全米はニュージャージーで結成されたR&BファンクグループKool & The Gangの5曲目のアルバム。全米チャートで63位とチャート的には低い順位で、「Higher
Plane」が全米37位、「Spirit Of The Boogie」のB面扱いで「Summer Madness」(B面)が全米チャート35位を記録しています。
アルバムは前作で大ヒットした「Jungle Boogie」のようなブギー曲が並びますが、CrusadersのようなJazz フュージョンな感じもありインストゥルメンタルも多く収録されています。ブギーな曲ではR&Bチャートでは1位を獲った「Higher Plane」が代表的ですが、このアルバムが素晴らしいのはタイトル通りに南国のような暖かい曲が挟まれているということ。DJ Jazzy Jeff & Fresh Princeの「Summertime」で使われた「Summer Madness」の熱さが最高です。
★★★
Court And Spark / Joni Mitchell (1974)
カナダはFort Macieod出身のシンガーソングライターJoni Mitchellの6枚目のアルバムで全米2位を記録した最大のヒットアルバム。「Raised On Robbery」が全米65位、「Help Me」が全米7位、「Free Man In Paris」が全米22位に入っています。
ミシガン州Seginaw出身のStevie Wonderは13歳にして「FingerTips」で全米1位を送り込むなど天才ソウルシンガーとして有名ですが、そんなStevie
Wonderの全盛期は70年代にあります。70年のStevieは神がかっていて、1972年の『Talking Book』から『Innervisions』『First
Finale』『Key Of Life』は創造力のピークというべき絶頂期の作品でした。この『Innervisons』からは3作連続でGrammy賞の
Album Of The Yearを受賞しており、これはなお不滅の記録です。
Stevieと言えば、酔うようなメロディラインが特徴で、この『Innervisions』(全米4位)がその中でも一番強烈で、オープニングの「Too High」のアップダウンなメロディに始まり、「Don't You Worry 'Bout A Thing」(全米16位)のねじまがったメロディ、何度もキーが上がる「Golden Lady」があって、「Living In The City」(全米8位)や「Higher Ground」(全米4位)というシングルヒットした名曲が収録されています。
★★★★★
Italian Graffiti / Nick Decaro (1974)
オハイオ出身で、A&Mレコードでアレンジャーやプロデューサーを手掛けたり、イージーリスニングサウンドのアルバムを出していたNick Decaroの74年に発表したアルバムです。代表曲である「Under
The Jamaica Moon」他、Stevie Wonderのカバー「Happier Than The Morning Sun」やスタンダードナンバーの「Tea
For Two」などが収録されています。
Nick Decaroの優しくも溶け込むようなボーカルとバックの洗練された音が見事なハーモニーが魅力で、独特の味わいがあります。なんといっても「Under The Jmaica Moon」はAORの名曲の一つで、元祖AOR的な位置付になる名盤です。
このアルバムはオープニングからの流れが素晴らしいですが、アメコミのヒーロー漫画のようなジャケットがまた良い感じです。「Someone Saved My Life Tonight」(全米4位)がシングルヒットしているほかに、「We All Fall In Love Sometimes」がJeff Buckleyによりカバーされています。
★★★★
Mothership Connection / Parliament (1975)
George Clintonによって結成されたニュージャージのファンクバンドParliamentの1975年のアルバムです。Parliamentの中で最も成功したアルバムで、全米13位、シングル「Give
Up The Funk(Tears The Roof Off The Sucker」は全米15位のヒットを記録しています。
オープニングの「P Funk」からファンクの熱さ全開で、ジャズっぽい長回しな展開や、JB'sのホーン隊のアレンジなど素晴らしいです。2曲目の「Mothership Connection」はギターリフが心地いい。アルバムはトータルアルバムとして流れが良いですが、シングルヒットした「Give Up The Funk」がアルバムのクライマックスという感じで盛り上がります。
★★★
Spirit Of The Boogie / Kool & The Gang (1975)
ニュージャージーで結成されたジャズファンクグループKool & The Gangの1975年発表された6枚目のアルバムで、全米チャートでは48位を記録しています。
1973年にシングルヒットした「Jungle Boogie」の影響からブギーなアルバムになっていますが、オープニングの「Spirit Of The Boogie」(全米35位)からノリノリで素晴らしいです。エンディング「Caribbean Festival」(全米55位)までグルーブ感たっぷりです。このアルバムが最も知られているのが「Jungle Boogie」のアレンジバージョン「Jungle Jazz」で、Jadeの「Don't Walk Away」(1992年全米4位)、MAASの「Pump Up The Volume」(1988年全米13位)で使われるサンプリングの定番です。
アルバムはシングルヒットを含めて一見地味な印象ですが、全体に耳馴染みが良く、何度もリピートしてしまう中毒性があります。個人的ベストトラックはアルバムタイトルトラック「Doctor Wu」。まるで小説でも読んでいるかのような患者と医者とのストーリーが展開する完成度の高いナンバーです。Michael McDonaldがバックコーラスで参加した「Any World」、ラストナンバー「Throw Back The Little Ones」は2段階エンディングのようで、アルバム全体を引き締めています。
★★★★
Two / Bob James (1975)
アメリカのジャズミュージシャンBob Jamesの2枚目のアルバムです。Bob JamesはKenny Logginsのプロデューサーをしたり、90年代にFourplayを結成するなどJazz
アダルトコンテンポラリー界の第一線で活躍し続けます。代表曲でる「Take Me To The Mardi Gras」はキャッチーなナンバーで、他に「The
Golden Apple」はストリングスをバックに壮大なサウンド、陽だまりの日に聴きたい「You're As Right As Rain」など気持ちの良い音が詰まっています。
全米のスムーズJazzミュージシャン Bob Jamesはその名を知らなくとも曲を知られていることは多いアーチストです。というのはCrusaders以上にヒップホップでサンプリングされていているからで、75年のアルバム『Two』に収録されている「Take
Me To The Mardi Gras」は特にイントロ部分が最もサンプリングされている曲としても有名です。曲のメインとなる音もおおよそJazzというよりもポップミュージックで、晴れた空の下で、聴きたくなるような解放感のある曲です。