2月18日(月) 「ザ・スクープ」を見よう!
うーむ、月一更新になりつつありますね。でもって、最近のネタは娘。関係ばかり。エセオピニオンサイトを目指すとの、当初の野望は早くも脆くも潰え去りそうな今日この頃です。
んなわけもあって、というわけでもないのですが、久々にいわゆる「硬派」ネタです。私、基本的にテレビネタは扱わない方針(いつ決めたんだろ?)なんですが、今回は見ていて驚愕のあまり、書き散らすことにしました。そう、テレビ朝日系列での本放送が土曜の昼10時50分からと、はっきり言って冷や飯ぐらいの「ザ・スクープ」です。
土曜のこんな時間に硬派の調査報道番組を見るなんて、よほどの好き者としか言いようがありません。まともな人が見ているとは思われません。もちろんご存じのように、この「ザ・スクープ」、以前はもっと見やすい放送枠にありました(正確には失念)。私も、そのころはよく見てました。でもって、例えば「桶川ストーカー殺人事件」など、その報道としてのレベルの高さと、ジャーナリスト鳥越俊太郎氏のすばらしさ、何よりも「愛」の存在に、非常に感銘を受けながら見ていたものです。けれども現在の放送枠に「左遷」された後は、とんと見なくなっていました。ま、大衆なんてそんなもんです。
でもって2月16日の放送は、スケジュールの都合でたまたま流し見ることになったのですが、たちまちのうちにのめり込むように見入ることとなってしまいました。恐らく見ていない人が大半だと思いますが、ここでネット配信されていますから、悪いことは言いません、ぜひ一度見てみてください。でもって、そのすごさを実感してください。いまいちすごさがピンと来なかった人は、これから僭越にも私が解説を垂れますので、参考にしてみてください。
何がすごいのか、一言で言えば、すべてのソースが一次資料であり生だということです。例えば使われている証言は、すべて本人が語っています。伝聞や消息筋はまったくありません。公式発表されたもの、あるいは公式文章でも、すべてウラ(つまりその記述者、あるいは陳述者)の証言を生でとり、内容を確認してあります。すべて番組のスタッフによって取材してあるのです。
あたりまえだと思われた方、あなたは正しい。報道とは本来どころか当然、そうあらねばならないのです。こういうのを「報道」と呼ぶのです。
ところが一般的な報道の実態はどうか。翌日の報道番組(のようなワイドショー)で見て印象に残ったので取り上げますが、某局(だけじゃなかったね、それこそウラをとってないので断言はできないけど)では堂々と、いっさいウラをとらず、自らはまったく取材することなく、ある情報を垂れ流していました。
それは鈴木宗男議員ネタでした。共産党の議員が予算委員会で指摘した「ムネオハウス」「ムネオ号」の件を、あろうことか「共産党議員の調査による」とキャプションまでつけて、おもしろおかしく映像としゃべくりをでっち上げて、もっともらしく大仰に垂れ流していたのです。
私は、そのあまりの落差に呆然とするのも忘れて冷笑してしまいました。おまえら取材しろよ・・・、もちろん私が言ってどうなることでもないのですが、人のネタで商売する、他人のふんどしで勝負する、この厚かましさ厚顔無恥に、ただただ呆れかえるしかありませんでした。
しばらく呆れかえって、でもってあほらしくなって我に返ってちょっと考えてみて改めて気づかされるのは、溢れかえるマスコミ報道の大半(というかほとんど全部)が、同じ穴のムジナだということです。少なくとも私が知る限り、大手マスコミは歌を忘れて念仏を唱えるカナリヤのようなもんです。
いつから使われるようになったのか、奇妙なニュース用語があります。「〜であることがわかりました。」ってやつですね。あれって何なんでしょ。私、あれを聞くたびに虫酸が走るというか、バカヤローと叫び出したくなるのです。誰が「わかりました」なんだ、私は別に分かってなんかいないぞ。ソースを出せ、ソースを。かつての大本営発表だって、もうちょっと工夫していたというか、時々耳にするピョンヤン放送みたいに、芝居がかってまで説得しようする努力が見られたものです。おまえらなめとんのか!?
ネット時代となった今、マスコミ報道のソースに当たるのは簡単です。英語が読めなくても、けっこう使える翻訳ソフトが出てきているので、誰でもニュースソースにアクセスできます。むしろソースの信頼性をどうやって判定するのかが問われます。引きこもりのたむろするBBSですら、いや、だからこそ常套句に「ソースを出せ」があるくらいです。であるにもかかわらずの「〜であることがわかりました。」、間違いないですね、完全になめてるというか弛み切っているのでしょう、大手マスコミは。
自ら取材をしないというのも、こうやって見てくると当然なわけです。この国を蝕んでいる病根の、もっとも分かりやすい、そしてもっともたちの悪いていたらくが、大手マスコミ自らによって鮮やかに曝されているというわけです。
話を「ザ・スクープ」にもどします。ものすごい努力をしたであろう、その努力の姿はおくびにも出さず、番組はいわゆる「筋弛緩剤混入事件」の真相に迫っています。どこにも憶測はありません。すべてのソースは開示され、生データのみでの合理的推論が展開されています。そして、現役警察官の偽証と、捜査段階の予断を鮮やかに立証するとともに、捜査の理不尽さ、警察そして検察の無能ぶりを、キャスターが言葉で語るまでもなく鮮やかにあぶり出して見せています。いい仕事してます。
繰り返しますが、これが報道というものではないでしょうか。鳥越俊太郎さん、都合がつく時にしか番組を見ないダメ市民の私ですが、あなたの姿勢と努力を支持します。何にもできることはありませんが、応援します。