ALIVEの歴史は古くもないが新しくもない - 第四話
<<第三話 : 最終話>>
「時計が処刑の時刻を指す」と歌ったのはラッパーのジブラだっただろうか?うまいなー。さすがだなー。まさにそんな感じ。順調にほかのバンドの演奏が終わり、遂にヌンチャク初ギグの始まり。フロアには柏のスケーターやらダンサーやらその筋の方々やらで異様な光景だった。(大体が友人だけど)私は事前に仕込んであったズタ袋風のマスクを被り、ワークマンで購入した白衣に身を包んでいた。
割とビジュアルも重視していたから。
もう私に迷いはない。「さあ、殺るぜ!」ってな具合に気持ちを固める。当時柏のアンダーグラウンドの人間達は何をやるにも本気だった。見せる側も見る側も変わらねぇ。ナメられたら終わり。真剣勝負。音と気持ちの殴り合い。暴力と音楽の融合。そして、それらを超越した爽快感を求めるために通うライブハウス。「何が良くて、何が格好悪いか」教えてくれたのは柏のパンクスの先輩方とアライブだ。
もちろん、私達の演奏などとても聴けたもんじゃない。たかだか高校生達が繰り出すポンコツだけどラウドなリフ、だらしなくてラウドなビート、意味は分からないが、その気になってるツインボーカル。共通してるのは誰よりも本気だって事。
気付けばフロアは阿鼻叫喚なモッシュピットが出来ていた。「ああ、マジかよ?スゲー、モッシュしてるよ!超うれしい!やったよ!お母さん!みんなスゲー踊ってるよ!ってお母さんにモッシュなんて言ってもわからねーか。『誰か亡くなったの?』なんて言われてもなー。おおクニ格好良い!ちょっと良いんじゃない!?ねえ、スッゲー良いんじゃない!!?」ってライブ中に思ってみたり。
何でも本気で物事に取り組むと、良い方に倍に返ってくるって知ってる?
つづく