この曲で、フュガンとヴィダランは、「エコロ」で自由なメッセージを伝えました。それは工業化、都市化された社会の制約、その主要な災厄である郊外から解放されたいという強い願いであり、人々が自由に楽しく人生を謳歌し、生命を祝福できる「祭り」の感覚を取り戻したい、という自然への回帰願望です。
この曲は1973年、1968年の5月革命から5年後につくられました。社会的、文化的、政治的な変革期の、楽観的な雰囲気が漂う歌です。解放、平等、再獲得した幸福、あらゆる可能性のシンボルである「祭り」は夢と希望、ユートピアも感じさせるシャンソンであり、ぐいぐいと引き寄せるリズム感で、春にぴったりです。
(CD)
The Best of Michel Fugain
Ses Meilleurs Moments (En Public Et En Studio)
5月の主人公は共働きで3人の子どもを育てるステファンとシリル。そこで、こんな曲を選びました。イヴ・デュテイユの1977年のヒット曲、『子どもを抱いて』は、発表されると同時に全ての世代に支持されました。この歌にはさまざまな社会的な意味が込められています。語り手にとって、歌の中の子どもは実の子どもかどうかは曖昧です。作者、イヴ・デュテイユは、積極的に子どもの問題に取り組む活動家でもあります。すなわち、恵まれない境遇の子どもを支援したり、養子縁組の充実に貢献したりしているのです。静かなメロディにのせて伝えられる、デュテイユの温かいメッセージを感じてみてください。
参考にしたCD:
『ぼくと彼女たちの間には…デュオ/イヴ・デュテイユ
ENTRE ELLES ET MOI... / YVES DUTEIL』
発売 東芝EMI/1995/東京 レーベル・レコード番号 INSIDEOUT TOCP-8643
1970年代〜80年代にかけて活躍したフレンチロックのグループ、テレフォンからのナンバーです。テレフォンは男性3人と女性1人の4人組。紅一点のコリーヌはベーシストです。一時期麻薬におぼれ、音楽活動を危ぶまれた時代もありましたが、コリーヌは立ち直り、今では積極的に麻薬撲滅運動に参加しています。そしてメンバーはそれぞれ、解散後も息の長い活躍を続けています。『それってほんとにきみっぽい』は1982年に発表したアルバムに収録されている曲です。プチレトロなリズムを楽しんでください。
テレフォンのCDについては輸入版などを扱っているCD店でお問い合わせください。
20世紀最大のフランス詩人・作家であったルイ・アラゴンの詩に、シンガーソングライター、ジャン・フェラが1971年に曲をつけた歌です。アラゴンは生涯の伴侶、エルザにインスピレーションを受け、多くの愛の詩を残しました。『くるおしく愛す』もその一つです。文学的な美しい言葉の中にほとばしる情熱と、アラゴンを敬愛するフェラの音楽は、時を越えて私たちの心を揺さぶります。
参考にしたCD: Jean Ferrat Vol 1 (2CD Collection)
輸入盤 発売日: 1998/01/01 レーベル: Universal 商品番号: 8273082
今月の主人公、ネグリーズ・フォワッドさんにちなんで、同じアルジェリア出身の歌手、エンリコ・マシアスの曲をご紹介します。この曲は『恋心』というタイトルで日本でも大ヒットしました。日本語版の歌詞は「恋なんて、むなしいものね…」と嘆いていますが、原曲は「恋は何物にも代えられない大切なもの」と歌っています。アルジェリアの灼熱の太陽のように、情熱的なシャンソンです。
参考にしたCD:BEST NOW 愛のシャンソン 第一集 東芝EMI 商品番号: TOCP-9077
今月ご紹介するのは、ドミニクとジャニックさんが大好きなミシェル・ジョナスのナンバーです。タイトルが示すとおり、ボサノバへの憧憬を歌った歌。フランス人にとってブラジルは夢のヴァカンス、太陽と美男美女、そしてカーニヴァルと、美しい憧れに満ち溢れています。フランスにボサノバが広がったきっかけは、1959年の映画『黒いオルフェ』でした。ブラジルの音楽とフランスの言葉遊びが融合した『ラ・ボサ』をお楽しみください。 ・参考にしたCD:輸入CDを扱う店にお問い合わせください
