……オリヴィエ様が最初に探し当てたのは、俺の贈り物じゃなかった。

ふと見上げたシャンデリアに引っ掛かった、違和感のある装飾品。
それは俺が選んだものよりももっと高級そうなイヤリングだった。
「あ〜あ、もう。せっかく綺麗なのにこんなとこに引っ掛けて……上手く取れなかっ
たら傷入っちゃいそう」
そんなことを言いながら、顔は笑っている。
やっぱり嬉しいんだろうな。
懸命に手を伸ばして、オリヴィエ様は慎重にそのイヤリングを取った。

「着けてやるよ」
オスカー様が歩み寄って、その大粒のイヤリングをオリヴィエ様の耳につけた。
「ウン、お願いね」
オリヴィエ様も髪を掻き上げ首を傾けて、目を閉じる。
その動作はとても自然で……俺はその時、初めて気がついた。
そうか、慣れているんだ……と。

俺は知らなかったんだ。
オスカー様とオリヴィエ様は、ただの親友じゃなかった。
あまり表立ってそんな態度は取っていなかったから。
俺は自分が隠したプレゼントを、その後のどさくさに紛れて回収した。



楽しいはずのパーティは、一気に色褪せてしまった。
俺はきっと、もうお茶会に誘われても決して行くことはないだろう。
オリヴィエ様の笑顔が、決して俺のものになることはないと知ってしまったから……。




FIN

扉へ戻る