洋楽ロック・ポップ・ソウルアルバムの世界

1970-1971年のアルバム紹介

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Plastic Ono Band / John Lennon (1970)

 

1970年に発売されたBeatlesのメンバーJohn LennonのBeatles解散後の初のソロアルバム。アルバムタイトルは『Plastic Ono Band』ですが、邦題は『ジョンの魂』でファンの間からは”じょんたま”と呼ばれている名盤です。

母親への愛情が生々しい歌声とともに歌われる「Mother」。美しいフィルスペクターのピアノのメロディで歌われる神々しい「Love」。その他にも神、母の死、悟り、孤独と苦悩やジョンの感情がストレートに出されています。BeatlesのドラマーRingo StarrやBeatlesとのかかわりの深いBilly Prestonが参加しています。

 ★★★★

 


After The Gold Rush / Neil Young (1970)

   

カナダはオンタリオ出身のシンガーソングライターNeil Youngの代表作で、Crosby Stills Nash & Young活動時に発売され全米アルバムチャート6位を記録しています。アルバムから「Only Love Can Break Your Heart」が全米33位、「When You Dance I Can Really Love」が全米93位を記録しました。

「Tell Me Why」に始まるアルバムはメロウで、Neil Youngの声も切ない。それでありながら時々ハードな爆音ギターも登場し、フォークロックやカントリーロックとは違ったNeil Young独特のギターサウンドです。また、バンドとは違った哀愁や孤独感が全体に漂い、アルバムの魅力につながっています。

 ★★★★


Runt.The Ballad Of Todd Rundgren / Todd Rundgren (1971)

   

フィラデルフィア出身のシンガーソングライターTodd Rundgrenの1971年に発表された2ndアルバムです。12曲入りでアルバムタイトルがBallad of Todd Rundgrenとありながらバラードばかりではなくて、アップテンポの曲もありながらバランスが取れたアルバム構成になっています。魅力はポップ職人のTodd Rundgrenの書くメロディアスな曲で、美しいバラードの「Be Nice To Me」が全米71位、「A Long Time, A Long Way To Go」が全米92位を記録しています。

アルバムは全米214位とランキングでは微妙ですが、『Something/Anything』前のアルバムということもあり、全ての曲が捨て曲なしの素晴らしいものになっています。

 ★★★


Fragile / Yes (1971年)

 

ロンドンで結成されたプログレッシブロックバンドYesは1969年にデビューしますが、大きくブレイクしたのはこの『Fragile』でした。シングル「Roundabout」が全米シングルで13位を記録したことを受けて、アルバムは全米チャート3位、全英チャート7位を記録しています。

『こわれもの』という邦題に地球を描いたアルバムジャケット。「Roundabout」はアルバムバージョンは8分半ありますが、イントロからテンションが上がるドライブ感のあるサウンドで、エレクトロピアノのメロディとのコラボが美しいです。プログレッシブロックは難しいものも多いですが、このアルバムは導入編にピッタリの分かりやすい作品です

 ★★★★


Hunky Dory / David Bowie (1971)

 

ロンドン出身のグラムロッカーDavid Bowieの4枚目のアルバムで、全英チャートで初のTop10入りとなる3位を記録しています。このアルバムにはDavid Bowieの代表曲「Changes」が収録されていて、チャートヒットとしては全英でもチャートに入っていませんが、Bowieの代表曲となるほど知られています。何と言ってもサビの「チェチェチェンジ」というところは、キャッチーでもあり印象的です。

2016年にBowieは亡くなりましたが、その時に世界中で流れたのはこの「Change」でした。そしてこの『Hunky Dory』もまた注目を集めました。同じ頃にリリースされたのは名盤の『Ziggy Stardust』。アーティストとして創造力のピークにあった頃の勢いを感じさせます。

 ★★★


Aqualung / Jethro Tull (1971)

   

Jethro TullはイングランドはBrackpoolで結成されたプログレバンドです。アルバムは「The Distination Between Religion And God」をコンセプトとしたもので、全米7位のヒットを記録しています。

ジャケットが迫力ありますが、曲はポップで聞きやすいもので、ギターのリフが印象的な1曲目の「Aqualung」、フルートから始まるリズミカルな2曲目「Cross Eyed Mary」が続きます。様々な楽器の音が飛び交いながら、起伏ある展開がありラストまで一気に聞かせます。Jethro Tullと言えばギターのリフというぐらいにギターの音が魅力ですが、このアルバムはさらにアルバムストーリーを持ったトータルアルバムになっています。Jethro Tullの中でも最高傑作の一枚。

 ★★★★



Electric Warrior / T.Rex (1971年)

 

ロンドンで結成されたグラムロックバンドT.Rexの1971年の2ndアルバムです。全英1位を獲得し、シングル「Get It On」は全英1位、全米10位を記録しています。

もし自分がギターを弾けたなら絶対に「Mambo Sun」はやったと思うなと思うほどアルバムにはギターロックの心地よさが漂い、リズミカルなギターが魅力です。あとボーカルのMarc Bolanはなんといってもボーカルがセクシーで、リアルタイムではないですが、カリスマがあって凄い人気があったのがわかります。David Bowieの『Ziggy Stardust』(72)と同じくグラムロックの代表的作品。メランコリックなメロディにノリノリのギター。シンプルながらギターをブキみたいに持っているアルバムジャケットがカッコイイです。

 ★★★★


Tapestory / Carol King (1971)

   

ニューヨーク出身のシンガーソングライターで、60年代にはヒットメイカーとして数多くのヒット曲を手掛けたCarol Kingの2枚目のソロアルバムで、代表作です。「It's Too Late」が全米1位に輝きますが、それ以外にもJames Taylorが全米1位を獲得した「You've Got A Friend」、Aretha Franklinがヒットさせた「Natural Woman」、The Shirellesの「Will You Love Me Tomorrow」などが収録されています。

オープニングの「I Feel The Earth Move」の躍動感のあるリズムから最後までどの曲もエバーグリーンの名曲で、Carol Kingの声がまた切なくて、いつまでも色あせない魅力が溢れています。

 ★★★★★


Ram / Paul McCartney (1971)

   

Beatlesのメンバーで、Beatlesで数多くの名曲を書いてきたPaul McCartneyの1971年に発表されたソロ2作目で、全英1位、全米2位を記録しています。アルバムに収録されていた「Uncle Albert/Adriral Halsey」はPaul McCarnteyとして初の全米1位に輝いています。

アルバムは当時評論家には評判が悪いと伝わっていますが、Beatlesの傑作『SGT』をPaul自身がやったようなトータルアルバムで、オープニングで「Ram On」が流れるとラストでも「Ram On」で締められています。個人的にはラストの「The Back Seat Of My Car」が好きで、切なくて、アルバムの最後を盛り上げて終わるのが最高です。

 ★★★★


What's Going On / Marvin Gaye (1971)

   

ワシントンD.C.出身のソウルシンガーMarvin Gayeの1971年にリリースされたアルバムで全米6位を記録しています。もともと60年代には「I Heard It Through The Grapevine」が全米1位を獲得したり、Tammi Terrellとのコンビで「Ain't No Mountain High Enough」など名曲を送り出していました。

70年にTammi Terrellが急逝したことで、音楽のスタイルを変えて、華麗で美しい豪華な音と、社会問題を取り上げた歌詞が合体して、シングルの「What's Going On」(全米2位)や「Mercy Mercy Me」(全米4位)がヒットしました。また「Inner City Blues」などアルバムのどれもが名曲で、Rolling Stone誌が選ぶ2020年版のベストアルバムでは歴代1位に選ばれています。

 ★★★★★