ミネアポリス出身のR&BシンガーPrinceの6枚目のアルバム。Princeも出演した映画『Purple Rain』のサウンドトラックで、全米1位を24週間獲得し、全米でのセールスは1300万枚を記録しています。初の全米1位を獲得した「When
Doves Cry」(全米1位)や「Let's Go Crazy」(全米1位)の他にも「Purple Rain」(全米2位)、「I Would
Die 4 U」(全米8位)、「Take Me With U」(全米25位)と数多くのヒットが生まれました。
80年代のPrince作品はどれも名盤ですが、そのピークが『Purple Rain』でした。オープニングの説教から「Let's Go Crazy」が始まり、そしてLiveで大合唱の「Take Me With U」に。レコードのB-Sideにあたる1曲目「When Doves Cry」からはノリの良い「I Would Die 4 U」、流れ込むように「Baby I'm A Star」と流れ込み、ラストはバラードの「Purple Rain」でしめくくるアルバム構成が素晴らしい傑作アルバムです。
★★★★★
Born In The USA / Bruce Springsteen (1984)
ニュージャジー州Long Beach出身のロックシンガーBruce Springsteenの7枚目のアルバムで、全米だけで1700万枚を売り上げた作品です。このアルバムから「Dancing
In The Dark」(全米2位)、「Cover Me」(全米7位)、「Born In The USA」(全米9位)、「I'm On Fire」(全米6位)、「Glory
Days」(全米5位)、「I'm Going Down」(全米9位)、「My Hometown」(全米6位)と7曲のTop10シングルが生まれ、Streamingsでチャートインできる以前では記録的なものでした。それぞれシングルが発売されて、ラジオにかかり、2年間に渡りシングルがヒットし、アルバムが売れ続けました。
アルバムは名曲ばかりで、全米への愛情溢れる批判曲「Born In The USA」や、もがき苦しむ人間への応援歌「Dancing In The Dark」、大人の愛という感じの「I'm On Fire」などが収録されています。力強いロックのパワーが感じさせられる80年代の名盤。
★★★★★
Chicago 17 / Chicago (1984)
シカゴ出身のロックバンドChicagoの17枚目のナンバリングアルバム。Chicagoは70年代初期にブラスロックバンドとして活躍しますが、70年代後半からはAORサウンドを取り入れて人気が復活しました。全米チャートで最高位は4位ですが「Stay
The Night」(全米16位)、「Hard Habit To Break」(全米3位)、「You're The Inspiration」(全米3位)、「Along
Comes A Woman」(全米14位)とヒットして、全米で600万枚を売り上げました。
アルバム楽曲は全てシングルヒットしそうなぐらい完成度が高く、アップテンポとスローのバランスも絶妙になっています。David Fosterプロデュースによるサウンドプロダクトも冴え渡っています、アルバムラストの「Once In A Lifetime」がブラスロックの香りも残していて、Chicagoのこれまでの長い歴史も感じさせます。
★★★★
Private Dancer / Tina Turner (1984)
アメリカはBrownsville出身のシンガーTina Turnerの5枚目のアルバム。「Let's Stay Togther」(全米26位、全英6位)、「Help」(全英40位)、「What's Love Got To Do With It」(全米1位、全英3位)、「Better Be Good To Me」(全米5位)、「Private Dancer」(全米7位、全英26位)、「Show Some Respect」(全米37位)がヒットしてアルバムは全米3位を記録。全米だけで500万枚を売り上げました。1960年にIke & Turnerでデビューしてから24年後に初の全米1位獲得やGrammy賞主要部門の受賞など話題もありました。
全米1位を獲得した「What's Love Got To Do With It」は切ないメロディとTina のしわがれたボーカルが哀愁を感じさせる80年代の名曲です。アルバムにはBeatlesの「Help」のカバーを荘厳なバラードにしたり、プロデューサーがJoe Sampleだったり、「Private Dancer」はDire Straitsのカバーだったり、「Better Good To Me」はヒットメイカーMike Chapmanの作曲だったりと緻密に練られたアルバムになっています。
★★★
I Feel For You / Chaka Khan (1984)
シカゴ出身のソウルシンガーChaka Kahnの5枚目のアルバムで、全米16位を記録した代表作。アルバムからは「チャカチャカチャカ」というイントロで有名なPrinceのカバー「I
Feel For You」が全米3位の大ヒットを記録し、Top40には届かなかったものの後にKanye Westが「Throuth The Wire」でサンプリングして有名な「Through
The Fire」(全米60位)が収録されています。
Chaka Khanと言えば1981年の『What Cha' Gonna Do For Me』が名盤ですが、80年代のR&Bらしいシンセサイザーを使ったファンキーな音のR&Bとしてはこのアルバムも80年代の名盤です。特に代表曲の「I Feel For You」、「Through The Fire」は80年代R&Bサウンドを代表する名曲として今もなお愛されています。
★★★
Human's Lib / Howard Jones (1984)
イングランドはSouthampton出身のシンガーソングライターHoward Jonesのデビューアルバム。80年代のThomas DolbyとかHuman
Leagueのニューウェーブ、シンセポップの中から登場してきたHoward Jonesは、切ない系のメロディが魅力で、80年代に活躍したアーチストの一人です。アルバムは全英1位で、全米で59位の記録が残っていますが、「New
