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今さらかもしれない質問にバッハ研のマエストロが回答・・・ということで始まった質問箱。その精神を引き継ぎ(?)これまでマエストロからいただいた役立ちそうな情報をお送りします?!
BWV番号は、誰が、いつ、どのように決めたのか?
バッハはBWVですけど、ちなみにヘンデルはHWVで、WVは、「Werke-Verzeichnis(=作品目録)」の頭をとったものなので、いわゆる作品番号ってことですよね。
マタイがなぜ1829年に初演されたか、という質問にも関連するんですが、フランス革命を経てバッハ・ルネッサンスなるものがあって、1850年ごろからバッハ全集が作成されます。そこからBWVでナンバリングされるわけなんですが、1200以上ある曲の半分以上は声楽曲なんです。
まずカンタータ。カンタータの一番は暁(の星はいと美しきかな)と呼ばれる一番らしい曲ですね。それが大体200まで。次に世俗カンタータで、モテット225とか。ミサ曲がきてロ短調は232、マニフィカトが243、次に受難曲でマタイが244で、ヨハネが245、ルカが246で、マルコは楽譜がないけれどその次で、次にクリスマス・オラトリオ、でもって、四声コラールっていうのが来るんですね。それで分類できないアリアとか加えて大体、450から525ぐらい。
その次に器楽が来るんですが、いわゆるオルガンですよね。トッカータとフーガはまさにこの中です。700あたりにオルガンとコラールの小曲集が来て、次が鍵盤ものでクラヴィーア、(リュートで)次に無伴奏とかの弦楽の室内器楽曲が来て、協奏曲、管弦楽が入って、カノンなどの類別が難しい曲で、最後は新発見ものとか、あとから出てきた曲になります。
参考:バッハ作品主題目録番号(Wikipedia)
参考:ヨハン・ゼバスティアン・バッハの作品一覧(Wikipedia)
(2017.11.28)
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カンタータの番号は、どのような順番になっているのですか? 作曲された順番というわけではなさそうなのですが・・・。
ハッキリ言って、適当ですね。モーツァルトはケッヘルさんが作品番号をつけたから、ケッヘル何番とかですが、あれは時系列です。K-1は3歳だったか5歳だったか(←5歳が正解)の作品です。でも、バッハの場合は、ジャンル別で振り分けられているんですが、じゃぁ、カンタータの順番は何の順か?っていうと、特に理由はないみたいですね。(2017.11.28) ♪Top
1892年にメンデルスゾーンによって、マタイがいきなり再演されたのは、何がきっかけだったのですか?
バッハって、モテットはよく歌われていたんですよ。モテットの中には聖句が引用されていて、教会的にも問題がなかったんですが、マタイに関しては、バッハがその中に色々自分の思いを詰めていたので、それが宗教上問題になったんですね。それにバッハは生前、教会とも対立したり、異端とみなされてもおかしくない状況だったんです。1800年、つまりバッハの死後50年たったライプツィヒでは、もうバッハの痕跡なんて全部消されていたそうですよ。ところが、フランス革命を経て、人権への意識や人々の意識が芽生えて、いわゆるそれまでの「教会」に対するこだわりから解放されて、人間本来の生きる権利を大切にしようじゃないかが芽生えてきます。お陰様で、ずーっと封印されていたバッハの教会音楽にも、バッハ・ルネッサンスが起こるわけです。
ちなみにメンデルスゾーンの先生?がバッハのマタイ受難曲の楽譜を持っていて、それを手に入れて「マタイすげー!」ってなったんですが、その時彼は14歳だったんです。相当マセてますよね(笑)?で、初演したのが20歳の時でした。(2017.11.28) ♪Top
今さらですが「ヘミオラ」がよくわかりません。ネットなどで説明を読んでもピンとこなくて・・・
あ~ヘミオラは、バッハだけでなくバロック音楽全般にいっぱい出てきます。3拍子の楽曲に出てくるアレですね。
|• • • | • • • | (いち・に・さん|いち・に・さん) という3拍子が
|• • | • • | • •| (いちと~|にいと~|さんと~) と2小節にまたがって倍に引き延ばされた感じになります。踊りが終わったところで、お辞儀でもしたのかもしれません。
バッハのカンタータの中には、最初から2分の3拍子にしておけばいいような感じの曲もありますよ。(2017.11.28)
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バッハを知るうえでおすすめの本はありますか?
