Diary -Mar (2) 2002-


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31 Mar 2002
Sunday

 昨日は上北沢駅近く、甲州街道沿いの「餃子館」というお店で餃子を食しました。中国人の夫婦が経営している小さなお店。すぐ隣には長浜ラーメンのお店があり、激しく顧客を奪い合っています。しかし、もし貴方が真の餃子通なら、迷うことなくこの「餃子館」へ。

 気の良さそうな店主が作る焼餃子と水餃子、具はいろいろな種類がありますが、いずれも絶品です。取り皿に酢を入れようとした瞬間にまた怒られてしまいました。「何もつけなくて大丈夫!」 そう、これは自らの餃子に絶対の自信を持つ店主だけに許されるセリフ。そしてこのお店に関する限り、真実以外の何物でもないセリフ。本当に餃子そのものの味が素晴らし過ぎて、いつまでも味わっていたいくらいに美味しいのです。水餃子も水にぷかぷか浮いてるんじゃなくて、さっと茹でたものを皿に上げて出してくれます。いわゆる日本の餃子とは微妙に異なりますが、ここでしか食べられない味。オススメです。

***

 今日は東京国際フォーラムで、元ピンク・フロイドのロジャー・ウォータースのライヴを観てきました。軽々しく文字にするのもはばかられる、真剣な演奏と歌に圧倒されて。ピンク・フロイドの長い歴史に、ソロアルバムを取り混ぜた2部構成・3時間の長丁場。30年以上ブレることなく同じスタンスで音楽を作り続けてきた表現者のプライドをまざまざ見せつける、凄いコンサートでした。あれで9,000円なら、決して高いとは言えません。

 スノーウィ・ホワイトのギターや、P.P.アーノルド、リンダ・ルイス(!)のコーラスなど、バックバンドもいいサポートをしていました。特にギタリスト陣がデイヴ・ギルモアのフレーズを丁寧にコピーしていたのが印象的。100人の村にも冗談で書いたものですが、本当にロジャーとデイヴが今でもいっしょにやってくれていたら、それはとても稀なことだなあと。分かっちゃいるけど、ないものねだりしたくなる3月最後の夜。



30 Mar 2002
Saturday

 昨日は下北沢の Revolver というお店で 『産業Night』 というイベントに参加。参加自体は11月末の前回に続いて2度目ですが、今回は声をかけていただいてDJ/選曲もさせていただきました。あとになって振り返ると、もっとああすればよかったなーという反省点がたくさんあります。

 でも、こんなこと言っちゃっていいのかどうか分かりませんが、やってる本人としては実に楽しませていただきました! ショボイ選曲にもいちいち反応していただいて。きっと参加者の皆さんが気を遣ってくださったのですね。本当にありがとうございました。他のDJ陣、Hatch さん、Massy さん、Kyon さんの選曲も相変わらずカッコよくて。次回はふりーまんさんの復活も楽しみにしています。

 さてさて自分のセットは21:30-22:00の30分間。こんな曲を並べてみました。

1. "Sleeping Bag" - ZZ Top (US#8/85)
2. "Poor Man's Son" - Survivor (US#33/81)
3. "Follow Your Heart" - Triumph (US#88/85)
4. "Souls" - Rick Springfield (US#23/83)
5. "Hold On" - Santana (US#15/82)
6. "Your Love Is Driving Me Crazy" - Sammy Hagar (US#13/83)
7. "Far From Over" - Frank Stallone (US#10/83)
8. "Our Song" - Yes (album cut from "90125" (US#5/83))

 ZZ Top のあざと過ぎるオーケストラヒット+シークエンサーでダサく導入、サバイバー&トライアンフという王道系産業でつなぎつつ、リック・スプリングフィールドで最もカッコいい曲のひとつ "Souls" でこぶしを握る。ちょっと哀愁入ったところでサンタナ産業時代の佳曲 "Hold On"、勢いでサミー・ヘイガーを挟んだらフランク・スタローン(シルベスターの弟ですね)が歌うカコイイ "Far From Over"へ。出典サントラであるシルベスター監督&トラボルタ主演「ステイン・アライブ」はまだ観てませんけど。カットアウトの激ダサ風エンディングに重ねたフェードインのイントロは本日唯一の非全米ヒット、イエスの "Our Song"。前向きな曲が多い彼ら、音楽讃歌であるこの楽曲もとても勇気付けられる1曲です。まあ、産業っぽいプロダクションと言えなくもないでしょ?

