Robert Palmer


THE VERY BEST OF ROBERT PALMER


1995 EMI
1. Addicted To Love (US#1/86)
2. Bad Case of Loving You (Doctor, Doctor) (US#14/79)
3. Simply Irresitible (US#2/88)
4. Get It On (US#9/85)
5. Some Guys Have All The Luck
6. I Didn't Mean To Turn You On (US#2/86)
7. Looking For Clues
8. You Are In My System (US#78/83)
9. Some Like It Hot (US#6/85)
10. Respect Yourself
11. I'll Be Your Baby Tonight
12. Johnny & Mary
13. She Makes My Day
14. Know By Now
15. Every Kinda People (US#16/78)
16. Mercy Mercy Me / I Want You (US#16/91)


 ロバート・パーマーには無数の編集盤が存在しますが、現時点ではどれも決定版とは言い難いものばかり。1995年発売のこのディスクもどうにも中途半端な編集です。そもそも1枚で押さえようとすること自体に無理があるのかもしれません。かといって、"ADDICTIONS VOL.1" "VOL.2" と題されて発売されたひどくマニアックな編集盤には妙なリミックスが施されていたりして、まったくもってコレクター泣かせなのです。しかし、ある意味それもロバート・パーマーたる所以。このベスト盤も、曲の配列はぜんぜん時代順になっておらず、一聴すると非常にとっ散らかった印象を与えます。しかし彼のアルバムは毎回方向性がバラバラでしたし、アルバム自体も様々な曲調のものがごった煮になっていたものでした。ということは、これはこれで良しとすべきなのでしょう。

 とりあえず、このベスト盤でもざっくりとした流れを追うことは可能です。80年代洋楽ファンにとってもっとも馴染み深い曲のひとつ、彼にとって唯一の全米#1ヒットの「恋におぼれて」で幕を開け、70年代〜80年代初期に遡るヒット曲(2, 5, 7, 8, 12, 15) と、80年代後半以降の趣味的なヒット曲(3, 6, 11, 13, 14, 16)とをほぼ交互に聴くことができます。デュラン・デュランのメンバーらと組んで世界的に大ヒットした The Power Station の代表曲(4, 9)も収録。背広姿でポーズをとったブックレットカヴァーの内側にはデビュー作から94年の "HONEY" までの全アルバムのジャケット写真が並べてあり、アートワークにもこだわってきた彼らしいデザインです。とはいえ、全米チャート側からロバート・パーマーを聴いてきた身としてはこの英国編集では十分に満足できないのも事実。米国のみのヒット曲 "Hyperactive" (US#33/86), "Early In The Morning" (US#19/88), "You're Amazing" (US#28/91) などが漏れているほか、全部が全部シングルヴァージョンというわけでもないようです。個人的にはトッド・ラングレンの "Can We Still Be Friends?" をロバートのカヴァーで初めて聴いて非常に影響を受けた(当時はオリジナルかと思っていた)ので、ぜひ収録してほしかったところですが、この辺はまあファンの戯言ということで。

 本来シングルヒット型のアーティストではなかった彼は、"RIPTIDE" で大ブレイクしてしまった後も独自のスタイルを貫きました。ボディコンシャスなドレスに身を包んだ無機質な美女たちに囲まれたビデオクリップが話題になった"Addicted To Love"は忘れ難いナンバーですが、しばらくその路線で遊んでみたあとはしっとりジャズスタンダードを歌ってみたり、R&Bをカヴァーしてみたりと好き勝手に歌いまくり。はらはらしながら追いかけるファンたちの気持ちなどお構いなしに「いま自分は何に一番興味があるか?」を追求し続けたのでした。これだけ好きな音楽を演り続けた彼、まさか2003年9月に54歳という若さで帰らぬ人になるとは思いもしませんでしたが、ひょっとすると悔いのない人生だったかもしれません。ただ個人的には、一度その華麗なライヴ・パフォーマンスを観てみたいと思っていただけに残念なことでした。

***

 パワー・ステーションのツアーに参加しなかったロバートを、デュラン・デュランのサイモン・ル・ボンは「ロバート・パーマーはふぬけた腰抜け野郎さ」となじったと言われますが、今回の訃報にあたり、デュラン・デュランの公式サイトには次のような追悼コメントが寄せられていました。

 「今日、世界は本当に偉大なシンガー/音楽家を失った。彼は逝ってしまったけれど、書かれた曲の数々は、永遠に僕らと共にある。彼は僕らの世代のアイコンなんだ。彼は美学を大切にする男で、素敵な紳士であり善人でもあった。彼は僕が知る誰よりも、人生を最大限に、ハードに送っていた。ロバートは、必要とあればいつでも人に時間を割き、助けたり、アドバイスを与えたりしていた。つまり、彼は本当の友人だったんだ。
 僕達は今までに何度か楽しい時を過ごした。最後は7月の東京、ラッキーなことに僕は彼が一番好きなことをしているのを観ることが出来たんだ。タイトなバンドを従えてステージに立ち、美しい女性達に囲まれて熱狂的な観衆の前でブルーズを歌っていた。  "Addicted to Love"のビデオクリップでの彼を思い浮かべてごらん − 僕もそんな彼の姿を思い出すことにするよ。何故なら、それこそ彼が皆に覚えて欲しいと思っていた姿に違いないからね。」 −Simon LeBon

 ご冥福をお祈りします。

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