エイリアン日記

パティ!富士山は苗場にはないぞ(笑) [2003年07月17日(木)]
赤坂BLITZで行われたPatti Smithに行った。日本ツアーの最終日だ。

開演時間ちょうどに前座のJUDEが登場。ギターは椎名林檎も好きな浅井ベンジー健一。声が苦手でBJC時代もどちらかと言えば避けていたのですが、初めて見たステージは素直にカッコイイと思った。前座としては長めとも思える約40分でしたが、Pattiファンからも暖かい声援が送られ、とても良い感じで終了、セットチェンジに入りました。場内のBGMはPattiが好きなJimi Hendrixの『Electric Lady Land』。

ほぼ20時ジャストに客電が落ち、Patti Smith Groupがステージに現れた。上手には大昔からの同僚Lenny Kayeが優しい表情で立ち、下手には現在のPattiの恋人Oliver Rayが立つ。1曲目は大好きなアルバム『Radio Ethiopia』のオープニング「Ask the Angels」だ!!このツアーでは毎回セットを細かく変更しているのだが、個人的に好きな曲でスタートしたのでイキナリ嬉しい。もう57歳になる彼女だが、年齢を全く感じさせないパワフルな表現、そして時折見せるチャーミングな表情、男よりも男らしく見える瞬間もあるし、ハッとするほど女を感じさせる瞬間もある。年齢だけでなく性別も超越したかのようなアーティストだ。

何曲目かでLennyのアコギの弦が切れたのだが、その後「弦が切れるのは運が悪いのはなく、幸運なことを意味するのよ。」みたいなコメントをした。この発言に代表されるように戦争や政治をテーマにした曲も非常にポジティブなメッセージ色が強かったように感じた。また、「日本にはマクドナルドもスターバックスもあるけど、漱石や弁慶などの文化も忘れないで欲しい。」との発言を聴き、我々日本人以上に日本の良さを理解し愛そうとしている姿勢に感動した。ただし、何度かあったMCから想像すると、FRFが行われている苗場の山を「富士山」だと思っているっぽいのだが、これはダメだ。早めに本物の富士山を見て勘違いを訂正して欲しい(笑)。

ハイテンポな曲でもじっくり歌い上げる曲でも、とにかく彼女の存在感がでかく、発散されるオーラももの凄い。かと言って近寄りがたい存在ではなく、ステージ上から客席の手をはたくだけでは物足りなくなり、柵の前まで降りてきて最前列の人達に端からハイタッチを行うなど、積極的に観客とのコミュニケーションを取っていた。途中、巻き上げブーツとソックスを脱いだとき、片方のソックスを客席に投げ入れるようなふりをして自分のパンツの中に押し込んでみたり、口に含んだ水を客席に向かって吹き出すのかと思わせてフェイントかけたりとお茶目な仕草も親近感アップだった。

じーんと来たのが「広島や長崎で亡くなった人々に捧げる」とのMCでスタートした「Beneath the Southern Cross」。場内のあちこちでライターを掲げてPattiの意志に応える観客の姿。本編後半は「People Have the Power」、「Because the Night」などお馴染みの曲が怒濤に繰り出され、最後は「Gloria」でBLITZ全体が一体となっての大合唱。他の日のセットも見たけど今日のセットの方がロック色が強い気がする。素晴らしい!わんだふー!

アンコール1曲目は「みんなも知ってるフォーク(ソング)を歌うから、一緒に歌って!」と彼女のコメントでスタートだ。何が演るのかと思ったら、聴き慣れたイントロでThe Rolling Stonesの「Jumpin' Jack Flash」が始まった。知名度が高い曲だと言うこともあるけど、Pattiの曲よりも場内で一緒に歌う人が多かったのは焦った(笑)。続いて「Land(Horses)」で更に盛り上げ、オーラスは「Rock'n'Roll Nigger」で会場中の人を完全に虜にしてしまった。 たっぷり20曲以上約2時間半!圧巻のステージだった。

Ask the Angels
Waiting Underground
Redondo Beach
Dead City
Spell (Holy)
Frederick
1959
Beneath the Southern Cross
Ghost Dance
Dancing Barefoot
Summer Cannibals
New Party
About a Boy
25th Floor
Break it Up
People Have the Power
Gloria

Jumpin' Jack Flash
Because the Night
Land
Rock'n'Roll Nigger

ちなみにお馴染みポエトリーリーディングに使用した本はAllen Ginsberg著の「Howl and Other Poems」。