三紀層は下位より、彦久保層群、小鹿野町層群、秩父町層群に区分されています。今回の見学地周辺には、秩父町層群の奈倉層と鷺の巣層が分布しています。
「地学ハンドブック・川原の石のしらべ方−荒川の石−」には、荒川沿いのレキ調査の結果がのっています(p 29)。荒川の川原のレキの傾向がわかります。ちょうどこの橋の下流約250mのところでのレキ調査のデータもあります。
なお、ころがっている石をいくつか集めて持ち帰れば、レキの標本板をつくることもできます。