洋楽ロック・ポップ・ソウルアルバムの世界

1986-1987年のアルバム紹介

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True Blue / Madonna (1986)

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ミシガン州Bay City出身のポップシンガーMadonnaの3枚目のアルバムで、80年代のMadonnaのキャリアの一つのピークとも言えるアルバム。全米、全英1位は勿論のこと、日本も含め世界各国で1位を獲得しています。シングルも「Live To Tell」(全米1位、全英2位)、「Papa Don't Preach」(全米1位、全英1位)、「True Blue」(全米3位、全英1位)、「Open Your Heart」(全米1位、全英4位」、「La Isla Bonita」(全米4位、全英1位)と5曲の1位曲が収録されています。

アルバムはPatrick LeonardとStephen Brayという新進気鋭のソングライターを使ってカラフルでメロディアスな曲で仕上げられ、この二人は後にBreakfast Clubとしてもシングルヒットを生み出しています。「Live To Tell」は当時付き合っていたショーンペン主演映画『Fire With Fire』の曲で、「Papa Don't Preach」は若い子供の妊娠を扱って社会問題にもなりました。このアルバムでMadonnaはスターの地位を確固たるものにした、80年代を代表するポップアルバムです。

★★★★

 


Let It Loose / Gloria Estefan & The Miami Sound Machie (1987)

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キューバはハバナ出身で、マイアミで活動するラテンポップシンガーGloria Estefanの1987年の全米6位、全英1位を記録した大ヒットアルバム。「Rhythm Is Gonna Get You」(全米5位)、「Betcha Say That」(全米36位)、「Can't Stay Away From Me」(全米6位)、「Anything For You」(全米1位)、「1-2-3」(全米3位)と5曲ヒットを放ち、初の全米1位曲も生み出しています。

ブレイクした前作『Primitive Love』以上にソングライターとしての幅の広さを感じさせる内容で、モータウンサウンドに始まり、ラテンポップス、バラードのバランスがよく、コンサートをそのまま収録したような構成が素晴らしいです。

★★★

Skylarking / XTC (1986)

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イングランドはSwindonで結成されたポップロックバンドXTCの9枚目のアルバムで、チャート記録は全英90位、全米70位とXTCのキャリアの中でも最も売れていない作品にもかかわらずロックの名盤には必ず名前が上がります。

アルバムは70年代を代表するポップミュージックのアーチストTodd Rundgrenがプロデュースをしていますが、制作中のバンドとの仲はとても悪い状態だったと言われます。しかし作品はBeatlesの『SGT Pepers Lonely Hearts Club Band』を彷彿とさせるようなメロディアスでトータルアルバムとして高い完成度があり、特に終盤の構成は感動的です。

★★★★

Rapture / Anita Baker (1986)

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オハイオ州Toledo出身のR&BシンガーAnita Bakerの2枚目のアルバムで、「Sweet Love」が全米8位のヒットを記録したことにより、アルバムは全米11位を記録、全米で500万枚を売り上げる大ヒットアルバムとなりました。「Sweet Love」はGrammy賞でBest Female R&B Vocal Performanceを受賞しています。

アルバムはQuiet Stormと呼ばれる80年代のソウルの代表的なアルバム。Anita Bakerのボーカルは力強く伸びやかでありながら、艶やかで、70年代の純粋なソウルを蘇らせています。

★★★★

Faith / George Michael (1987)

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UKのポップグループWhamとして活躍したイングランドはEast Finchley出身のシンガーソングライターGeorge Michaelの初のソロ作品。87年から89年にかけて「Faith」(全米1位、全英2位)、「Father Figure」(全米1位、全英11位)、「One More Try」(全米1位、全英8位)、「Monkey」(全米1位、全英13位)、「Kissing A Fool」(全米5位、全英18位)にアルバム発売前にヒットしていた「I Want Your Sex」(全米2位、全英3位)と6曲のヒットを生んで、Michael JacksonやMadonnaに並ぶ80年代のポップスターとなりました。

Wham時代とは違ったデジタルビートを使ったダンスサウンドや、Jazzやゴスペルのような幅広い音楽といった音の広がりがあり、アルバム全体で「I Want Your Sex」を中心に組み立てられたトータルアルバムとしての完成度もある、80年代を代表するポップアルバムです。

★★★★


Bad / Michael Jackson (1987)

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Michael Jacksonの記録的な作品『Thriller』に続き出されたアルバムは、あまりに大きすぎる前作を超えることはできませんでしたが、それでも世界中で1位を記録した大ヒットアルバムとなりました。

『Bad』は全ての曲がシングルヒットのポテンシャルを持ち、プロモーションも計算されつくしたものでした。マーティンスコセッシュ監督による「Bad」のプロモーションビデオに始まり、平行して行われた「Bad」ツアー、Grammy賞での「Man In The Mirror」のパフォーマンス、ディズニーランドの「キャプテンEO」収録の「Another Part Of Me」、そして映画「MoonWalker」。シングルヒットは計算されたように生み出され、全米で「I Just Can't Stop Loving You」「Bad」「The Way You Make Me Feel」「Man In The Mirror」「Dirty Diana」が5枚連続で1位を獲得。その後も「Another Part Of Me」が全米11位、「Smooth Criminal」が全米7位と全米Top40ヒットを7曲生み出しています。全英では「Leave Me Alone」が全英2位、「Liberian Girl」が全英13位と9曲がヒットするなど一枚のアルバムからシングルヒットが大量に登場した80年代後半を代表するスーパーアルバムです。

★★★★


Sign O The Times / Prince (1987)

