アメリカはボストン出身、80年代のSoulグループ New Editionのメンバー、Bobby Brownの2作目にして大ヒット作です。Teddy
RileyがMixingをした「My Prerogative」が全米1位のヒット、La Reid & Babyfaceの書いた「Don't
Be Cruel」が全米8位、「Roni」が全米3位、「Every Little Step」が全米3位、「Rock Wit'cha」が全米7位とシングルヒットを連発し、アルバムは全米1位に輝き、全米だけで700万枚のセールスを記録しています。
90年代にヒップホップが時代の中心になりますが、ラップを交えたソウルサウンドはBobby以降主流となっていきます。シンセサイザーを使ったモダンなR&BヒップホップであるNew Jack Swingの代表曲「My Prerogatve」は時代の象徴でもあり、このアルバムでヒットを数多く手掛けたBabyfaceはヒットメイカーとして90年代のR&Bサウンドの中心で活躍しました。
★★★★
Forever Your Girl / Paula Abdul (1988)
チャートに登場してきた数多くのシンデレラガールの中でも語り継がれるであろう一人がPaula Abdulです。『Forever Your Girl』は80年代の終わり、Janet Jacksonといったスターの振り付け師をしていたPaula Abdulが88年に発売したデビューアルバムです。
最初のシングルはまだ売り出し中だったBabyfaceの手がけた「Knocked Out」ですが結局全米40位ヒットに届かず、2ndカットの「The Way That You Love Me」もまた100位内でも下位で終わるほどの散々な結果に終わります。しかし3曲目のカット「Straight Up」では白黒の映像の中に振り付け師で名を挙げていたPaula Abdulのタップダンスを含めたダンスが披露されMTVでヘビーローテーションされたことで全米1位に昇り詰めます。そこからは勢いが加速して、「Forever Your Girl」(全米1位)「Cold Hearted」(全米1位)「The Way That You Love Me」(再カットで全米3位)「Opposites Attract」(全米1位)と4曲の全米1位を含む5曲が大ヒットを記録しました。アルバムは全米1位を獲得して、全米だけで700万枚のセールスを記録しています。
★★★
Kaleidscope World / Swing Out Sister (1988)
イギリスはマンチェスターで結成されたポップバンドSwing Out Sisterの2枚目のアルバム。前作からドラムのマーティンが抜けたことでオールドポップス色が強くなっていますが、アルバムタイトルの「万華鏡の世界」のようにカラフルかつゴージャスなアルバムになっています。
アルバムは先行シングルの「You On My Mind」に始まり「Where In The World」、「Forever Blue」と派手さは無いものの映画のスコアサウンドのようなゴージャスなポップスが展開。シングル向きな「Waiting Game」は唯一と言っていい前作の路線を引き継いダンスナンバー。コニーのスキャットが美しいインストゥルナンバーの「Coney Island Man」とバラードの「Forever Blue」も聴きどころの一つです。
★★★
Rhythm Nation 1814 / Janet Jackson (1989)
87年に『Control』でブレイクしたMichael Jacksonの妹 Janet JacksonがJam & Lewisと組んで作り上げた大作で「Miss
You Much」「Escapade」「Black Cat」「Love Will Never Do(Without You)」の4曲が全米1位獲得。「Rhythm
Nation」が全米2位、「Alright」が全米4位、「Come Back To Me」が全米2位と実に7曲がTop5ヒットという驚異的なヒットを記録して、当然ながら全米1位を獲得しています。
アメリカはニューヨークで結成されたヒップホップグループBeastie Boysの大ブレイクした『Licence To Ill』に続く2作目です。前作があまりにも売れているのに比較してこのアルバムは全米14位という惨敗で、シングルヒットは「Hey
Ladies」が全米チャートで36位のヒットでしたが、緻密なサウンドクリエイトによるヒップホップサウンドは今もなお高い評価を受けています。
シングルヒットの「Hey Ladies」は曲としてギリギリ成立しているようなヒップホップナンバー。Beatlesの「The End」をサンプリングした「The
Sound Of Science」も独特です。アルバムは穏やかで荘厳なオープニングを突き破って怒涛のラップが進みクラブにいるようなハイテンションなナンバーが連続し、後半の大曲には圧倒されます。
アルバムに収録されている「Rockin' In The Free World」は90年代に大ブレイクするPearl JamがLiveでカバーをずっとやっていたロックのアンセム。スパニッシュギターな「Eldorado」や爆音ギターの「Don't Cry」、ピアノの調べが美しい「Wrecking Ball」など大ベテランロッカーながら、90年代のオルタナロックサウンドに影響を与えました。
★★★★
End Of Innocence / Don Henley (1989)
Eaglesのメンバーで、アメリカはGilmer出身のシンガーソングライターDon Henleyのソロ3作目の作品。全米チャートで8位ながら、600万枚を売り上げています。アルバムから「The End Of The Innocence」が全米8位、「The Last Worthless Evening」が全米21位、「The Heart Of The Matter」が全米21位を記録しています。
私にとっては洋楽の奥深さを思い知らされた一枚で、アルバムはDon Henleyの書くまるでショートストーリ―のような歌詞と美しいメロディで彩られた名盤です。Bruce
Honsbyのピアノのメロディをバックに人生の喪失感と旅立ちを歌った「The End Of Innocence」、Eaglesの再結成に繋がったであろう「The
Heart Of The Matter」の歌詞は泣けます。