お薦め! The Tea Party


22 May 1995

 ここ2週間ほど、毎日のように聴きまくっているアルバムがあります。それは、

 "THE EDGES OF TWILIGHT" - The Tea Party

 こちらでは Kerrang! METAL HAMMER といった雑誌類でそこそこ取り上げられている彼ら、カナダ出身のトリオで、発表されたばかりのこのアルバムは "SPLENDOR SOLIS" に続くセカンドにあたります。

 音は、最も安易な表現を用いれば Led Zeppelin 的なハードロック。でも、そう一筋縄でいかないところが彼らの面白いところ。どこが面白いかというと、これまでの ZEP フォロワーが皆 Robert Plant を意識したハイトーンのヴォーカリストを立てながらも、結果としてはことごとく馬脚を晒して散っていったのに対して、この The Tea Party のヴォーカリストは The Doors の Jim Morrison を彷彿とさせる、実に量感のある低音を備えた深い声をしているからなのです。

 ただ、ヴォーカル/ギターの Jeff Martin は豪語します。
「ドアーズのレコードなんて1枚も持ってないぜ」

 生まれつきの声を誰かと比較するのはやめてくれ、ということなのでしょう。一見、顔つきまで Jim Morrison に似ていますが、声というものが声帯、さらには骨格に大きく依存することを考えれば、顔が似ていることと声が似ていることはむしろ当然のことかもしれません。Jeff Martin の深く低いトーンは、その他に Alice In Chains の Layne Staley や Soundgarden の Chris Cornell をも想起させてくれます。

 そしてサウンドのキーは、アルバム全編を覆う東洋的な妖しい旋律。摩訶不思議なギターリフに乗せて、深く、説得力に溢れた Jeff のヴォーカルが時に激しく、時に力強く歌いかけてきます。何でも、東洋の弦楽器やパーカッション類も含めて30種類以上の楽器を用いてレコーディングに臨んだということで、これはかなり本格的。Jimmy Page / Robert Plant のアルバムが東洋的なアプローチをこれまで以上に強調している時に、偶然かもしれませんがこの The Tea Party もオリエンタルなサウンドに目を向けているというのは、何だか不思議な気がします。

 とにかく全12曲、収録楽曲に一切手抜きなし、ドラムス&ベースも素晴らしい演奏を繰り広げるこのアルバム、文句なしにお薦めです。残念ながら日本盤はまだ発売されていないようですが、輸入盤で見かけるチャンスがあればぜひ!聴いてみてはいかがでしょうか。


November 2001 追記

 1995年の自分を決定づけるアルバムでした。この作品の衝撃は、今もまったく色褪せることなく自分の心に刻み込まれています。当時、かなり大騒ぎしてニフティサーブ(パソコン通信)のロックラインフォーラムに書きこみまくったのも、今となっては懐かしい想い出。実際にCDを手に取ってくださった方々から好意的なレビュウをいただいたりして、何だかとても嬉しかったものです。

 この後間もなく、さらなる衝撃を与える彼らの凄まじいライヴを体験することになるわけですが…


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