Sの陰謀
スポーツというのは本当にいいものである
特にスタンディングオーベーションなどが起こった時は感動そのもの
結果を出したもの
不本意な結果に終わったもの
参加したすべてのものに拍手が贈られる
しかしそれを否定した男がいた
高校時代にまでさかのぼる
ある日、友達2人が討論をしていた
議題は「スタンディングオーベーションは本当にいいものなのか?」
スタンディングオーベーションを肯定するS
あくまで否定するK
Kはすべてを否定するわけではなく、敗者への拍手はいらんと主張!
K「憐れみの拍手なんていらない!!」
私を含め、周りで聞いて奴らもKのその発言には納得
自分がその立場なら一刻も早くその場から立ち去りたい気持ちになるだろう
や、やめてくれ!憐れみの拍手は!!!そっとしておいてくれぇ!!
その発言で圧倒的にKが有利
しかしSは負けじとスポーツのすばらしさを語る
だが周りにいるやつら(私を含む)は鬼畜な輩ばかりである
すでにK支援者多数!!
この勝負、すでに決定的!!
30分後、予想通りS完敗、、、
しかし最後までSは抵抗していた
なぜゆえSはそこまでムキになるのだ?
正直Sは肥満児と呼ばれる部類に属し、スポーツとは無縁の男である
いったいなぜなんだ???
その理由がわかったのは1ヶ月後であった
1ヵ月後、校内マラソン大会があった
上位をめざしているもの
参加することに意義があるとすでにあきらめているもの
生きざまみとけ!とほえてるもの
そこにはいろいろな輩がいた
寒さで体の震えもピークに達したころ、大会は開始された
8キロもの山道
ありえんと連呼しながら走る俺
走る楽しさなどわかる前にゴール
しかし達成感は十分味わえた
走り終えた輩が集りお互いの健闘をたたえる
まさに戦友の集い
葉巻でも吸いたい気分だ
そして次々に皆ゴールしていきほとんどが完走できた
ゴールしてから30分
未だなんの進展もない
おいおい、すっかり体はひえちまったぜ!
そんな野次が発せられようがお構いなしに進展なし
先生に尋ねると未だ一人走ってる輩がいるとのこと
5分後
先生たちが一斉に拍手をしだした
まさにスタンディングオーベーション
俺たちは最後の輩の姿をみて驚愕した
なんと最後の輩はS!!!
しかもトラックにはいった瞬間、100メートル走ばりの猛ダッシュ
あきらかなる計算
Sが体力をこの瞬間のためだけに温存していたことは間違いなかった
そのときのSの顔は ビバ!青春!! といわんばかりだった
拍手を心地よく感じながらトラックを激走するS
それをみたKは後にこう語った
K「やられた・・・」
まさに俺らは敗者
「やめてやってくれ〜〜憐れみの拍手は!!!」
いくら俺らがそう叫ぼうとも虚しいだけだった
そうしてSのためだけのマラソン大会は幕を閉じた
恐るべしS
一ヶ月も前から布石をとうじていたとは・・・
俺は一生そのときのSの顔と言葉を忘れない
S「はぁはぁ・・・・アメリカ万歳」