『REQUIEM』
『FOREST』
風の旋律、梢の囁き
息吹く命の声
森の恩恵、戴くせせらぎ
海へと命を繋ぐ
歌う海鳥、さざめく潮騒
遠くに聞きながら
木漏れ日揺れる、緑の小道で
笑い合えてた日々を
祈るように灯された翠の炎は
在りし日を想うほどに美しく
風の慟哭、墨染の帳
森を覆い尽くし
霞む情景、黎明を待てず
力尽きたとしても
祈るように灯された翠の炎は
貴女へ最期に捧ぐ、命の灯
頬を伝う涙の色、鮮やかに
眠る記憶、輝き出す
宝石のように―――
『MERMAID』
静寂に凪いだ水面
風を待つ心
秘められた激しさは海の如く
白刃を血で汚せども
清廉なる心
燃え上がる静かな炎を宿して
貴女が愛したこの場所を
守る為に戦うこと
夜闇に満ちた静寂をつんざき
森を駆け抜けた
どこまでも、どこまでも――
装束を血に染めようとも
凛然たる心
奥底に溢れる想いを隠して
炎の花びら鮮やかに
舞い散る命の煌めき
貴女が愛してくれたから
強くなれたのよ、こんなにも
幸せだったわ、こんなにも
『REQUIEM』
国が滅びる夢を見た天使舞う夜は
飾り窓を叩き割り葡萄酒をあおる
炎を守りし巫女達の見果てぬ夢遥か
巫女の記憶を身に宿す人魚が歌うわ
さよなら、セレ
あの火を灯そう
おとぎ話の一綴り、逆さまの風車
紅い三日月閉じ込めた硝子の鳥籠
鏡の双子人形の灯火を胸に
呪いと祈りの狭間の地、蟲達を待つわ
さよなら、テン
人魚の森にて
火の巫女よ、再び守れよ
その神をもう死なせるな
星屑で常夜の国から
彼の地まで照らし結ぼう
人が死に行く夢を見た漆黒の朝は
螺旋階段駆け下りて天使の羽もぐ
邪教の民だと語られし時は今遥か
蟲産む娘が産み落とす胎児が誘う
さよなら、リーコ
星をめぐらせて
火の巫女よ
失われた地を白糸で紡ぎ直して
人魚姫、歌う
鎮魂歌携えて闇を去り行く
火の巫女よ、再び守れよ
その神をもう死なせるな
星屑で常夜の国から
彼の地まで照らし結ぼう
『STARLIT SIGNPOST』
星月夜、幾千の魂の祈りは
凍てついた暗闇に火を灯して
海原を往く者に海神の御加護を
導いて、星灯り
迷わぬよう
星月夜、幾千の魂の調べは
哀しくも愛おしい音を奏で
命が還る星屑の海
白く儚い導の炎
黎明に滲む空
海原は輝き
星達は眠りつく
夜の果てに
星月夜、幾千の魂の祈りは
凍てついた暗闇に火を灯して
貴女が仰ぐ空の闇にも
星の導きが灯るようにと
涙を海に、想いは空へ‥‥
そしてこの願いが
貴女の元へ届くようにと‥‥
『MONICA』
異形の世界の姫として産まれ
闇と戯れて幾星霜
まるで羊水の海に浮かんだ
心地良い日々にさよならを
夕焼けの陽の色は後悔の色
私の為死んだ巫女の血液よ
街を後にして西の果てまで
月の雫舐め惜別を
散れよ忌まわしい花、星の祈りにて
蜘蛛が糸を紡ぐ水辺に降り立て
大地を焦がして駆ける猫達
綺麗なドレスも脱ぎ捨てて
人魚の歌声、私を呼ぶわ
帰ろう、闇の定めとして
朧月の夜に名前を得たわ
思い出して、かつて生きていた意味を
燃えよ草原の火よ、空の遠くにて
神が降り立つ時、命授けよう
夜明けの空仰ぎ、其の火に焼かれて
身を焦がして雛と白い月を撫で