『HEAVEN』



     


『POTPOURRI』

 柔らかな明かりに包まれ
 私はベッドの上で
 甘い息を吐き喘ぎ星を見る
 ポプリ香る
 広場には鐘の音 夜は瀕死
 街に残る澱みの中へ
 呼び寄せる花の声 祈る人

 天空の歌声 ドールは踊る
 風に恋をして火を宿す遠い日々
 そんな微かな記憶の中で漂うの

 描いていた見たことない国の
 私の絵は黒い色が全てを消してく

 ポプリが胸に散る 古の夢
 風車まわるように黄金を生み出して
 きっと私の子宮でポプリは夢見る

 丘の上から見た白い火の粉
 月の明かりにて焼かれてく
 道しるべ 彼の地まで産まれ出る

 葡萄酒を一口 手を血で濡らし
 誰か私撫で抱きしめて連れてって
 遠い瑠璃色の水が満ちる湖へ

 夢見ていた 御伽話の国
 私の本 ページ全て花びらで埋めて

 ポプリが脚に散る モノクロの夢
 淡い色をした花びらを吐き出して
 そして私の子宮でポプリは夢見る
 私の子宮でポプリは夢見るの





『HEAVEN』

 目眩を感じるような光が舞い遊ぶ
 楽園から堕ちる私を撫でて
 水銀の雫 浴び真昼の星を呼ぶ
 エーテルの海 濡れた果実の甘味

 HEAVEN...

 天使が羽をもぐ さよなら街の灯よ
 遥かな地へ 滅ぶ王国の民よ

 HEAVEN...

 糸紡ぎの天使
 朝と夜を紡いで
 終わりの日の中でキミを迎えに

 糸紡ぎの天使
 塵になる都市にて
 始まる日の為にキミを迎えに

 HEAVEN...





『ACQUA』

 星の水辺で終わりの日を待つだけ
 貝の火は燃えて空から迎えが来る
 朝の雫で夜を待つ国へ
 木々を揺らしてめぐる風達よ
 月の水辺で人魚つかまえて
 真昼の星が沈む水の底





『ROSERAIE』

 甘いお茶に花を浮かべて
 焼きたてのお菓子 チョコレート
 花の蜜と血で濡れた手で
 角砂糖一つ舐めてみて
 揺れるゼリー 甘い果物
 くつろいでいってね この庭で
 悪魔たちも天使と踊るよ
 ふわふわのケーキ召し上がれ

 薔薇の色は私の血よ
 綺麗に咲いたね
 鋏の刃を研いでみんな刈りに行くの
 空から堕ちた天使の庭で

 風車の羽 遊ぶ風をここで追いかけて
 お砂糖で固めて空への目印に
 月夜へ歌う天使の庭で

 傷痕そっと薔薇の棘で刺して血を流す
 私の血を舐めて ようこそ この庭へ
 空を夢見る天使の薔薇園





『HALO』

 降り注ぐ光の輪 春の海辺へ
 残骸の風達よ 今、星の声を
 降り注ぐ光浴び月に抱かれ
 水晶の砂浜で ただ終わりを待つ
 天空の鐘が聞こえる広場で
 光に包まれ 産まれよと告げられ
 ああ天使が踊るわ 亡骸の上
 降り注ぐ光の輪 夢ひとつ溶いて

 翼が折れて空を見るキミよ
 想いの果てに 光、降り注げ

 天使の物語と人魚の唄が
 花を忘れた森へ今、キミを呼ぶわ
 降り注ぐ光の輪 秋の水辺へ
 再生の風達よ 今、空をかけて
 心臓の音を私に聞かせて
 眠りに堕ちゆく娘は子を宿す
 天空の鐘が聞こえる広場で
 光に包まれ 産まれよと告げられ





『ALICE』

 薔薇の庭で眠ろう
 猫の羽揺らして
 ロザリオをかざしても
 キミのこと見えない
 大聖堂で待ちます
 街を行く夕べに
 飾り窓が割れたらキミのこと抱きたい

 楽園の猫たち 広場で歌う
 不思議の国の本 私、知らない

 羊の輪がまわるよ 旅立つキミの背に
 ふわふわと抱きついて
 キミに言うさよなら

 異国の地の兎 去り行く朝に
 清められたリング 天の囁き

 収穫祭の終わりに花束を手にして
 キミの為に祈るよ
 もう声が聞けないキミに言うさよなら