『水と海月と』mizu-to-kurage-to


日暮れの雨は 悪戯に過ぎ去って
濡れた身体を 余計に重くしてゆく

昇る満月は こんなに近いのに
いつから君は そんなに遠くにいるの

くらげを見つけて 笑いあった
あの海からずっと 這い上がれずにいる

たまらなく無力な僕だから いつも息苦しくて
このまま溺れゆくのならば
せめて満月を道連れに沈もう



夜は否応なく 闇を引き連れて
胸の隙間を 余計に広げてゆく

小さな明かりを 点けて眠った
あの頃の僕らは 琥珀色にかすんでいる

たまらなく空しい夜だから とても息苦しくて
泡沫の夢で終わるならば
せめて小さな明かりの下で眠るよ



幾つの朝日を迎えれば
君まで追いつけるのだろう



たまらなく無力な僕だから いつも息苦しくて
このまま溺れゆくのならば
せめて満月を道連れに


たまらなく空しい夜だから とても息苦しくて
泡沫の夢が終わるまでは
今日も小さな明かりの下で眠るよ





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