※虫えい(虫こぶ、ゴール)
植物の葉にコブがついていたり、芽に異常に膨らんだり、奇形になった部分があったりします。これらを虫えい、虫こぶ、ゴールと呼んでいます。タマバエやタマバチ、アブラムシなどがこれをつくりますが、菌もつくります。虫えいにはタンニンが多く含まれて染料や医薬品、食物として利用されています。
虫えいの名前の付け方にはルールがあって、植物名+虫えいの出来る場所+虫えいの形+フシ、が一般的です。例えばコナラの芽についたリンゴのような虫えいはコナラ+メ+リンゴ+フシとなります。ただし出来る場所が省略されることもあるようです。

一部の記述にあたっては薄葉先生
東京環境工科専門学校
九州大学大学院農学研究院昆虫学教室のご指導を受けました。
このページは、
http://www.tree-watching.info/kensaku/dat/k/kunugi/kunugi.html
http://www.tree-watching.info/index.html
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Hanamizuki/4556/mushikobu.htm
http://www9.wind.ne.jp/matu-ko/omosiro2.htm
 を引用しています。

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コナラメイガフシ

一見クリのイガのように見えますが虫えいです。
ナライガタマバチがコナラの芽に卵を産んで幼虫が寄生してできたものです。写真のものは1年経過したもので中には虫はいませんでした。

ナラハタイコタマフシ(タマバチ科)

コナラの若葉に作られた太鼓型の虫えい(虫こぶ)で葉の表裏の両方に膨らみます。両面ともほぼ同じ大きさで先端はやや平らとなって赤褐色の円輪を伴うことがあります。えい形成生物はナラハタイコタマバチで虫えいが幾つも接して生じ、葉が捻れたり縮んだりしていることが多い虫えいです。5月上旬には蛹となって下旬に脱出します。写真には脱出口も見えます。撮影6月上旬:榛東村。

ナラハスジトガリタマフシ(タマバチ科)

コナラの葉柄や主脈に作られる球形〜楕円形の虫えい(虫こぶ)で先端に行くほど細くなり先端は名前のとおり急に尖ります。えい形成生物はナラハスジトガリタマバチで、表面は滑らかで黄緑色から桃赤色、5月上旬頃に目立ち始め下旬には落下してしまいます。撮影6月上旬:榛東村。

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ナラハウラマルタマフシ

ミズナラについたタマフシです。
ナラハウラマルタマバチ(コナラフシバチ)が寄生して出来たものです。

クヌギハクボミフシ(トガリキジラミ科)

クヌギの葉に形成される小さな突起状の虫えい(虫こぶ)です。えい形成生物はクリトガリキジラミで、一匹ずつ葉裏に固着して吸汁しています。成虫で越冬して4月頃にナラやカシ類の新葉に産卵し、5月頃から黄緑色のいぼ状の虫えいが目立ち始めます。撮影6月上旬:榛東村。

クリハイボフシ

クリの葉の表裏にイボ状にふくらんだ虫えいが作られます。葉表は半円球状〜尖った形までさまざまな形をしています。葉裏は壺状にふくらんでいます。クリフシダニによって作られるフシダニえいです。

ブナハウラカイガラフシ

ブナハウラカイガラタマバエによる葉の両面にできる虫えいです。
二枚貝状で光沢のある茶褐色で壁が薄い中空になっています。
虫えいは6月頃から見え始め落葉とともに落下して翌春にサナギ〜幼虫になるそうです。1枚の葉に30個以上付くことも多々あるようです。

葉表にみられるブナハカイガラフシ(ブナカイガラタマバエ)とは一応区別しておいた方が良いそうです。
bunahamarutamahusi.jpg (17127 バイト) ブナハマルタマフシ

ブナマルタマバエによって作られた球形の虫えいです。
成熟すると赤味を帯びてきます。10月過ぎに落ち葉よりも早く虫えいが落ちて、その中でさなぎとなって、春には羽化するそうです。

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シラカシハクボミフシ

シラカシトガリキジラミによってできたいぼ状の虫えい。
葉の裏側に幼虫がついています。

下の写真は,睦神社 で採取した木の葉の写真です。
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