洋楽ロック・ポップ・ソウルアルバムの世界

1960-1969年のアルバム紹介

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West Side Story / Soundtrack (1962)

   

1961年に公開されて世界中で大ヒットしたミュージカル映画『West Side Story』の映画サントラです。ブロードウェイミュージカル版は1957年にリリースされていますが、映画版は1962年にステレオバージョンで全米チャート5位を記録しています。1986年にはCDによるバージョンがリリースされています。

このアルバムは映画サントラ、スコアサウンドですが、作曲プロデュースしているLeonard Bernsteinの美しくスケールの大きなサウンドはどの曲も素晴らしく、1曲目のプロローグから息もつかせぬ展開で、4曲目の「Maria」や5曲目の「Tonight」でクライマックスに達します。ポップミュージックとしてシングルカットしてもヒットしそうなぐらいポップな曲が多く、それが流れよく最後まで展開します。映画を見てなくても楽しめる時代を超えたポップスの名作です

 ★★★★★

 


Blonde On Blonde / Bob Dylan (1965)

   

ミネソタ州はDuluth出身のフォークシンガーの巨匠Bob Dylanの1966年発表のアルバムです。「Rainy Day Woman No.12 & 35」が全米2位、「I Want You」が全米20位。「Just Like A Woman」が全米33位を記録して、アルバムは全米9位を記録しています。メディアの選ぶ名盤選に必ず上位に入る作品で、フォークロックシンガーだったBob Dylanがロック的なアプローチをしたものとして、アルバム全体ポップなものになっています。

Dylanはまず歌詞が大事ということが分かるのが、オープニング曲でシングルヒットした「Rainy Day Woman #12 & 35」で、バーでジャムっているような歌ですが、歌詞は強烈で、どんなことでも「俺に石を投げてくれ」と歌うオープニングにふさわしいナンバーです。そしてこのアルバムは7分以上の曲が3曲ありますが長さを感じさせない魅力があります。

 ★★★★★


The Velvet Underground & Nico / The Velvet Underground & Nico (1966)

   

Rolling Stone誌が選ぶロックの名盤選(〜1987)で歴代21位に挙げられるなどメディアに高い評価を受けている1966年にニューヨークで結成されたLou ReedをボーカルとするロックバンドThe Velvet Undergroundのデビューアルバムです。ジャンルはニューヨークパンクの最初の頃の代表作といった位置づけで、ポップアートの芸術家Andrew Warholのバックアップを受けてのデビューということもあり、Warholお気に入りの女優Nicoが無理やり加えられ、アルバムジャケットのバナナアートもAndrew Warholによるものなど、Warholのポップアート作品の一つという感じです。

ヘロインや性倒錯など当時のニューヨークの空気は分かりませんが、アルバムには全体に漂う「Sunday Morning」といった美しいメロディとノイジーでトリッピンな攻撃的な音が独特の雰囲気を作っています。

 ★★★★


Pet Sounds / Beach Boys (1966)

   

カリフォルニアはHawtomeで結成されたロックグループBeach Boysの1966年に発表された11枚目のアルバムです。全米チャートで10位とBeach Boysとしては平凡な結果に終わりますが、Paul McCartneyを始め絶賛を受けるなどポップスの名盤の一つとして知られています。アルバムはシングルヒットを連発していたBeach Boysとその中心であったBrian Wilsonが”アルバム”として作り上げた作品で、これは当時全世界で活躍していたBeatlesの対抗心からでした。そのサウンドは美しいメロディとハーモニー。ストリングスをバックにアルバム全体をゴージャスなサウンドで埋め尽くし、まるで映画のスコアサウンドとロックの中間のようなものでした。

1曲目「Wouldn't It Be Nice」はその中盤で、インストの「Let's Go Away For A While」でそのスタイルは極まります。個人的にはクライマックスの「God Only Knows」が最高に気に入っていて、このアルバムを象徴する一曲となっています。しかし皮肉にもこのアルバムを境にBeach Boysの人気は下降線をたどっていきます。しかし時代を超えて色あせないアルバムは数多くのアーチストに影響を与え、今もなお輝き続けています。

 ★★★★★


Freak Out ! / Frank Zappa (1966)

 

アメリカはバルティモア出身のシンガーソングライターFrank Zappaのデビューアルバムで全米130位ながら不朽の名盤です。Freak Outとは、Frank Zappa本人の言葉で「制約だらけの思考、衣服、社会的なエチケットといった道徳規範をかなぐり捨てる過程」とのこと。

何と言っても3曲目の「フー・アー・ザ・ブレインポリス」は「頭脳警察」の言葉を生み出した名曲。ダークなイントロからオーバーダブを効かせたコーラスがとにかく不気味で、最後には悲鳴とも言わんばかりのサウンドが展開。「ヘルプ、アイム・ア・ロック」はダークなベースサウンドのループにのせ、「俺は岩になってしまった」というつぶやきが何度も重なります。今聞いても類の無いほどの異色の作品。私はこれを超える衝撃の作品を聞いたことがありません。