 そんなわけで関係者の皆様、どうもありがとうございます。
 これからもよろしくお願いしまーす。



28 Mar 2002
Thursday

 まあそんなわけで僕は来週から新たな職場に移るわけですが、残る人々にとっては今後の職務の分担などが気になるところ。午後から開かれた打ち合わせで概要案が発表され、「これってどうなのよ」と異論も噴出。組織とか仕事の割り振りなんてのは正解のないパズルみたいなものだし、ああ言えばこう言う輩が必ずいるもの。最初からベストのメンバーで組めるなら世の中のロックバンドのメンバーチェンジなんてありえない。まじありえないよ。

 そうじゃなくて。
 ちょっとご不満のあった様子のお姉さんからお誘いを受けて新宿にあるベルギービールの店でビイルを飲みました。1年間いろいろなことが起きた職場で席を並べたいわば「戦友」。これから気軽に愚痴れる相手がいなくなるな〜、とおっしゃってましたが多分何とかなりますよ。もの分かりの良い上司に恵まれれば。…ってそれがいちばん難しいことだったりするわけですけど。

 いずれにせよ、誰しも立ち止まってはいられません。毎日毎日、一歩でも二歩でも歩いていくしかない。後ろではなく、前に向かって。楽しいことがたくさん起こるに決まっている明日に向かって。



27 Mar 2002
Wednesday

 今日は人事異動の本人内示日。職場はいつにも増してそわそわと落ち着きがありません。ヒソヒソヒソ。コソコソコソ。午後4時の本人内示開始に向けて、午前中から皆浮き足立っているのです。

 さまざまなウワサが飛び交います。あの人があの職場に行くらしい。この人がその部署に来るらしい。で、自分はどの部署に行くんだろう? 僕らが想像している以上に、情報ってのは漏れるものです。いや情報なんて漏れるためにあると言ってもいい。漏れた情報を、どうやってつかまえるか。どうやって次に回すか。あるいはどうやって握りつぶすのか。あちこちで息詰まる駆け引きが行われます。

 ヒソヒソヒソ。
 コソコソコソ。

 そしてついに発表のとき。
 希望叶って念願の部署に異動する喜びに溢れている人あり、異動できずに大いに落胆している人あり。でもってそれらに関する情報がまた、あちこちを駆け巡る。

 自分は予め別部門への異動が内示されているので、その輪に加わることなく淡々とお仕事。お給料貰って勤めてるんだから当然でしょう? でも今日だけは他のみんなのハシャギぶりも大目に見てあげようよ。年にほとんど一度しかない大規模な人事異動。今日が過ぎれば、泣いても笑ってもまた1年間、与えられた部署でコツコツと仕事をこなすだけなのだから。たかが人事異動、されど人事異動。サラリーマンの宿命にして、年間最大のイベントのひとつなのです。



26 Mar 2002
Tuesday

 辻本清美代議士、辞任。
 自民党を本気で怒らせるとどういうことになるか、野党各党は思い知ったのではないでしょうか。「ムネオ」なる記号が週刊新潮の紙面を賑わせ、ヒール(悪役)として活躍したあたりまでは面白がって見てましたが、ここへ来てやっぱりいかがなものかと。ムネムネ。

***

 気のおけない友達と電話で何気ない話をしている間は心落ち着くもの。適当に振ってみただけなのに、彼女は高校生の頃の制服についてアレコレ語ってくれます。セーラーなんだけど、ジャンスカだった。アイビーソックスで。ふむふむそうなんだー。へええ。博多風焼き鳥って、キャベツ食べ放題なんだー。豚肉まで出てきちゃうんだー。会話のピンポンがいい感じに弾むと、何だか気分がいいのです。

「そういえばこないだ日記にアリー my ラブのスティング出演ネタがあったでしょ?」
「えっ。よく読んでるねー」
「そしたらさー、今日仕事中の休み時間に、後ろの方でしゃべってたのよ」
「なになに何だって?」
「男の人が女の子に説明しててね。『アリー my ラブにスティングが出演してたんだよ。これってすごいことなんだよ。うーんそうだなあ、志村けんの「バカ殿」に、矢沢永吉が出演してるくらいすごいことなんだよ!』 って」

