第二章「セレンシア」



俺のアルバムはヒットを飛ばし、俺は一躍、時の人となった…。
今まで、普通に歩いてた街もなかなか歩けなくなり
人の目を憚るように俺はお忍びでまたun-NOIZのライブを見に行っていた…。

YU-kiはいつものように激しく熱く歌い踊る…。

だがしかし気のせいか一瞬俺の後ろあたりをみて凍りついた…。
いや…。気のせいではない…。
彼女の表情は一気に青ざめ、何かくる恐怖に脅えているように思えた…。

どうしたんだろう…。
俺は慌てて後ろを見る…。

すると俺の後ろには…。



俺も後ろを見て一瞬言葉を失った。
俺は何回も何回も見間違えだと思い目を擦りながら
もう一度振り返った…が…その「人」はやはり…いた…。

戦国時代風の鎧兜を着た男が立っていた…。

だがしかし…誰も周りの人間は見えていないのか
ソイツに気づく様子がまったくない…。

これってもしかして…幽霊???
俺の頭はパニックになっていた。。

幽霊なんているわけがない…。
俺は疲れているんだ…きっと…。錯覚を起こしているだけだ…。

しかし何度振り返っても「ヤツ」はいた…。
俺はだんだん恐怖のあまりに悪寒が走った…。


そしてヤツは手を自分の頭上へと振り上げ
手のひらを彼女に向けた。。

そして「ヤツ」は言った…。

『やっと…見つけた…。ずっと探し続けていたぞ…夕顔…』

そして彼女も答える…。

『…こんなところで…会うなんて…。人間界の地に現れるとは…。
追手が来るのも[セレンシア]だけかと思っていたが…。何か企んでいるな…
この人間界で…。どうするつもりだ?何がお前らの目的なんだ…』

そしてヤツはニヤリと不気味な笑みを浮かべ答える。
『お前を[セレンシア]に連れて帰り、お前の持ってるその家宝である
「光の秘宝」を大皇女様に渡すのが俺の指名…。堪忍しろ!!!夕顔!!』
ヤツは手から光を放ち、俺はあまりのまぶしさに目を瞑った…。



そして数分が経ち、俺は恐る恐る目を見開いた…。

ここはどこだ…。

見知らぬ田園風景…。そして見知らぬ街…。
人の服装も…全然違う…。

俺は途方に暮れていた…。

一体…俺は…どこに行ってしまったんだ…。

そして何気に俺は自分のポケットに手を入れた…。

「うんっ・・・?」

俺は手に触れた物体をポケットから取り出す…。
その物体は、白く光り輝く水晶のような物だった…。
俺はハッとする…。

もしかしてこれがさっき言ってた…「光の秘宝」!?

そして…ここは…「セレンシア」…。
そんな…これは夢だ…。何か…変な夢でも見ているんだ…。

俺の頭の中は真っ白になりその場に倒れこんだ…。
俺は朦朧とした意識の中、
「大丈夫ですか?」と問い掛ける女性の声を聞いていた…。


第三章へ続く

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