 ★★★★★


Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil 66 / Sergio Mendes & Brasil 66 (1966)

   

ブラジルはリオ出身のラテンアーチストSergio MendesがA&Mレーベルを作ったHerb Alpert絶頂期にリリースされた大ヒットアルバムで、全米チャートで7位を記録しています。

このアルバムで有名なのは誰もが聴いたことがあるサンバの名曲「Mas Que Nada」で、Jorge Benの曲をSergio Mendesがカバーして全米チャート47位のヒットを記録しています。この曲は2006年にBlack Eyed Peasとともにアルバム『Timeless』でセルフカバーされています。その他にもラテンポップミュージックがアルバムの中にあふれていて、AORとしても楽しめる1枚です。

 ★★★



SGT Peppers Lonely Hearts Club Band / The Beatles (1967)

   

イングランドはリバプールから登場したBeatlesは1960年に結成されて、1963年にデビューアルバムをリリースするわけですが、解散までに名盤を作り続け今もなお語り継がれる伝説のバンドです。その音楽は芸術の域に達し、音楽のバリエーションも広げていったロックのオリジンの一つです。そんなBeatlesの数多くのアルバムの中で1番に挙げられることが多いのがこの『SGT Peppers Lonely Hearts Club Band』でした。

これは幅広いジャンルの音楽を一つのショーとしてパッケージされたトータルアルバムで、オープニングの「SGT Peppers Lonely Hearts Club Band」は最後にリプライズされて、エンディングまであるという。次いで実験性の高い音、遊び心が満載で、動物にしか聞こえない歌が収録されていたり、レコード盤逆回転をバックに流したりと。曲はどれも素晴らしいものですが、個人的に好きなのは「Good Morning Good Morning」からオープニングのリプライズに入っていく展開。鳥のコケーコッコからの繋ぎは何とも言えません。クラッシックロックではありますが、一度は聞いてもらいたいロックの1枚です。

 ★★★★★


The Doors / The Doors (1967)

   

ロサンゼルスで結成されたロックバンドThe Doorsのデビューアルバムです。The Doorsは映画『The Doors』もヒットするなどボーカルJim Morrisonを中心とする伝説的なロックバンドです。映画を見た人は分かるでしょうが、よくこれが商業ベースに乗ったかと思うような滅茶苦茶ぶりで、全米1位を獲得した「Light My Fire」のあのヘロヘロとしたドラッギンなサウンドは確かに名曲ですが、これがよくラジオにかかったなとも感じます。

しかし「The End」のあの狂気がかった歌詞は衝撃的ですし、アルバム全体も独特の世界観があります。あれだけ尖がっていながら、アルバム全体でポップで、今もなお色あせない不思議な名盤です。

 ★★★★


Are You Experienced ? / Jimi Hendrix Experience (1967)

   

ワシントンはSeattle出身のロックシンガーJimi Hendrix Experienceのデビューアルバムです。全米5位、全英では2位を記録し、Top40シングルはないですが、「Hey Joe」、「Purple Haze(紫の煙)」、「Foxy Lady」、「The Wind Cries Mary(風の中のメアリー)」といった名曲が収録されています。

私がこどもの頃はJimi Hendrixといえばギターの神様、伝説として色々な映像とともに流れていました。黒人音楽の要素とロックが融合したという意味で評価されていますが、ポップで繊細なメロディがあって、ロックアルバムとして楽しめます。唸りを上げるギターの熱さ、生々しいサウンドは心躍ります。「Foxy Lady」のセクシーな感じが素晴らしい。

 ★★★★


Cheap Thrills / Janis Joplin Big Brothers And Holding Company (1968)

   

テキサス州Port Arthur出身のシンガーJanis JoplinのBig Brothers And Holding Campany名義でリリースされた2ndアルバムです。全米チャート1位を獲得して、Janis Joplinの名前を一躍有名にしました。シングル「Piece Of My Heart」が全米12位のヒットを記録した他に、ガーシュインの「Summertime」が収録されています。

私がこれまで聴いた女性ボーカルでのBest3にはJanis Joplinが入ります。命を声に変えてというのが伝わるほど声に力があり、そして心に突き刺さります。オープニングの「Combination Of The Two」から展開するライブ感、唸り声。そしてピークとなる「Summertime」の暑苦しさとアルバム全体で熱気が伝わってききます。

 ★★★★


Blood Sweat & Tears / Blood Sweat & Tears (1968)

   

ニューヨークで結成されたブラスロックバンドBlood Sweat & Tearsの1968年に発表された2ndアルバム『Blood Sweat & Tears(邦題 血と汗と涙)』です。シングル「You've Made Me So Very Happy」「Spinning Wheel」「And When I Die」がそれぞれ全米2位を獲得して、アルバムは全米1位(400万枚のセールス)を記録。1970年のGrammy AwardのAlbum Of The Yearを獲得した名盤です。