 そ、そうなのか…?
 ていうか何をどう例えたらそういうことになってしまうのか。矢沢永吉フットワーク軽そうだし、スティングは映画によく出てるし、アリーにはスティング以外にもたっくさんロック/ポップスの有名人が出演しているので、ちっともすごくないと思うんだけどねえ。しゃべっていた人はあまりスティングのファンじゃなさそうだったということだし、いい加減な比喩もまあしょうがないとは思うけれど。

 いずれにせよ、電話ありがとうでした。
 今度飲みに行きましょう。その美味しそうな博多焼き鳥にでも、ね。



25 Mar 2002
Monday

 コーヒーが好きです。スターバックスが好きだと再三書いていますが、それだけではありません。自室でいただくレギュラーコーヒーも大好きです。濃いめ・薄めなど自分で味の調整ができますから。複数の豆をブレンドして適当に飲むこともできますし。

 でも、実はひそかに、インスタントコーヒーも好きなのですよ。たかがインスタント、されどインスタントです。馬鹿にするのは簡単ですが、どうしてなかなか奥が深いのです。例えば朝の出勤前。カフェオレを欠かしたことはありませんが、ただでさえ眠いのにじっくりレギュラーコーヒーをいれる時間などありません。それに、ミルクたっぷりのカフェオレにするのなら、インスタントコーヒーで十分。いやむしろ、インスタントの方が美味しいとさえ言えます。断言しよう、カフェオレはインスタントに限る。

 インスタントコーヒーといってもいろいろあります。高ければ良いかというとそうでもありません。むしろTPOに応じて選びましょう。

 例えば安売りの定番はネスカフェの Excella(エクセラ)でしょう。250グラムの大きな瓶で、西友で\698になることがあります(winter 調べ@仙川)。安ければ不味いか? ノンノン。エクセラはカフェオレには最適です。大きめのマグカップになみなみと注いだカフェオレを飲みたいなら間違いなくエクセラ。

 安さという点ならばAGF(味の素ゼネラルフーズ)の Blendy(ブレンディ)がありますが、個人的には好みません。どうも味の素っぽい味がするようで。気のせいに決まってるんですけど。この辺は完全にユーザの趣味の範疇ですね。

 さてインスタントコーヒー界の帝王として君臨するのはやはりネスカフェの GOLD BLEND(ゴールドブレンド)。高いだけのことはある。買ってきて蓋を開け、ピリピリと紙封を剥がして香りを胸に吸い込むだけで、クラクラしそうな素晴らしいコーヒーのアロマ。いやもちろんインスタントにしては、というレベルではありますが。他に様々なインスタントコーヒーを買ってはみたものの、これを超える香りにまだ出会えていません。これ即ち我がインスタントコーヒーの至上。ならばやはり、ミルクで割ったりせず思いっきりストロングなブラックでいただきたい。ソファにゆったりと腰を下ろし、部屋に香りをたっぷりと漂わせながら「ダバダ〜♪」と鼻歌を歌いつつ、違いが分かる男を演じきりたい。たとえ自分の部屋にソファなどなかったとしても。

 ちなみにwinter調べ@仙川によりますと、ネスカフェ・ゴールドブレンドの底値は約398円です。348円というのも見たことがあるような気がする。

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 明日のモーニングコーヒーは、どんな味になるんだろう?
 それじゃ、オヤスミナサイ。



24 Mar 2002
Sunday

 今日は砧公園でプチお花見。

 ときどき雲が出たものの、ポカポカ陽気で桜も満開、レジャーシートの上で食べる神戸屋キッチンのサンドイッチは美味しいね。流れる雲や、風に舞う花びらや、行き交う幸せそうなカップルや親子連れを眺めながら、時間はあっという間に過ぎ去っていくのでした。少し前まで本当に冬だったのかどうかも怪しいくらいに春爛漫、久しぶりに頭の中を空っぽにしてぼんやり落ち着いた時間を過ごすことができました。心から、どうもありがとう。

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 22日深夜のNHK アリー my ラブ

 2月2日の日記で予告しておいたとおり、スティングが登場。しかもロックスターである本人の役で。コンサートの時に2列目の女性に熱い視線を送りながら "We'll Be Together" (US#7/87) を歌ったところ、その女性(人妻)がその気になってしまい、夫婦関係に障害を来したとして訴えられたという設定。いかにもメチャクチャで。裁判(結局、証言録取⇒和解へ)そのものはちょっとどうでもよろしい感じ。夫婦役の役者もピーウィー・ハーマンだったり人気コメディアンだったりして微妙に面白いのですが、スティング役の日本語声優さんがそれなりに本人の声としゃべりを意識した吹き替えだったのが印象的でした。というか、そんなことしなくても良いよ、と思って原語に切り替えて見てしまったですよ。だってあのスティングの「声」なんですから。たとえどんなに髪が薄くなろうと、どんなに胡散臭い男だろうと、あの独特のかすれ気味の声には抗い難いのです。