Song」(全米27位)、「What Is Love?」(全米33位)がシングルヒットして、80年代ブリティッシュインベイジョンの一人として活躍しました。
アルバムは全米でヒットした2曲の他に全英チャート7位の「Pearl In The Shell(パールと真珠)」、アルバムタイトルトラック「Hide
And Seek」(全英12位)と楽曲が充実しています。80年代シンセポップアルバムの代表的作品として魅力があります。
★★★
Waking Up With The House On Fire / Culture Club (1984)
ロンドンで結成されたポップバンドCulture Clubの3枚目のアルバムで、全米26位を記録。シングル「The War Song」(全米17位・全英2位)、「Mistake No.3」(全米32位)、「The Medal Song」(全英32位)がヒットしていますが、当時は名盤だった前作の反動から批判が多かったアルバムです。
アルバムは確かに前作の収録漏れのような感じもありますが、それでもCulture Clubらしいバラエティに富んだカラフルでポップなメロディは健在で、メッセージが強い「The War Song」、人生前向きな「The Medal Song」、日本のCMで流れていた「Don't Talk About It」が収録されています。
★★★
Whitney Houston / Whitney Houston (1985)
ニュージャージー州Newark出身のR&BシンガーWhitney Houstonのデビューアルバム。Aristaレーベルのクライブ・デイビスのバックアップの元で全米チャート1位を14週獲得して、全米だけで1000万枚以上を売り上げました。シングルも「You Give Good Love」(全米3位)、「Saving All My Love For You」(全米1位)、「How Will I Know」(全米1位)、「Greatest Love Of All」(全米1位)を生み出し、80年代の女王として君臨しました。
ナイジェリアはIbadan出身でイングランドで活躍したSadeの2枚目のアルバム。それまでのR&Bシンガーとは違ったエキゾチックなボーカルでブリティッシュインベイジョンの最後に登場しましたが、この2作目は全米と全英で初の1位を獲得し、シングル「The
Sweetest Taboo」(全米5位)、「Never As Good As The First Time」(全米20位)のヒットが生まれています。
このアルバムはSadeの乾いたボーカルとJazzっぽいムーディで繊細な楽曲が独特の世界を生み出していて、最初の「Is It A Crime?」から圧倒される迫力があります。Sadeはその後も安定した人気ですが、その中で代表作といってもいい傑作アルバムです。
★★★★
Our Favourite Shop / The Style Council (1985)
パンクロックバンドThe Jamで活躍したPaul WellerとキーボードのMick Tablotを中心としたイングランドはWokingで結成されたポップバンドStyle
Coucilの2枚目のアルバム。全米では『Internationalists』のタイトルで全英で1位、全米では123位を記録しています。「Shot
To The Top」(全英7位)、「Walls Come Tumbling Down!」(全英6位)、「Come To Milton Keynes」(全英23位)、「The
Lodgers」(全英13位)とシングルヒットが生まれています。
Style CouncilのこのアルバムははカフェなどでBGMにかかっていそうなお洒落なメロディが勢ぞろいで、それでいてUKらしいメッセージ色の強い歌詞のギャップがまた印象的です。UKではリリースされなかったものの「Boy Who Cried Wolf」を含めて80年代を代表するポップアルバムです。
★★★★
Primitive Love / Miami Sound Machine (1985)
キューバはハバナ出身でフロリダ州Miamiで活躍したポップシンガーGloria EstefanがMiami Sound Machineとして9枚目に出したアルバム。「Conga」(全米10位)、「Bad Boy」(全米8位)、「Words Get In The Way」(全米5位)、「Falling In Love (Uh-Oh)」(全米25位)のヒットが生まれて、全米25位を記録しています。Gloria Estefanが80年代を代表するアーチストとして活躍するきっかけをつくったブレイクアルバムになっています。
「Conga」を代表とするラテンポップも魅力的ですが、それ以上に凄いのは幅の広いポップサウンドで、BeatleかTodd Rundgrenかというぐらいの「You Made A Fool Of Me」や、美しいバラード「Words Get In The Way」など、作曲家としての魅力も詰まっているアルバムになっています。
★★★★
The Dream Of Blue Turtle / Sting (1985)
イングランドはWallsend出身でイギリスのパンクロックバンドPoliceのフロントマンSting初のソロ作品。「If You Love Somebody
Set Them Free」(全米3位)、「Love Is The Seventh Wave」(全米17位)、「Fortress Around
Your Heart」(全米8位)、「Russians」(全米16位)と4曲のシングルヒットを放って、アルバムは全米2位、全英3位を記録しています。
当時としても通常のロック、ポップとはひと味違ったJazzy大人な感じの音で、それでいてシングルヒットまで結びつけてしまうかっこよさがあります。PVで見られる映画俳優かと思えるようなダンディなStingは「Fortress Around Your Heart」のPVで見られます。Stingのソロとして最高のヒットとなった「If You Love Somebody Set Them Free」はサックスとの絡みが実に軽やかで気持ちいい曲など聴き応えのあるアルバムになっています。