……オリヴィエ様が最初に探し当てたのは、俺の贈り物じゃなかった。

氷を入れたタンブラーに目を止め、いくつかの氷を退ける。
するとそこから、氷の4分の一ほどの大きさの透明な石が出てきたのである。
その送り主は、もう言わずもがなだった。
金剛石……大地そのものの名を持つ石の送り主は、その守護聖であるルヴァ様。
オリヴィエ様は氷に冷やされたそれを大事に手にとって、そして
満面の笑みをルヴァ様へ向けた。

「とっておきのを研磨したんですよ」
そういうルヴァ様に、オリヴィエ様はその石を指に当てて見せながら。
「指輪にしちゃっていい?」
と尋ねる。
「あなたの望むようにしてください。そのために贈ったんですからねー」
ルヴァ様がパーティーを提案したのは、きっとこのために違いなかった。

ゼフェルの呆れた顔、リュミエール様の見守るような微笑み……。
何も知らなかったのは、俺だけだったらしい。
俺はオリヴィエ様の瞳と同じ色の……自分が隠したアイオライトの裸石をそっと
回収した。

楽しいはずのパーティは、一気に色褪せてしまった。
俺はきっと、もうお茶会に誘われても決して行くことはないだろう。
オリヴィエ様の笑顔が、もう俺のものにはならないと知ってしまったから……。




FIN

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