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ミネアポリス出身のR&BアーチストPrinceの87年に発売された2枚組アルバムで全米6位を記録しています。シングルヒットは「Sign O The Times」(全米3位)、「U Got The Looks」(全米2位)、「I Could Never Take The Place Of Your Man」(全米10位)と3曲の全米Top10ヒットを記録しています。

この頃のPrinceはまさしく絶頂期で、大ヒットした『Purple Rain』以降は『Around The World In A Day』(85年)、『Parade』(86年)とこの『Sign O The Times』が1枚のスパンでリリースされて、それがどれも名作でした。「Sign O Times」はドラッグやエイズ、スペースシャトル事故など当時の社会問題を歌うナンバーで、話題になりましたが、シングル以外でも「Play In The Sunshine」はポジティブで愛溢れるメッセージのダンストラックで、TLCにカバーされた「If I Was Your Girlfriends」やラストの「Adore」も今だによく語られるR&Bの名曲。超ファンキーな「Housequake」や「Hot Thing」、トリッピンな「The Ballad Of Dorothy Parker」、ファンタジックな「Starfish And Coffee」と収録曲は名曲揃いで、『Purple Rain』に続くピークの一つの作品です。

★★★★


Hysteria / Def Leppard (1987)

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イングランドはシェフィールドで結成されたハードロックバンドDef Leppardの80年代を代表する名盤、80年代後半のハードロックブームを代表する1枚。前作『Pyromania』はMTVの中で健康的なハードロックで大ヒットを記録していましたが、このアルバムはさらにどの曲もシングルヒットを出せるほどの高いクオリティの楽曲をそろえ、これが最終的に全米で2000万枚、3年間に渡って大ヒットを記録するマンモスアルバムになりました。

シングルヒットは最終的に7曲あり、全米Top40に入ったのは6曲ありますが、それがシングルを発売するたびに順位を上げていき、「Hysteria」が全米10位に、「Pour Some Sugar On Me」が全米2位に、そして「Love Bites」で全米1位を獲得しています。最終的に「Armageddon It」が全米3位に入り全米Top10だけでもロックとしては珍しい4曲がヒットするなど、恐らくポップ・ロックの歴史でも奇跡に近いようなアルバムです。

★★★★★


It's Better To Travel / Swing Out Sister (1987)

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イングランドはマンチェスターで結成されたポップロックバンドSwing Out Sisterのデビューアルバム。「Breakout」が全英4位、全米6位のヒットを記録したことで、アルバムは全英1位、全米40位を記録しています。その他にも「Surrender」(全英7位)、「Twilight World」(全英32位、全米31位)、日本のCMでも登場した「Fooled By A Smile」(全英43位)が収録されています。

ドラマーのマーティンを含んだ3人体制の最初で最後のアルバムになりますが、バンドはアンディの書く幅広い音楽性の楽曲と、コリーンのエレガントなボーカルに加えて、マーティンのダンサブルな部分が合わさり、バンドの中でもポップなアルバムになっています。タイトル通りに世界の光景が次々と頭に浮かんでくるようなワールドワイドなポップサウンドの傑作です。

★★★★


Nothing Like The Sun / Sting (1987)

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UKのロックバンドPoliceのメンバーで、Wallsend出身のシンガーソングライターStingのソロ2作目のアルバム。シングル「We'll Be Together」が全米7位、全英41位、「Be Still My Beating Heart」が全米15位と前作よりもシングルヒットが少ないものの、アルバムは全英1位、全米9位を記録し、Brit Awardでは最優秀ブリティッシュアルバムを、Grammy賞にもAlbum Of The Yearを含む3部門にノミネートされています。

Stingのアルバムでも個人的に1番と思っているアルバムで、シングルヒット以外に「Englishman In New York」や「Fragile」といった名曲が収録されており、「Sister Moon」などのJazz曲や、「They Dance Alone」といった強いメッセージ曲などポップなだけではない楽曲があり、また細部のアレンジもJazzに影響を受けた繊細なもので埋め尽くされています。

★★★★


Kick / INXS (1987)

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オーストラリアはシドニーで結成されたロックバンドINXSの代表的なアルバムで、全英9位、全米3位を記録して、全米だけで600万枚のセールスを記録しています。シングルも全米1位に輝いた「Need You Tonight」を始め、「New SSansation」(全米3位、全英25位)、「Devil Inside」(全米2位、全英47位)、「Never Tears Us Apart」(全米7位、全英24位)、「Mystify」(全英14位)とシングルヒットを連発しました。

バンドの魅力であるボーカルのマイケルハッチェンスの軽やかでセクシーなボーカルに加えて、ファンキーでダンサブルなサウンド、強いメッセージ性の歌詞などINXSの魅力も詰まっています。マイケルハッチェンスは亡くなってしまいましたが、そんなバンドの最高潮の勢いが感じさせられる作品です。

★★★★


Running In The Family / Level 42 (1987)

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イングランドはIsle Of Wightで結成されたロックバンドLeverl 42の7枚目のアルバム。Lessons In Love(全英3位、全米12位)、Running In The Family(全英6位)、To Be With You Again(全英10位)、It's Over(全英10位)、Children Say(全英22位)と全9曲中5曲がシングルヒットを記録し、アルバムは全英2位、全米23位を記録しています。

前作のアルバムから「Something About You」がヒットしたことを受けて、アルバムはどの曲もポップで、メロディアスです。ボーカルのマークキングの力強いボーカルとファンキーな黒っぽいサウンドをJazzっぽいお洒落なサウンドでコーティングしていて、シングル以外でも高い楽曲が揃っています。「It's Over」は6分近い長さを感じさせない切ないバラードで、サビのハーモニーは聞くものをぐっと引き寄せます。

★★★