洋楽ロック・ポップ・ソウルアルバムの世界

1988-1989年のアルバム紹介

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Don't Be Cruel / Bobby Brown (1988)

 

アメリカはボストン出身、80年代のSoulグループ New Editionのメンバー、Bobby Brownの2作目にして大ヒット作です。Teddy RileyがMixingをした「My Prerogative」が全米1位のヒット、La Reid & Babyfaceの書いた「Don't Be Cruel」が全米8位、「Roni」が全米3位、「Every Little Step」が全米3位、「Rock Wit'cha」が全米7位とシングルヒットを連発し、アルバムは全米1位に輝き、全米だけで700万枚のセールスを記録しています。

90年代にヒップホップが時代の中心になりますが、ラップを交えたソウルサウンドはBobby以降主流となっていきます。シンセサイザーを使ったモダンなR&BヒップホップであるNew Jack Swingの代表曲「My Prerogatve」は時代の象徴でもあり、このアルバムでヒットを数多く手掛けたBabyfaceはヒットメイカーとして90年代のR&Bサウンドの中心で活躍しました。

★★★★

 


Kaleidscope World / Swing Out Sister (1988)

   

イギリスはマンチェスターで結成されたポップバンドSwing Out Sisterの2枚目のアルバム。前作からドラムのマーティンが抜けたことでオールドポップス色が強くなっていますが、アルバムタイトルの「万華鏡の世界」のようにカラフルかつゴージャスなアルバムになっています。

アルバムは先行シングルの「You On My Mind」に始まり「Where In The World」、「Forever Blue」と派手さは無いものの映画のスコアサウンドのようなゴージャスなポップスが展開。シングル向きな「Waiting Game」は唯一と言っていい前作の路線を引き継いダンスナンバー。コニーのスキャットが美しいインストゥルナンバーの「Coney Island Man」とバラードの「Forever Blue」も聴きどころの一つです。

★★★


Rhythm Nation 1814 / Janet Jackson (1989)

 

87年に『Control』でブレイクしたMichael Jacksonの妹 Janet JacksonがJam & Lewisと組んで作り上げた大作で「Miss You Much」「Escapade」「Black Cat」「Love Will Never Do(Without You)」の4曲が全米1位獲得。「Rhythm Nation」が全米2位、「Alright」が全米4位、「Come Back To Me」が全米2位と実に7曲がTop5ヒットという驚異的なヒットを記録して、当然ながら全米1位を獲得しています。

アルバムはJam & LewisとJanetのコラボによるシンセサイザーを使ったFunkナンバーを中心に据えながらHard Rockやダンスポップなど幅の広い音楽があります。またシングルの間にInterludeを交えながら一本の映画のように最初から最後まで流れるような展開が素晴らしい名盤です。

★★★★

Paul's Bountique / Beastie Boys (1989)

 

アメリカはニューヨークで結成されたヒップホップグループBeastie Boysの大ブレイクした『Licence To Ill』に続く2作目です。前作があまりにも売れているのに比較してこのアルバムは全米14位という惨敗で、シングルヒットは「Hey Ladies」が全米チャートで36位のヒットでしたが、緻密なサウンドクリエイトによるヒップホップサウンドは今もなお高い評価を受けています。

シングルヒットの「Hey Ladies」は曲としてギリギリ成立しているようなヒップホップナンバー。Beatlesの「The End」をサンプリングした「The Sound Of Science」も独特です。アルバムは穏やかで荘厳なオープニングを突き破って怒涛のラップが進みクラブにいるようなハイテンションなナンバーが連続し、後半の大曲には圧倒されます。

★★★

Kite / Kirsty MacColl (1989)

 

UKのパンクロックのシンガーで、U2のプロデューサーとしても知られているスティーブ・リリー・ホワイトの妻でもあるKirsty MacCollがVirginレーベルに移籍して発表されたアルバム。Kirsty MacCollはクリスマスソングの定番「ニューヨークの夢」やトレイシーウルマンがカバーしてヒットした「They Don't Know」が知られています。

アルバムはどの曲も完成度が高く、いくつものクライマックスが用意されながらトータルアルバムとしてまとまりがあります。トラディショナルなロックサウンドを中心としながら、世界中のあらゆるポップミュージックが凝縮され、そんなサウンドをKirsty の暖かい声とハーモニーが包み込み、異次元の世界に誘います。オープニングのロックナンバー「Inocent」、Kinksのカバー「Days」。Beatlesチックな「No Victim」などが収録されています。

★★★★


Freedom / Neil Young (1989)

   
カナダはトロント出身のシンガーソングライターNeil Youngの17枚目のアルバム。全米アルバムチャートで35位ですが、全12曲、ノイジーでハードなギターとポップなメロディで埋め尽くされ、順位以上に当時から絶賛されていました。

アルバムに収録されている「Rockin' In The Free World」は90年代に大ブレイクするPearl JamがLiveでカバーをずっとやっていたロックのアンセム。スパニッシュギターな「Eldorado」や爆音ギターの「Don't Cry」、ピアノの調べが美しい「Wrecking Ball」など大ベテランロッカーながら、90年代のオルタナロックサウンドに影響を与えました。

★★★★


End Of Innocence / Don Henley (1989)

 

Eaglesのメンバーで、アメリカはGilmer出身のシンガーソングライターDon Henleyのソロ3作目の作品。全米チャートで8位ながら、600万枚を売り上げています。アルバムから「The End Of The Innocence」が全米8位、「The Last Worthless Evening」が全米21位、「The Heart Of The Matter」が全米21位を記録しています。

私にとっては洋楽の奥深さを思い知らされた一枚で、アルバムはDon Henleyの書くまるでショートストーリ―のような歌詞と美しいメロディで彩られた名盤です。Bruce Honsbyのピアノのメロディをバックに人生の喪失感と旅立ちを歌った「The End Of Innocence」、Eaglesの再結成に繋がったであろう「The Heart Of The Matter」の歌詞は泣けます。

★★★★



Ninety / 808 State (1989)

 

イングランドはマンチェスターで結成されたエレクトロポップバンド808 Stateの2ndアルバムで全英チャートで57位と地味な順位ですが、初のメジャーヒットとなる「Pacific State」が全英チャート10位を記録しています(アルバムでは「Pacific 202])。

エレクトロですがヒップホップな要素を含んだパンクな雰囲気があり、躍動感のあるリズムがあって、メロディが美しいですが、スクラッチノイズが入ったり、サックスがアレンジされたりと不思議なテクノポップアルバムになっています。アルバムは繋がりが良く、ライブに入ったかのような構成になっています。前半3曲のクライマックスがハイテンションな「Cobra Bora」でマックスになってからの「Pacific 202」が聴きどころです。

★★★