洋楽ロック・ポップ・ソウルアルバムの世界

1972-1973年のアルバム紹介

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The Rise And Fall Of Ziggy Stardust And The Spiders From Mars / David Bowie (1972)

 

ロンドン出身のロックスターDavid Bowieの5枚目のアルバムで、全米21位、全英5位を記録しています。アルバムから「Starman」が全米65位、全英10位のヒットを記録しています。

グラムロックスターだったDavid Bowieの最高傑作で、宇宙からやってきたZiggyを主人公にロックスターの誕生から栄光、そして失墜まで描くドラマチックなトータルアルバムです。しかも収録曲の数々が切なくも美しいメロディに彩られて、オープニングの「Starman」、絶頂を描いた「Lady Stardust」、失墜を描いた「Ziggy Stardust」、そしてラストの最後を描いた「Rock N Roll Suicide」は名曲です。

 ★★★★★

 


Exile On Main St / The Rolling Stones (1972)

   

60年代にBeatles、Kinksとともにブリティッシュインベイジョンで登場したロンドンで結成されたロックバンドRolling Stonesの全米では12枚目のアルバム。当時のレコード盤で2枚組18曲を収録し、全米、全英ともに1位を獲得しています。

アルバムはアメリカのルーツ音楽の歴史という感じの大作で、1枚目のオープニングに「Rock Off」、2枚目のオープニングに「Happy」と躍動感のあるロックナンバーを配置し、Stonesらしいブルースロックを散りばめて、アルバムの最後は15曲目「All Down The Line」から18曲目の「Soul Survivor」でしっかりしめくくります。ボリュームがありながら、曲はどれも洗練されたもので、起伏ある配置も素晴らしく、一気に聞かせてくれます。

 ★★★★★


Something / Anything / Todd Rundgren (1972)

 

アメリカはフィラデルフィア出身のシンガーソングライターTodd Rundgrenの最高傑作アルバム。全米チャートは29位ですが、「I Saw The Light」が全米16位、「Hello,It's Me」が全米5位を記録しています。

Beatlesの後継者と言わしめるほどメロディアスな曲が魅力のTodd Rundgrenですが、当時のアルバムにして2枚組という膨大な量にも関わらず、どの曲も素晴らしいポップアルバムの名盤です。アルバムはそれぞれコンセプトが違っていて、「A Bouquet Of Ear Catching Melodies」、「The Cerebral Side」、「The Kid Gets Heavy」、「Baby Needs A New Pair Of Snakeskin Boots(A Pop Operetta)」というサブタイトルが作られ、特にD面(4番目)はライブ盤のような作りになっています。

 ★★★


Machine Head / Deep Purple (1972)

 

1968年にイギリスはロンドンで結成されたハードロックバンドDeep Purpleの6枚目のアルバムで、全米7位、全英1位を記録しています。アルバムからシングル「Smoke On The Water」が全米4位のヒットを記録しています。

70年代のLed Zeppelinと並ぶハードロックバンドの雄、Deep Purpleの代表作ですが、Ian Gillanの迫力あるボーカルにRichie Blackmoreのギターが魅力ですが、このアルバムは「Highway Star」を筆頭にポップでメロディアスな曲が多いのが特徴です。やはり個人的にはロッククラッシックの「Highway Star」。オープニングの絶叫からの疾走感が堪りません。

 ★★★★


Abandoned Luncheonette / Daryl Hall & Oates (1973)

 

フィラデルフィア出身のソウルデュオHall & Oatesの73年発表の2ndアルバムです。「She's Gone」がシングルで60位に入ったことでアルバムが初のTop40入りとなる全米33位を記録して、Hall & Oatesがスターとなっていく第一歩となったアルバムです。「She's Gone」はその後チャートに入って1976年に全米7位を記録しています。

アルバムはHall & Oatesの持つポップセンスにあふれていて、フォークロックサウンドとソウルサウンドが混じりあい、どの曲もメロディアスです。「She's Gone」もソウルナンバーですが、ラストはロック的なアレンジになっています。そしてラストは複数曲のメドレーによる7分の大曲「Everytime I Look At You」。Todd RundgrenやBeatlesの影響も感じさせながら、この後大スターとなっていくHall & Oatesの尖がった頃の隠れた名盤です。

 ★★★


The Dark Side Of The Moon / Pink Floyd (1973)

   
1965年にロンドンで結成されたプログレッシブロックバンドPink Flyodの8枚目のアルバムで、シングル「Money」が全米13位のヒットを記録したこともあり全米1位、全英2位を記録しています。このアルバムが伝説的なところは、その後もずっと売れ続けて今もなお売れ続けているということで、全米ではこれまで1500万枚(RIAA 2022年3月現在)の認定を受けています。

邦題『狂気』は人間の狂気を描いたコンセプトアルバムで、また音がビジュアルチックで、暗闇で聞くとだんだん自分が浸食されていくような感覚に陥いるものです。中盤の「虚空のスキャット(The Great Gig In The Sky)」はメロディも声も切なくて感情が揺さぶられ、ラストの展開はまるで壮大な一つの映画を見ているかのような感覚さえ受けます。

 ★★★★★



Brain Salad Surgery / ELP (1973)

 

ロンドンで結成されたプログレッシブロックバンドEmerson,Lake & Palmerの枚目のアルバムで、全米11位、全英2位を記録しています。邦題が『恐怖の頭脳改革』で「聖地エルサレム」に始まり、中盤からラストは「悪の経典(Karm Evil 9)」が続く、コンセプトアルバムの大作です。

アルバムは、オルガンの音色に導かれ、ポップなんだけど独特の世界観があって、クラッシックのバッハの頃の雰囲気も感じさせます。アルバムで言えばB-Sideの「悪の経典」の押しかけるようなメロディの展開は確かに邦題のような浸食される感覚さえも受けます。

 ★★★★