舞台幕種類


舞台幕の設営の目的は、大別して、3つの用途に分けることが出来ます。
1.舞台機構の目隠し、間仕切りを目的としたもの(諸幕、雑幕)。
2.舞台効果を目的としたもの (道具幕や背景幕)。
3.美術的、装飾的な要素を主とするもの(緞帳や引き幕)。

緞帳の種類
緞帳
舞台と客席を仕切る幕。会館ごとに違うデザインがされている。防音機能に優れていて、これ
を閉めると舞台で何をしても客席には分からない。
種類は昇降・斜め絞り・絞り上げ・開閉などがあります。
原則として、上下に開閉する幕を緞帳といい、左右に、または中央から左右(引き割り)に開閉
する幕を引き幕といいます。防火シャッターとしても使われる。
舞台の前面にあり、開演と同時に開き(上がり)終演と同時に閉じる (降りてくる)。

1、綴織(つづれおり)
 最高級の緞帳。原画を拡大表現するにあたって、組織の粗密、模様の大小、色数の多賓、 
 原糸や素材の選択などが自在であることと、色彩のボカシを含めたあらゆる絵画的な表現 
 が可能であるため、最適な技法として多くの作品が存在する。

2、アップリケ緞帳 
 種々の裂地を型どり、それを台布に張り合わせたり縫いつけてゆき、友禅染や刺繍で仕上 
 げる緞帳。豪華さとボリューム感を発揮できる方法。

3、フック織緞帳
 さまざまな色彩を生みだす事の出来るフック織りは、緞帳の豪華さなどを損なうことなく、原画
 を表現できる。学校や小規模な舞台で使いやすい緞帳。

4、西陣別織地 
 四季折々の風情や題材をモチーフに織られた別織を緞帳に仕立てる。

緞帳機構方式の種類
1、引割式(開閉式)
  左右に引き分ける方式で、学校施設・体育館・公民館などの小規模公共施設に多く使われ
  る。

2、とばし上げ式
  フライズ(緞帳や各種吊物を収納する舞台上部の空間)の高さが充分にとれる舞台で、緞 
  帳全面をフライズ部分にそのままの状態で収納する方式。多目的ホールで最も多く採用さ
  れている方式です。

3、ドラムシャフト式 
  フライズが足りない場合の方式のひとつで、ロール式に捲き上げる方式。50cm程の心棒に
  巻き上げる為、小規模な舞台に適しホテルの宴会場などにも多くみられる。

4、たたみ上げ式
  フライズが足りない場合の方式のひとつ。緞帳を折りたたんで昇降させる方式。但し、昇降
  頻度によっては緞帳の折り目を傷める場合がある為、折りたたみに適した裂地を選ぶこと
  が必要とされる。

5、絞り上げ式
  フライズが足りない場合の方式のひとつ。絞り上げ度、位置などを変化させることによって
  表情のある輪郭開口をつくることができる。変形絞り上げ式もある。


舞台幕・諸 幕
舞台には、緞帳以外にもいろいろな種類の幕があり、各種の演出に必要な
吊物が設備されています。

1、ホリゾント幕
  舞台の最後方に位置する白幕で、アッパーホリゾントライトとローホリゾントライトを用いて 
  色をつけることにより、背景を演出する事ができる。その他、効果照明を当てる為の壁面 
  の役割も兼ねる。広い舞台では「中ホリゾント」が設営されることもある。

2、大黒幕
  同じく舞台の最後方に位置する幕で、背景に色つけをしない場合にホリゾント幕を隠して用
  いる。

3、水引幕(文字)
  舞台最前面の上部から吊り込んだ横長の幕。中央部には県や市のシンボルマークがつい
  ている亊もある。プロセニアムアーチのサイズを決め出す高さ調整機能を持つ。

