洋楽ロック・ポップ・ソウルアルバムの世界

1978-1979年のアルバム紹介

アルバム画像をクリックすればAmazonで購入することができます

Van Halen / Van Halen (1978)

 

アメリカはPasadenaで結成されたハードロックバンドVan Halenのデビューアルバムです。全米アルバムチャートでは19位ですが、ロックのマスターピースとして売れ続けて、全米だけで1000万枚を売り上げています。Kinksのカバーである「You Really Got Me」が全米36位のヒットを記録しています。

もし私が若いころにこのアルバムに出会っていたなら、きっとギター小僧になっていただろうと思うほど凄いサウンドで、特にギターが歌っているようなEddie Van Halenの速弾きはインパクトがあります。オープニングの「Runnin With The Devil」のオープニングに2曲目の「Eruption」のギターのインスト。パワフルなDavid Lee Rothのボーカルが素晴らしい「Ain't Talkin Bout Love」。Tone Locが「Wild Thing」でサンプリングした「Jamie Cryin」が収録されています。

★★★★

 


52nd Street / Billy Joel (1978)

   

アメリカはニューヨーク出身のシンガーソングライターBilly Joel初の全米1位獲得アルバムです。「My Life」(全米3位)、「Big Shot」(全米14位)、「Honesty」(全米24位)がシングルヒットして、全米だけで700万枚を売り上げました。1979年のGrammy賞ではAlbum Of The Yearを受賞しています。

Billy Joelは屈指のメロディメイカーとして日本では人気ですが、このアルバムは前作『Stranger』とともにAOR期のBilly Joel絶頂期の作品で特に人気があります。アルバムは全曲美しいメロディで埋め尽くされ、起伏も交えながらアルバムの最後まで一気に聞かせます。順位以上に歌詞が心に残る「Honesty」はBilly Joelの曲の中でも特に人気の高い曲です。

★★★★


Minutes By Minutes / Doobie Brothers (1978)

   

アメリカはサンホセで結成されたロックバンドDoobie Brothersの8枚目のアルバムで、「What A Fool Believes」がバンド初の全米1位を獲得したことを受けて、アルバムは初の全米1位を獲得。1980年のGrammy賞では「What A Fool Believes」がRecord Of The Yearを受賞しています。

もともとは70年代アメリカ西海岸を代表するギターロックバンドですが、70年代中盤からソフトロック路線に変わり、このアルバムはAORサウンドで全米の頂点に立ちました。アルバムMichael McDonaldの書く美しいメロディにハーモニーが魅力で、「What A Fool Believes」以外にタイトルトラックの「Minutes By Minutes」も全米14位のヒットを記録しています。

★★★★

This Night Won’t Last Forever / Bill LaBounty (1978)

 

アメリカのシンガーソングライターBill Labountyの2枚目のアルバムで隠れたAOR名盤です。アルバムタイトルトラックが全米65位を記録していますが、後にMichael Johnsonによってカバーされ1979年に全米19位のヒットを記録しています。また「In 25 Words Or Less」は全米ACチャートで36位のヒットになっています。

Bill LaBountyの名前は知らずとも日本ではCMで使われるなど「This Night Won't Last Forever」は馴染みの深い曲です。その切ない歌声と切ないメロディは普遍のAORの名曲。コミカルな印象のある「In 25 Words Or Less」は50年代の古き良きポップスを彷彿とさせるナンバー。全く売れなかったことが信じられないほど、良い曲が詰まっています。

★★★


ToTo / ToTo (1978)

 

アメリカはロサンゼルスで結成されたロックバンドToToのデビューアルバムです。ToToはSteely DanやBoz Scaggsのアルバムに参加していたセッションミュージシャンのJeff PocaroやDavid Paichを中心としたバンドで、アルバムは全米9位を記録しています。アルバムから「Hold The Line」が全米5位、「I'll Supply The Love」が全米45位、「Georgy Porgy」が全米48位を記録しています。

アルバムはシングルヒット以外にどの曲もメロディアスでポップな曲が収録されていて、日本のCMでも流れていた「Child's Anthem」でのオープニングなどプログレッシブロックな香りもあります。AORの名曲の一つ「Georgy Porgy」は後にカバーもされています。アルバムはバラード「Angela」でしっとりと閉めるなどトータルアルバムな作りも見せる充実した内容になっています。

★★★


Brother To Brother / Gino Vannelli (1978)

   

カナダはモントリオール出身のシンガーソングライターGino Vannelliの6枚目のアルバムで、全米3位を記録しています。アルバムから70年代ソフトロックの名曲「I Just Wanna Stop」が全米4位を記録しています。

美しすぎるメロディの「I Just Wanna Stop」はAORの名曲ですが、ヒットこそしていないもののアルバムの他の曲も美しいメロディのものが多く、アルバム1国目の「Appaloosa」の高揚感漂うサウンド、ファンキーな「The River Must Flow」、切ないサウンドの「Love & Emotion」など充実していて、70年代ソフトロック、AORサウンドの名盤の一枚です。

★★★



Bobby Caldwell / Bobby Caldwell (1978)

 