今年7月、待望の日本デビューを果たした我らがchanteur、ドミニク。『フランス語会話』のシャンソン・コーナーでアレンジしたナンバーと、オリジナル曲が収録されています。今月は、その中からパトリス作詞のディリュシオンを紹介します。日々の忙しさの中で自分の感情や愛するものへの思いを見失いかけて、自分が解けてしまうような(dilution)感覚を表した詩。パトリスが作った詩を見たドミニクは、インスピレーションを得て、わずか30分でメロディを書き上げてしまったそうです。二人の友情と才能の結晶を、どうぞお楽しみください。
参考にしたCD:ドミニク・シャニョン『C'est la vie セ・ラ・ヴィ』 ビクター レコード番号VICP-62380
異色のシャンソンを作り続けるシンガーソングライター、クロード・ヌガロのヒット曲です。トゥールーズの音楽家一家に生まれたヌガロは、ふるさとのために、美しいシャンソン『トゥールーズ』を捧げました。その音楽的関心は広く世界に向けられ、スイング、ジャズ、ボサノバ、アフリカンロックのエッセンスがヌガロの曲に感じられます。『人生』と『暴力』という、一見、相容れないかのようなタイトルには、奥深いヌガロの詩の世界が表れているようです。
参考にしたCD:パトリック・ヌジエ『Mes Chansons favorites メシャンソンファヴォリット』
タイムオフィス レコード番 BTCD−1001
レイ・ヴァンテュラ楽団が歌って1937年にヒットしたナンバー。ビッグ・バンドの香り漂う軽快なメロディです。この歌はつい最近、パトリック・ブリュエルとジョニ・アリデという二人の人気歌手によってカヴァーされました。こちらはデュオのロックバージョンで、やはり大ヒット。カヴァー・バージョンの流行は日本だけではないようですね。半年間フランス語を学んできたみなさんには、歌詞も理解しやすいのではないでしょうか?『幸せになるために、何を待っているの?楽しくやるのに何を待つことがあるの?』シャンソンには珍しい、100%ハッピーな内容です。
参考にしたCD: 『ディープ・フレンチ』発売 東芝EMI/P1998/東京 レーベル・レコード番号 EMI ODEON TOCP-50682
今月の歌は1969年の大ヒット曲です。歌うはフランス・シャンソンシーンに燦然と輝くエトワール、イヴ・モンタン。作詞はピエール・バルー、作曲はフランシス・レ、と言えば、皆さんご存知の♪ダバダバダ…『男と女』を生み出した名コンビです。若い日の恋、青春を思い起こさせる歌詞に軽快なリズム…この曲を初めて聞いたイヴ・モンタンは即座に気に入り、「ぜひ歌わせて!」とその場で決めたそうです。本当はフランシス・レ自身が歌おうと思っていた曲でしたが、モンタンの温かい透明感溢れる歌声によって、この曲がさらに輝いたことは、言うまでもありません。
参考にしたCD: 『枯葉:イヴ・モンタン・コレクション』発売 日本フォノグラム/P1961/東京 レーベル・レコード番号 PHILIPS 32PD-306
孤独と自由はいつも表裏一体。冷たい木枯らしの中を背中を丸めながら、一歩一歩踏み出していく…。独特のダンディズムを持つシンガー・ソング・ライター、ジャン=ジャック・ゴールドマンの1985年のヒット曲です。ゴールドマンはフランスでは最も成功した音楽家の一人です。国内に限らず、世界中のアーティストに楽曲の提供もしています。中でもセリーヌ・ディオンとは無二の親友で、彼女が歌うフランス語の歌の多くはゴールドマンが作っています。
参考にしたCD: 輸入盤を扱うCD店でお問い合わせください。
「連れてってくれ、大地の果てまで…連れてってくれ、不思議の国へと…」情熱的なハスキーヴォイスが今なお健在の、フランス・シャンソン界の星・シャルル・アズナヴールのナンバーを、今年度最後の曲としてお届けします。アルメニアからの移民であった両親の影響か、この曲にはアルメニア独特の感性があふれているそうです。虐殺を逃れ、温かく迎えてくれる土地を求めて祖国を離れた人々の心…絶望と希望の間を力強く生きる歌声を聴いてください。
参考にしたCD: 『グレイテスト・ヒッツ・フォー・ジャパン/シャルル・アズナヴール』GREATEST HITS FOR JAPAN / CHARLES
AZNAVOUR
東芝EMI/2001/東京 EMI TOCP-65925