バッハをキレイに描き過ぎている本が多いよね。でも、やはりこれでしょう。 「J.S.バッハ 時代を超えたカントール」川端純四郎著 日本キリスト教団出版局 (2017.11.11) ♪Top
息継ぎはどのタイミングで?
歌詞で、カンマがあるところで息継ぎをするといいですね。でも、カンマのところは全部ってわけじゃないですよ。あと、適当に息継ぎはしちゃダメです。ソリストを参考にするといいですね。(2017.11.11) ♪Top
モテットと教会カンタータの定義とその違い
これは難しいね。モテットはね、色々な形があり過ぎるんですよね。時代によって変わるし・・・ルネッサンス頃は、どちらかというと世俗曲の方が多かったんですよ。BWV118はバッハは「モテット」って題名つけているのに、旧バッハ全集を編集する際、シュミーダーがカンタータってことにしちゃったんですね。シュミーダー当時のモテットの概念は、器楽に独立声部を持たない合唱曲がモテットでしたからね。モテットには500年以上の歴史があるんですよ。ルターの時代にもモテットは多かったかな。ただ、いつの時代もアカペラ、あるいは器楽が合唱をなぞるっていうのは共通していますが。バッハ自身のモテットの解釈は、聖句に合唱を施すものでした。
カンタータというのはイタリアからきたものですね。17世紀後半からイタリアで盛んに創られるのですが、イタリアのそれは演技のないオペラだと思えばほぼ正解です。これも世俗的なものが多かった。レチタティーヴォとアリアからなる多楽章楽曲です。バッハはその形式を借用して、プロテスタントのための礼拝音楽にしました。(2017.11.11)
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室ちゃんがバッハが好きな理由は?
まず彼はオルガニストでしたが、楽器が上手なんですよね!そして、作曲技巧、ことに対位法のスペシャリスト。あとはプロテスタントの精神。さらに舞曲のビート感が加わってます。ちなみに私の恩師の石桁 真礼生(いしけた まれお)先生は、「芸術はカタルシス」っていっていましたけどね、つまり、カタルシスって、「吐瀉(としゃ)作用」なんですね。吐いてスッキリするってことですよ(笑)!例えば、モテットも後半に向けて盛り上がるようになっているんですが、こう、全部吐き出しちゃう感じで(笑) バッハを聴いていると熱くなりますよね!現代的な意味で、音楽芸術はバッハから始まっていると言っても過言ではありません。(2017.11.11) ♪Top
昔はなかったクラリネット登場のひみつ
クラリネットって、バッハの時代にはなかったんです。でもね、トランペットで高音を吹き過ぎて死人が出たんですよ。バッハの時代のライプツィッヒに記録が残っています。ちなみにトランペットの高音域を「クラリーノ音域」って呼んでいました。そこでベームという人が、これ以上死人を増やしてはいけないという使命感・・・は冗談ですが、クラリーノ音域を容易く吹く楽器ってことでクラリネットを作ったそうです。(2017.11.11) ♪Top
コラールは替え歌って?
同じメロディーを歌詞を変えて歌っている、いわゆるコラールは替え歌ですね。(2017.11.11) ♪Top
マタイ受難曲でのビオラ・ダ・ガンバのピッチについて
弦楽器においてはモダンに比べ、古楽器では弦の張力がゆるくなっているため、ピッチが狂い易く頻繁なチューニングが必要です。ギターのようなフレットのあるガンバではなおさらです。ところが、マタイでは曲間というものが基本的になく、それに加えて長時間待機していなければなりません。ガンバの曲の前にチューニングもいいのですが、そうすると音楽的な流れが途切れます。どちらを選ぶかは指揮者の判断によります。(2017.7.29) ♪Top
ピッチは442?440?それとも、バロックピッチの415?
バッハ研は当初よりモダン楽器を使用しているため、ピッチは442です。ガンバは古楽器ですが、弦楽器なので半音高く調弦しても問題ありません。管楽器ですが、これもすべて現代の楽器を使っています。リコーダーは古楽器ブームもあり、モダンピッチでもバロックピッチでも対応する楽器がそろっています。そのかわり2本買わなければいけませんが(笑) (2017.7.30) ♪Top