もし私が若いころにこのアルバムに出会っていたなら、きっとギター小僧になっていただろうと思うほど凄いサウンドで、特にギターが歌っているようなEddie Van Halenの速弾きはインパクトがあります。オープニングの「Runnin With The Devil」のオープニングに2曲目の「Eruption」のギターのインスト。パワフルなDavid Lee Rothのボーカルが素晴らしい「Ain't Talkin Bout Love」。Tone Locが「Wild Thing」でサンプリングした「Jamie Cryin」が収録されています。
★★★★
52nd Street / Billy Joel (1978)
アメリカはニューヨーク出身のシンガーソングライターBilly Joel初の全米1位獲得アルバムです。「My Life」(全米3位)、「Big Shot」(全米14位)、「Honesty」(全米24位)がシングルヒットして、全米だけで700万枚を売り上げました。1979年のGrammy賞ではAlbum Of The Yearを受賞しています。
Billy Joelは屈指のメロディメイカーとして日本では人気ですが、このアルバムは前作『Stranger』とともにAOR期のBilly Joel絶頂期の作品で特に人気があります。アルバムは全曲美しいメロディで埋め尽くされ、起伏も交えながらアルバムの最後まで一気に聞かせます。順位以上に歌詞が心に残る「Honesty」はBilly Joelの曲の中でも特に人気の高い曲です。
★★★★
Minutes By Minutes / Doobie Brothers (1978)
アメリカはサンホセで結成されたロックバンドDoobie Brothersの8枚目のアルバムで、「What A Fool Believes」がバンド初の全米1位を獲得したことを受けて、アルバムは初の全米1位を獲得。1980年のGrammy賞では「What
A Fool Believes」がRecord Of The Yearを受賞しています。
もともとは70年代アメリカ西海岸を代表するギターロックバンドですが、70年代中盤からソフトロック路線に変わり、このアルバムはAORサウンドで全米の頂点に立ちました。アルバムMichael McDonaldの書く美しいメロディにハーモニーが魅力で、「What A Fool Believes」以外にタイトルトラックの「Minutes By Minutes」も全米14位のヒットを記録しています。
★★★★
This Night Won’t Last Forever / Bill LaBounty (1978)
アメリカのシンガーソングライターBill Labountyの2枚目のアルバムで隠れたAOR名盤です。アルバムタイトルトラックが全米65位を記録していますが、後にMichael
Johnsonによってカバーされ1979年に全米19位のヒットを記録しています。また「In 25 Words Or Less」は全米ACチャートで36位のヒットになっています。
Bill LaBountyの名前は知らずとも日本ではCMで使われるなど「This Night Won't Last Forever」は馴染みの深い曲です。その切ない歌声と切ないメロディは普遍のAORの名曲。コミカルな印象のある「In 25 Words Or Less」は50年代の古き良きポップスを彷彿とさせるナンバー。全く売れなかったことが信じられないほど、良い曲が詰まっています。
★★★
ToTo / ToTo (1978)
アメリカはロサンゼルスで結成されたロックバンドToToのデビューアルバムです。ToToはSteely DanやBoz Scaggsのアルバムに参加していたセッションミュージシャンのJeff
PocaroやDavid Paichを中心としたバンドで、アルバムは全米9位を記録しています。アルバムから「Hold The Line」が全米5位、「I'll
Supply The Love」が全米45位、「Georgy Porgy」が全米48位を記録しています。
カナダはモントリオール出身のシンガーソングライターGino Vannelliの6枚目のアルバムで、全米3位を記録しています。アルバムから70年代ソフトロックの名曲「I Just Wanna Stop」が全米4位を記録しています。
美しすぎるメロディの「I Just Wanna Stop」はAORの名曲ですが、ヒットこそしていないもののアルバムの他の曲も美しいメロディのものが多く、アルバム1国目の「Appaloosa」の高揚感漂うサウンド、ファンキーな「The River Must Flow」、切ないサウンドの「Love & Emotion」など充実していて、70年代ソフトロック、AORサウンドの名盤の一枚です。
★★★
Bobby Caldwell / Bobby Caldwell (1978)
アメリカはニューヨーク出身のシンガーソングライターBobby Caldwellのデビューアルバムで全米21位を記録しています。アルバムからAORの代表曲でもある「What Do You Won't Do For Love」が全米9位のヒットを記録しています。
日本では人気のアルバムですが、アルバム1曲目の「Special To Me」や「Come To Me」は日本でヒットしています。スムーズでエレガントな音の中に軽やかなBobby の声が気持ち良く、楽曲が充実しています。90年代には「What You Won't Do For Love」が2Pacの「Do For Love」(98年21位)に、「My Flame」がNotorious BIGの「Sky's The Limit」(97年26位)にサンプリングされるなど後世への影響力も高いAORの名盤です。
アルバム全体でメロディアスで完成度が高く、都会的でジャジーなサウンドの「Take Me To Your Heaven」、グルーブ感のあるサウンドの「Feeling
Like We're Stranger Again」にシングルヒットした「Another Night」などが特に聴きどころです。Toto のSteve
Lukatherがギターで参加しています。
★★★
Nightwatch / Kenny Loggins (1978)
アメリカはワシントン出身のシンガーソングライターKenny Logginsの78年に発表したソロ2枚目のアルバムで、「Whenever I Call
You Friend」が全米5位のヒットを記録して、アルバムは全米7位を記録しています。Kenny LogginsのAORサウンド時代の代表作です。