アメリカはニューヨーク出身のシンガーソングライターBobby Caldwellのデビューアルバムで全米21位を記録しています。アルバムからAORの代表曲でもある「What Do You Won't Do For Love」が全米9位のヒットを記録しています。

日本では人気のアルバムですが、アルバム1曲目の「Special To Me」や「Come To Me」は日本でヒットしています。スムーズでエレガントな音の中に軽やかなBobby の声が気持ち良く、楽曲が充実しています。90年代には「What You Won't Do For Love」が2Pacの「Do For Love」(98年21位)に、「My Flame」がNotorious BIGの「Sky's The Limit」(97年26位)にサンプリングされるなど後世への影響力も高いAORの名盤です。

★★★



Another Night / Wilson Bros. (1979)

   

アメリカはミシガン出身のシンガーソングライターWilson Bro.の79年に発表されたアルバムです。シングル「Another Night」が全米94位のヒットを記録していますが、AOR好きの間では隠れた名盤として知られています。

アルバム全体でメロディアスで完成度が高く、都会的でジャジーなサウンドの「Take Me To Your Heaven」、グルーブ感のあるサウンドの「Feeling Like We're Stranger Again」にシングルヒットした「Another Night」などが特に聴きどころです。Toto のSteve Lukatherがギターで参加しています。

★★★


Nightwatch / Kenny Loggins (1978)

   

アメリカはワシントン出身のシンガーソングライターKenny Logginsの78年に発表したソロ2枚目のアルバムで、「Whenever I Call You Friend」が全米5位のヒットを記録して、アルバムは全米7位を記録しています。Kenny LogginsのAORサウンド時代の代表作です。

1曲目から7分50秒の「Nightwatch」でドラマティックな展開を見せ、軽快なギターロックの「Easy Driver」も楽しいサウンドです。アルバムの代表曲でStevie Nicksとの「Whenever I Call You Friend」、爽やかな朝という感じの「Wait A Little While」、そしてDoobie Brothersが後にGrammy賞も獲った「What A Fool Believes」と楽曲が充実しています。

★★★


Larry Carlton / Larry Carlton (1978)

   

アメリカはTorrance出身のJazzミュージシャンLarry Carltonの3枚目のアルバムです。邦題は『夜の彷徨い』。Larry Carltonはこの頃Steely Danのアルバムに参加するなど人気がありました。

このアルバムではLarry Carltonの代名詞とも言える「Room 335」が収録されています。軽快でポップなギターサウンドで聞くだけでハッピーな気持ちにさせてくれるフュージョンサウンドの名曲です。他にも怒涛のごとく高速なギターサウンドの「Point It Up」や、Santanaばりの泣きのサウンド「Only Yesterday」など、Jazzながらポップス、ロック好きでも聴けるアルバムです。

★★★


Rainbow Seeker / Joe Sample (1978)

   

アメリカはヒューストン出身のJazzミュージシャンJoe Sampleの3枚目のアルバムです。Joe SampleはJazzバンドThe Crusadersのメンバーの一人で、Joe Sampleのエレクトリックピアノのメロディアスな調べはThe Crusadersの魅力の一つでした。

アルバムはJoe Sampleのソングライティングの魅力が詰まった作品で、これぞFusionという感じにポップとJazzの両方の魅力を兼ね備えています。縦横無尽に弾かれるエレクトロピアノの調べが心地いい「Rainbow Seeker」に始まり、2pacの「Change」にサンプリングされた「In All My Wildest Dreams」も落ち着いた感じの曲が続きます。そしてこの曲のクライマックス「Melodies Of Love」は壮大な愛のバラードと楽曲が充実しているフュージョンの名盤です。

★★★


C'est Chic / Chic (1978)

   

ニューヨークで結成されたR&BファンクグループChicの2枚目のアルバムで、全米4位を記録しています。1977年にデビューアルバムから「Dance Dance Dance」が全米6位のヒットでブレイクして、その勢いのままに出されたアルバムで、「Le Freak」が初の全米1位に輝いた他に「I Want Your Love」が全米7位を記録しています。

アルバムはFaith Evansにサンプリグされたオープニングの「Chic Cheer」から力が入っていて、シングルヒットを交えながらバラードの「Savoir Faire」や「At Last I Am Free」といった美しいメロディのナンバー、ダンサブルなロックチューン「Happy Man」のベースはDuran Duranという感じで、この後80年代のNile Rogers サウンドの原点ともいうべきサウンドになっています。

★★★


Off The Wall / Michael Jackson (1979)

   

Michael Jacksonが80年代に大爆発を起こした最初のアルバムです。Quincy Jonesという名プロデューサーと出会い、青年としてのMichaelの創造力溢れるパワーが化学変化を起こします。「Don't Stop Til You Get Enough」と「Rock With You」が全米1位を獲得。「Off The Wall」「She's Out Of My Life」が全米10位を記録して、アルバムは全米で最高3位、800万枚のセールスを記録しました。

アルバムは70年代ディスコブームの音をベースにしながら、Paul MacCartneyやStevie Wonderといった大物とのコラボやDavid Foster、Carol Bayer Sager、ToToといったAORサウンドへのアプローチなど80年代R&Bサウンドに繋がる側面も持ち合わせていました。