シングルは勿論のこと、オープニングがクラッシック曲の「Variations On A Theme By Eric Satie」のアレンジから始まって2曲目「Smileing Phases」でもうノリノリです。アルバムはシングルがダントツに良いですが、特にLaura Nyroが作曲した「And When I Die」はLaura Nyro以上にテンポチェンジのメリハリが効いています。Gloria Estefanもカバーした「You've Made Me So Very Happy」も歌詞もメロディも感動する1枚です。

 ★★★★


Eli And The Thirteenth Confession / Laura Nyro (1968)

   

ニューヨーク出身のシンガーソングライターLaura Nyroの2作目にして最高傑作と言われている『イーライと13番目の懺悔』です。70年代にはCarol King、Joni Mitchellと並び女性シンガーソングライターの代表的な存在ですが、今でも色あせない音楽というか独創性があります。

元々Fifth Dimension(Wedding Bell Blues)やBarbra Streisand(Stoney End)、Blood Sweat & Tears(And When I Die)がカバーしてヒットするぐらい優れたソングライターでしたが、Fiona Appleを彷彿とさせるほど狂気がかったボーカル、そして何度も変わるテンポチェンジが魅力です。1曲目「Luckie」から展開が変わりまくる曲に圧倒されると、テンポチェンジの嵐「Sweet Blindness」、曲の展開が予想つかな過ぎる「Stoned Soul Picnic」など、凄いアルバムです。

 ★★★★


In The Court Of The Crimson King / King Crimson (1969)

   

ロンドンで結成されたプログレッシブロックバンドKing Crimsonのデビューアルバムです。ロックでありながら、JazzやClassicの要素を加えた新しいサウンドで全英5位、全米28位のヒットを記録します。60年代末のアルバムで、チャート順位も1位ではないですが、それでもどこかでこのアルバムの曲を耳にしたことがあるのではというぐらいに楽曲が充実しています。

オープニングの「21 St Century Schizoid Man」はロックでありながら、Jazzのような展開が素晴らしいナンバー。キャッチーなメロディは頭から離れません。そして「I Talk The Wind」は美しすぎるバラード。クラッシックのような優雅さを持っています。それでいて最後の「The Court Of The Crimson King」。アルバム全体完璧な構成で、プログレッシブロックのアルバムでも聞きやすい名盤です。

 ★★★★


Tommy / The Who (1969)

   

ブリティッシュインベイジョンの1964年にロンドンで結成されたロックバンドThe Whoの1969年に発表された傑作アルバムです。全英2位、全米4位を記録して、シングル「Pinball Wizard」(全米19位)、「I'm Free」(全米37位)、「See Me,Feel Me」(全米12位)の3曲がヒットしています。三重苦の主人公Tommyの物語で2枚組の大作で、ロックオペラの元祖的アルバムです。1975年にはElton JohnやEric Clapton、Tina Turnerなどのスターも主演する映画が公開され、Elton Johnの「Pinball Wizard」が話題となりました。

The Whoの魅力でもあるキースムーンの激しいドラムの曲もありますが、全体的に切なくメロディアスな曲が多く、「See Me, Feel Me」は心揺さぶられます。個人的なフェイバリトは「I'm Free」とラストの「We're Not Gonna Take It」。開放感たっぷりで、思わず体が動きたくなる曲です。

 ★★★★


Led Zeppelin U / Led Zeppelin (1969)

   

ロンドンで結成されたハードロックバンドLed Zeppelinはオリジナルアルバムの全てが素晴らしいものですが、その中でも最高傑作と言われているのが2枚目のリリースとなった『Led Zeppelin U』です。アルバムは世界中で1位を記録して、全米だけでも1000万枚のセールスを記録。ここから「Whole Lotta Love」が全米4位のヒットを記録しました。

このシングルだけでなく、アルバムは全てがロッククラッシックというべきもので、9曲のすべてが素晴らしい名盤中の名盤です。Led Zeppelinは心の中の野生が蘇るというか、自分自身ハイになっていく魅力があって、学生時代にはとりあえず聞きまくっていました。Robert Plantのボーカルはロックボーカルの最高峰と思っていて、思わずシャウトしたくなります。

 ★★★★★


Stand / Sly & The Family Stone (1969)

   

サンフランシスコで結成された黒人のファンクロックバンドSly & The Family Stoneの全米13位を記録したアルバムです。シングル「Everyday People」が全米1位を獲得したことでバンドがスターとなったブレイクアルバムです。タイトルトラック「Stand」が全米22位、「I Want To Take You Higher」が全米38位を記録しています。

オープニングの「Stand」からファンキーな「Sing A Simple Song」とハイテンションになれます。どの曲もアイディアがあり、ソングライティングが素晴らしいSlyの才能を感じさせるアルバムになっています。

 ★★★★