 原語で見ていたら、例の「剣呑ですな」を連発する相手弁護士が法廷で conduct、comfortable、 counterproductive、committed といった "co-" で始まる語句を多用していて面白かったです。再び日本語に切り替えてみると、きちんと「こ」で始まる訳語に置きかえられていてこれまた感動。さすがにNHK、このドラマに関しては手抜きがありません。

 さてアリーはといえば、31歳の誕生日が実に憂鬱そうで。
 彼女は「幸福な結婚」願望を強烈に持っており、早くしないと卵子が衰えていい子供が産めなくなる、と日々焦っているわけです。いや日常的にはへんてこりんな訴訟や、同僚や自身の恋愛のゴタゴタに巻き込まれる中ですっかり忘れているわけですが、少なくとも年に一度はそのことを深刻に思い起こす日がきます。そう、誕生日。

 このドラマの視聴者層の大きな部分を占めるのは20代後半から30代のシングルの女性だと言われています。だんだん誕生日が来るのが嬉しくなくなるものかもしれません。鏡を見て新しいシワを発見しては落ち込むものかもしれません。ソロであっても、誰にも甘えたところを見せず、仕事もプライベートも充実した人生を送っている人もいますし、その逆の人もいます。本当に人は様々ですが、どれが良くてどれが悪いということはないのだから、自分で自分の人生の舵をしっかりとっていけばいいだけのこと。(それが難しいのですけど)

 アリーの場合、現恋人のラリー・ポール=ロバート・ダウニー・Jr. のことがどうも不安。結婚しようと言ってくれないし、バツイチでデトロイトに元奥さん&子供も残してきてる。「きっと私は捨てられる」という思いからノイローゼ気味。久々のダンシング・ベイビーまで登場しちゃう。

 でも結局はスティングが縁を取り持つわけです。それでこそゲスト出演者。和解後、アリーの誕生パーティを行っていた事務所地下のバーにラリー&スティングが登場。"Every Breath You Take" (US#1/83、「見つめていたい」)をアリーのために歌ってあげるわけですが。

 「ですが」と逆接にしたのは他でもない、この選曲。特に邦題の「見つめていたい」で書いちゃうと、ますますロマンティックな恋愛ソングという印象ですが、例えばここでも書いたように、この曲はフラれた相手に付きまとい24時間監視する病的なストーカーの独白。成就できなかった恋愛をひとつふたつ持ってる方なら(もちろん自分も)よく理解できるであろう心境とはいえ、この歌を捧げます、といって歌われて女性が嬉しい曲かといえばきっとそうではないはずなのですけれど。多少の粗相を許してしまうどころか、こんな曲を歌う男は即フラれても文句は言えません。まあ外野はゴタゴタ言うなってなこった。それはさておき。

 それはさておき、ロバート・ダウニー・Jr. の歌が上手かったのですよ!
 絶妙のハスキーヴォイスで。Take, Ache, Stake, Make などと韻を踏む印象的な歌詞を。スティングそっくりの物真似で。いやー本当に感心しました。さすがサタデー・ナイト・ライブ上がり、映画『チャーリー』でチャップリンの演技が評判になっただけのことはある物真似オタクぶり。スゴ過ぎ。途中から加わるスティング本人の朗々とした歌いっぷりにも貫禄を感じちゃいます。1983年、全米のみならず世界最大のヒット曲のひとつ。この大ヒットが、その後の彼の身の振りにもある種の影響を与えたはず。もう20年近く前のヒットになるんですね…

***

 果たしてこの20年で、僕は自分の生き方を確立してこれたのかどうか。どうも判然としませんが、少なくとも後ろを振り返らず前向きに生きる術は身に付けたようです。それだけでも良しとしよう。春爛漫の砧公園で、そんなことを考えながらお茶を飲みました。



23 Mar 2002
Saturday

 要約すると、組合と闘ったよ。

 ちょっと要約し過ぎましたか。ていうか始まる前に要約しちゃイカンね。
 実は2年前に転職した際に、職場の労働組合なるものから入会勧誘を受けたのですが、僕は拒否してしまったのです。そのこと自体はどうでもよいのだけれど(もちろん非強制)、知らない間に給料から組合費が引き落とされ続けていました。引き落とし名目は 「クミアイヒ」 などと素性を明らかにせず、その他諸経費の天引きに紛れて、こっそりと。1年半も。オーマイガッ。