★★★★


Christopher Cross / Christpher Cross (1979)

   

アメリカはテキサス出身のシンガーソングライターChristopher Crossのデビューアルバム(邦題:南から来た男)で、シングル「Sailing」が全米1位、「Ride Like The Wind」が全米3位を記録して、アルバムは全米6位を記録しています。またこのアルバムとシングルで初のGrammy賞の主要4部門を制覇するという偉業を成し遂げています。

アルバムはシングル2曲を中心にChristopher Crossの書く美しいナンバーで彩られていますが、中でもMicheal McDonaldがバックコーラスで参加している「I Really Don't Know Anymore」はお勧めの1曲で、Larry Carltonのギターソロがなんともカッコイイです。

★★★


Discovery / ELO (1979)

   

イングランドはBirminghamで結成されたエレクトロポップバンドElectric Light Orchestraの8名目のアルバムで、全米5位を記録しています。シングル「Shine A Little Love」が全米8位、「Don't Bring Me Down」が全米4位、「Confusion」が全米37位、「Last Train To London」が全米39位を記録しています。

アルバムはジャケットのアラビアンナイトの絵のように映画サントラかと思ってしまうほどドラマチックでまとまりのあるアルバムになっています。3曲目の「Need Her Love」から「Last Train To London」までの流れは特に美しいです。アルバムタイトルはDisco Veryということで、ディスコサウンドを意識した「Don't Bring Me Down」などもあります。

★★★★


X-Static / Hall & Oates (1979)

   

フィラデルフィア出身のソウルデュオHall & Oatesの79年に発表された通産10枚目のアルバムです。Hall & Oatesが80年代に入りニューウェーブ・エレクトロポップの洗礼を受けてポップグループに変化した分岐点のアルバムで、「Wait For Me」が全米18位のヒットで、アルバムは全米チャートで33位を記録します。

邦題の「モダン・ポップ」のタイトル通りのHall & Oates史上最もポップなアルバムで、1曲目からラストまで一気に聞かせてしまうアルバム全体の流れが完璧で80年代の大活躍に通じるメロディの美しさをそれぞれの曲が持っています。特にアルバムの2曲目「Wait For Me」は美しいメロディを持つ日本でも人気だったナンバー。プロデューサーは80年代のChicagoを手がけたDavid Fosterです。

★★★


We Are Family / Sister Sledge (1979)

   

フィラデルフィアで結成されたSoulグループSister Sledgeの3作目で全米3位を記録しています。ChicのNile RogersとBernard Edwardsが作プロデュースしていることもあってChic独特のカッティングギターが心地いい作品になっています。

アルバムはWill Smithの「Gettin Jiggy Wit It」で使われた「He's A Greatest Dancer」が全米9位のヒット、そしてアルバムEditは8分6秒という「We Are Family」が全米2位を記録しています。この曲以外でも「Lost In Music」や「Thinking Of You」とChicのNile Rogersらしいギターのリズムが心地いいナンバーが揃っています。

★★★


Carmel / Joe Sample (1979)

   

アメリカはヒューストン出身のJazz ミュージシャンJoe Sampleの『Rainbow Seeker』の次に出された4枚目のアルバムです。Joe Sampleの特徴でもある躍動感のあるエレクトリックピアノの音色と哀愁だたようメロディのアルバムになっています。

このアルバムは全体で起伏や構成が素晴らしく、トータルアルバムのような構成になっています。アルバムは1曲目のタイトル曲「Carmel」が特にドラマチックで、アルバムの世界に引き込まれます。

★★★


Ladie's Night / Kool & The Gang (1979)

   

アメリカはニュージャージーで結成されたR&BファンクバンドKool & The Gangの11枚目のアルバムで全米13位を記録しています。Kool & The Gangがディスコサウンドで一気にメジャーになったアルバムで、「Ladie's Night」が全米8位、「Too Hot」が全米5位とシングルヒットが生まれています。

アルバムは曲数が6曲ですが、1曲はほぼ5分近くあって、シングル「Ladie's Night」のアルバムverは6:38分、「Too Hot」も5:05分と長めです。しかし曲の中盤の展開が絶妙で長めの曲ながらグルーブ感たっぷりの音に浸れます。またこのアルバムからJames Taylorがボーカルとして参加していて、バラードの「Too Hot」で滑らかなボーカルを聞かせています。

★★★


Future Street / Pages (1979)

   

Richard PageとSteve Georgeがいたアメリカはロサンゼルス出身のロックバンドPagesの2枚目のアルバムです。80年代のポップスファンにはお馴染みの「Kylie」や「Broken Wings」を放ったMr.Misterの前身となったバンドです。Pagesでは唯一のヒットとなった「I Do Believe In You」が全米で84位のヒットを記録しています。

隠れたAOR名盤の一枚ですが、ヒットした「I Do Believe In You」はストレートなロックナンバー。アルバムはこれぞAORというメロウで気持ちの良いナンバーで埋め尽くされていて、Jazzyなサビのハーモニーが良い感じの「Sailors Song」や、感涙もののバラッド「Take My Heart Away」が収録されています。

★★★