産業Night vol.6



 Kyon さんに声をかけていただいて下北沢Revolverでのイベントにちょくちょく出かけるようになりました。この 「産業Night」 でDJやらせていただくようになってから2回目ですが、今回も何人もの友人が遊びに来てくれました。茶屋さん、たいようさん、sekikoさん、nicolaさん、そしていつもの皆さん、どうもありがとうございます。

 楽しんでいただけたかどうかはアヤシイところですが、今回自分が担当した30分のセットの選曲を簡単に解説しときます。



<28 June 2002, 21:00-21:30>

1. "Word Up" - Gun
 ご存知 Cameo の86年全米6位の大ヒット。ALL TIMEでは65位という微妙な位置にランクイン。これを94年にまさかのハードロックアレンジでカヴァーしたのがスコットランド魂炸裂の Gun。当時耳が点に(?)なったのを思い出します。95年にシェパーズ・ブッシュ・エンパイアでライヴを見ることができたのですが、これがもうカッコ良かったの何のって。アルバム "SWAGGER" は中古市場価格500円前後かと思いますが、この飛び道具だけじゃなくてオリジナル曲もひどく充実したお勧め盤。

 本当は Cameo 版でかけたかったんだけど、ここはブラック好きの陽子さんを意識した選曲でした。


2. "Rock Me Tonite" - Billy Squier
 ビリー・スクワイアは実にカッコいい産業ロッカーで、いかにもB級っぽいダサんぎょう系楽曲を量産しています。誉めてるつもりなのに顔がニヤけてしまうあたりが彼の良さ、事実ふりーまん田中氏もこの後で "Everybody Wants You" (US#32/82) のライヴヴァージョンをかけてたくらいに産業Night狙い目なのです。以前 Diary に書いたことがあるように、確か彼はコンバースの役員の御曹司。どう身を持ち崩せばこうなってしまうのか。スクワイアの綴りには要注意。イエスの Chris Squire のそれとは異なります。


3. "Who Do You Give Your Love To" - Michael Morales
 これはもう機会あるごとに僕がお薦めしている大名曲、ALL TIME 118位に君臨するマイケル・モラレス先生最大のヒット曲なのであります。まあ、89年全米15位だけどな。テキサス州サン・アントニオ出身のシンガー・ソングライターで、一人で多重録音して作り上げた超カッコいいこの曲がスマッシュヒット。どうして15位付近で止まってしまったかは彼のルックスを見るとお分かりいただけるんじゃないかと(笑)。アルバムはレコファンなどで200円くらいで転がってますけどここは宝物にしてる日本盤CDシングルを持参。


4. "Don't Wanna Fall In Love" - Jane Child
 89年全米2位(ふりーまんさん、1位じゃないっすよ〜)の大ヒット。カナダはトロント生まれのジェーン・チャイルドは大人になっても名前が子供。本当に子供だった12歳でカナディアン・オペラ・カンパニーに参加して歌ってましたが、ある日突如としてロックに転向。爆発した髪型とノーズピアス&耳へのチェーンで度肝を抜いた彼女、この曲に関して言えば強烈にキャッチーかつヘヴィなダンス・ロックです。これまたアルバムは大量に転がっているのですが、何しろトップ40ヒットに関しては一発屋さんなので、これまた日本盤CDシングルを大切にしています。中間部のアレンジが素晴らしいっすよね。


5. "Now You're In Heaven" - Julian Lennon
 「えっ、ロバート・パーマーかと思ってたよ」 とは茶屋さんの弁。それある意味で正解。ご存知ジュリアン・レノンはデビュー盤こそ父親を思わせる繊細なメロディを聴かせてくれましたが、その後急にロック寄りになり、2nd からの "Stick Around" と、3rd からの "Now You're In Heaven" の2曲はアルバム・ロック・トラックスのチャートでなんと1位に輝いているくらい。まったく冗談のような話ですが、アルバムタイトルが "MR. JORDAN" というオチもサムい。
 ところでこのタイトルは父親ジョンの死に捧げるレクイエムかと思いきや全然違いまして、「僕に愛されてキミは幸せの境地にいるハズだね!」 というノロケ曲なのでありました。


6. "Round And Round" - Ratt
 しかしあくまで 「天国」=「死」 につなげて、ここより追悼コーナーに入ります。まずは先日AIDSで亡くなった、LAメタルの雄ラットのロビン・クロスビーに捧げるこの1曲。ラットはもう好きで好きでどの曲をかけたらいいのか困っちゃうくらいですが、一応最大のヒット曲であるこれを。
 彼らのソングライト・クレジットは最も作曲に関与した人から順番に名前が挙がっていて、それを見ると初期の楽曲の多くが Pearcy-Crosby のコンビを中心に作られたものであることが分かります。Crosby が最も前に来ているものに "REACH FOR THE SKY" 収録の "I Want A Woman" があって、ポップな曲調でお気に入りなのですが、チャートヒットではないので遠慮しときました。


7. "Them Bones" - Alice In Chains
 追悼第2弾はグランジ・ロック孤高の存在アリス・イン・チェインズ、出世作 "DIRT" の冒頭を飾ったこの曲を。確かにリフが7拍子だったり、不協和音チックなヴォーカルアレンジだったりするんですけど、あくまで分かりやすいコーラスときっちりしたギターソロ。サウンドガーデンにしてもニルヴァーナにしても、セルアウトとも言えるキャッチーなヒット曲があった中で、アリスにとってはこれがギリギリの妥協点だったのか。何年経っても色褪せぬ強烈過ぎるインパクト。


8. "Wildest Dreams" - Asia
 でもって最後を締めるのは産業プロデューサー大御所のマイク・ストーン。ジャーニーでも良かったのですが、ここは遠く英国にいて本日参加できなかった Kyon さんに捧げる意味でエイジアを。彼女ならひょっとすると "ALPHA""ASTRA" から選曲なさったところかもしれませんが、僕は 1st 「詠時感〜時へのロマン」 のB面冒頭を飾ったドラマティックな 「この夢の果てまで」
 ひとつのプログラムの締め括りという意味では、アルバムラストの "Here Comes The Feeling" も大好きで、どちらをかけるか本当にCDの再生ボタンを押す直前まで迷いましたが、最後は90年の中野サンプラザ公演の1曲目で僕らの度肝を抜いてくれたこっちを選んでしまいました。



 …てなわけで、今回もあっと言う間の30分でした。今夜もまた下北沢に小さな「幸福の連鎖」がつながっていったのだとしたら、選曲者としてこれ以上の喜びはありません。それではもし次回、産業Night vol.7 が開催されるようでしたらぜひまた皆さんとお会いいたしましょう。楽しみにしています。

(順序が前後しますが、vol.5 の時の選曲についても近々アップする予定です。しばしお待ちを…)


(June, 2002)

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