4、袖幕(源氏幕、脇幕、見切幕)
  舞台の上手、下手の両脇に配置され、水引幕と源氏幕をもって対をなす。
  アクティングエリアと舞台の袖や脇舞台とを間仕切りし、 舞台に対して平行に設営され、控
  えている役者や装置を観客の視線から、 隠すことを目的として 設営される幕類を指して 
  いいます。 

  水引幕に同じく、引きひもによりプロセニアムアーチの間口サイズを決め出す機能を持つ。

5、暗転幕
  緞帳で幕つなぎをするのではなく、暗転状態を演出しながら、幕内では明転換をする場合 
  に使用する。通常、緞帳の次の位置に設置されており、場面転換中の舞台を観客の視線 
  から隠す役割を持つ。

6、一文字幕(水引幕、霞幕)
  舞台の上部にある吊物用の仕掛けや、照明器具を観客の視線から 隠すために、舞台上 
  部に設営される目隠し用の丈の短い幕を指していいます。 
  同じ幕を一部では水引幕、霞幕という名称で呼ぶ場合があります。 最近では、それらの幕
  の内、舞台最前面にあるものを水引幕、それよりも 舞台の奥にある幕を霞幕と便宜上、呼
  ぶことが多くなっています

7、見切れ幕(袖幕)
  上手と下手に対に吊り下げられる幕で、それぞれの幕で舞台間口を構成し袖中の見切れ
  を隠したり、控えている役者や装置を観客の視線から隠す。奥行感を出すための演出幕と
  しても使う。客席側から奥に向かって1袖、2袖という名称で呼ばれる。

8、見切れ幕(東西幕)
  舞台の手前から奥にかけて袖中に吊る幕で、舞台の間口が広く、前述の袖幕だけでは左 
  右の端の観客席から舞台袖が見えてしまうような場合に使われる。

9、引割幕
  舞台中ほどに位置し、通常開閉式の割幕として設営される。設営位置により、前幕、中幕、
  後幕と呼ばれ、各幕の舞台奥に別の装置などを仕込んでおき、すばやく場面転換をする時
  などに用いられる。舞台が広すぎる場合、中幕や後幕が大黒幕の代用になることもある。

10、スクリーン
  映画、スライド、OHPなど、映像投影用の白幕。上部巻き上げ式と下部巻き取り式があ  
  る。

【その他】
 常設幕以外にも、舞台演出等によりその他の幕類を使用することがあります。これらの幕は
 必要に応じて装備される特殊なものです。

1、紗幕
  白紗幕と黒紗幕(紺色も含む)があり、縫い目のない英国幕が主流。演劇やダンスの舞台な
  どで使用されることが多く、シースルーのガーゼ状の幕が透ける特徴を活かした演出に使
  われる。

2、道具幕(波幕、網代幕、浅葱幕、かすみ幕、雲幕)
  幕地そのものを大道具として使用したり、幕自体を動かしたりすることを目的としたもので、
  歌舞伎などで用いられる。波幕や雲幕は、そのものずばり波や雲海を表わす。 また、網代
  塀を模した網代幕、慶事を表現した段幕(紅白幕を横にしたような幕)などは、それらの幕を
  使うことで装置や劇的表現に多様な表情を添える為に用いられるものもある。 

3、背景幕(ドロップ)
  町並みや風景等ををキャンバスに直接書き込んでしまった幕。これらの幕を舞台背景に吊
  ることで、舞台装置となる。 背景幕は、木や鉄の美術装置と違い、持ち運びや設営作業が
  簡単で便利。 

4、揚げ幕(あげまく)
  能舞台における、鏡の間(楽屋)と橋がかり(舞台)とを分ける為の幕を揚げ幕と言う。単に花
  道の出入り口に掛けられる幕を指すこともある。「緑・黄・赤・白・紫」の5色で配色されてい
  ることが多く、この色や順により、流儀が異なる。

※幕には、9A〜11A、別珍、サージ、フェルト等の生地があります。

 
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