1曲目から7分50秒の「Nightwatch」でドラマティックな展開を見せ、軽快なギターロックの「Easy Driver」も楽しいサウンドです。アルバムの代表曲でStevie
Nicksとの「Whenever I Call You Friend」、爽やかな朝という感じの「Wait A Little While」、そしてDoobie
Brothersが後にGrammy賞も獲った「What A Fool Believes」と楽曲が充実しています。
アルバムはJoe Sampleのソングライティングの魅力が詰まった作品で、これぞFusionという感じにポップとJazzの両方の魅力を兼ね備えています。縦横無尽に弾かれるエレクトロピアノの調べが心地いい「Rainbow Seeker」に始まり、2pacの「Change」にサンプリングされた「In All My Wildest Dreams」も落ち着いた感じの曲が続きます。そしてこの曲のクライマックス「Melodies Of Love」は壮大な愛のバラードと楽曲が充実しているフュージョンの名盤です。
★★★
C'est Chic / Chic (1978)
ニューヨークで結成されたR&BファンクグループChicの2枚目のアルバムで、全米4位を記録しています。1977年にデビューアルバムから「Dance
Dance Dance」が全米6位のヒットでブレイクして、その勢いのままに出されたアルバムで、「Le Freak」が初の全米1位に輝いた他に「I
Want Your Love」が全米7位を記録しています。
アルバムはFaith Evansにサンプリグされたオープニングの「Chic Cheer」から力が入っていて、シングルヒットを交えながらバラードの「Savoir Faire」や「At Last I Am Free」といった美しいメロディのナンバー、ダンサブルなロックチューン「Happy Man」のベースはDuran Duranという感じで、この後80年代のNile Rogers サウンドの原点ともいうべきサウンドになっています。
★★★
Off The Wall / Michael Jackson (1979)
Michael Jacksonが80年代に大爆発を起こした最初のアルバムです。Quincy Jonesという名プロデューサーと出会い、青年としてのMichaelの創造力溢れるパワーが化学変化を起こします。「Don't Stop Til You Get Enough」と「Rock With You」が全米1位を獲得。「Off The Wall」「She's Out Of My Life」が全米10位を記録して、アルバムは全米で最高3位、800万枚のセールスを記録しました。
アメリカはテキサス出身のシンガーソングライターChristopher Crossのデビューアルバム(邦題:南から来た男)で、シングル「Sailing」が全米1位、「Ride
Like The Wind」が全米3位を記録して、アルバムは全米6位を記録しています。またこのアルバムとシングルで初のGrammy賞の主要4部門を制覇するという偉業を成し遂げています。
イングランドはBirminghamで結成されたエレクトロポップバンドElectric Light Orchestraの8名目のアルバムで、全米5位を記録しています。シングル「Shine
A Little Love」が全米8位、「Don't Bring Me Down」が全米4位、「Confusion」が全米37位、「Last
Train To London」が全米39位を記録しています。
アルバムはジャケットのアラビアンナイトの絵のように映画サントラかと思ってしまうほどドラマチックでまとまりのあるアルバムになっています。3曲目の「Need
Her Love」から「Last Train To London」までの流れは特に美しいです。アルバムタイトルはDisco Veryということで、ディスコサウンドを意識した「Don't
Bring Me Down」などもあります。
★★★★
X-Static / Hall & Oates (1979)
フィラデルフィア出身のソウルデュオHall & Oatesの79年に発表された通産10枚目のアルバムです。Hall & Oatesが80年代に入りニューウェーブ・エレクトロポップの洗礼を受けてポップグループに変化した分岐点のアルバムで、「Wait For Me」が全米18位のヒットで、アルバムは全米チャートで33位を記録します。
邦題の「モダン・ポップ」のタイトル通りのHall & Oates史上最もポップなアルバムで、1曲目からラストまで一気に聞かせてしまうアルバム全体の流れが完璧で80年代の大活躍に通じるメロディの美しさをそれぞれの曲が持っています。特にアルバムの2曲目「Wait For Me」は美しいメロディを持つ日本でも人気だったナンバー。プロデューサーは80年代のChicagoを手がけたDavid Fosterです。
アルバムはWill Smithの「Gettin Jiggy Wit It」で使われた「He's A Greatest Dancer」が全米9位のヒット、そしてアルバムEditは8分6秒という「We Are Family」が全米2位を記録しています。この曲以外でも「Lost In Music」や「Thinking Of You」とChicのNile Rogersらしいギターのリズムが心地いいナンバーが揃っています。
アメリカはニュージャージーで結成されたR&BファンクバンドKool & The Gangの11枚目のアルバムで全米13位を記録しています。Kool
& The Gangがディスコサウンドで一気にメジャーになったアルバムで、「Ladie's Night」が全米8位、「Too Hot」が全米5位とシングルヒットが生まれています。
Richard PageとSteve Georgeがいたアメリカはロサンゼルス出身のロックバンドPagesの2枚目のアルバムです。80年代のポップスファンにはお馴染みの「Kylie」や「Broken
Wings」を放ったMr.Misterの前身となったバンドです。Pagesでは唯一のヒットとなった「I Do Believe In You」が全米で84位のヒットを記録しています。
隠れたAOR名盤の一枚ですが、ヒットした「I Do Believe In You」はストレートなロックナンバー。アルバムはこれぞAORというメロウで気持ちの良いナンバーで埋め尽くされていて、Jazzyなサビのハーモニーが良い感じの「Sailors Song」や、感涙もののバラッド「Take My Heart Away」が収録されています。