 聞くと最近は労働組合の組織率はかなり下がっているようです。そりゃそうだ。ロクに交渉もできずに言われるままに給与カットを丸呑み。そのくせイベントがあると動員をかけられて休日がつぶれたり。まあ実際には世の中の景気がこうも悪いと、誰が組合やってようと多分給料アップなど勝ち取れないわけですが。少なくとも僕は勝ち取れない。

 勝ち取れないなら毎月の組合費だけでも返してもらおう。これで美味しいビイルを飲もう。ささやかな楽しみじゃありませんか。知らない間に組合費が引き落とされていたことに気付いた自分は、早速組合に対して自分が非組合員であることの確認と、遡っての組合費返還を求めました。

 しかーし!

 敵もさるもので、のらりくらりとかわして何ヶ月も交渉に応じようとしません。こんなところで交渉の粘り強さを発揮してどうする。ていうか交渉のテーブルにもつかないのは粘り強さでも何でもないよ。ようやく責任者をつかまえて事情を説明し、昨年12月の給与からやっと天引きが解消されました。よかった。これで多少美味しい食事+発泡酒くらいは楽しめそうだ。

 遡っての組合費返還交渉はさらに困難を極め、結局昨年12月から6か月分だけ遡って返還してくれることになりました。別にもうどうでも良かったんだけど、行きがかり上ね。すると先方、「申し訳ありません、6か月分+ソムリエセットをお付けしますので、勘弁してもらえませんか?」

 ソムリエセット??
 なんでも、最近の若者が組合加入しないため、加入者用にこんなノベルティグッズを用意して客引きしてるらしい。その余りモノっちゅうことです。正直、モノを増やすのは好きじゃないので、これはワイン好きの妹にあげちゃいました。とても喜んでもらえて、結果として各方面万事丸く収まったってわけです。人生は小さな喜びや楽しみの積み重ね。今日もいいことあって良かったな。マル。



21 Mar 2002
Thursday

 今日はすごい強風で、桜を見るどころではないかな、と思ってました。せっかく満開だというのに。でも結論からいうと、夕方に成城学園付近で綺麗な桜を見ることができて、良かった。風が収まるまでまったり過ごした喫茶店もいい感じでした。ちょっぴりココアっぽい不思議なカフェオレ。

 部屋に帰ってから長崎皿うどんを作ります。パリパリ麺の。12月になおさんからいただいていたお土産ですが、この1食分でおしまい。美味しかった。例によって具だくさんで。玉ねぎ・人参・キャベツ・シメジ・ちくわ・シーフードミックス(冷凍)などを入れてみました。大根とワカメのお味噌汁を作り、合わせて食べながら気付きました。今日はお昼も麺だったと。カルボナーラだったので、食材的にはそれほどかぶってはいませんけど。

 ちょっと急いで夕食を作ったのには訳があって。そう、フィギュアの世界選手権。男子フリーの生中継、テレビに釘付けでした。これまた結論からいうとヤグディンの圧勝。レベルが違い過ぎます。ジャンプの安定感はもちろんですが、表現力をアピールする部分では会場全体がぐぐーっと引き込まれてしまいます。本人も余裕たっぷり、雨あられの如く投げ入れられる花束。本田くんは銅メダルで、日本人男子25年ぶりとか騒がれてました。プルシェンコが出場辞退してなかったらどうなってたのかな?なーんてスポーツに「IF」は禁句。素直におめでとう。そしてより一層の精進を期待。次の舞台ではきっとプルシェンコも滑るんだから。しまった、禁句でした。

 ティモシー・ゲーブルのネクタイもアレですが、ロシアの貴公子はアブトでしょう。日本人ウケしそうなルックスで、ひょいっとすごいジャンプを跳んじゃう。やっぱり層が厚いなあ。女子の方もこれから楽しみです。



20 Mar 2002
Wednesday

 昨日書いたことに限らず、実は僕のテキストを貫く大きなテーマは既に他の人によって書かれてしまったことばかりです。それでも、こんなに広い地球で、その人の書いた言葉が僕という人間の心に響いたという事実を記しておくだけでも何らかの意味があるに違いない。そうでないならば、今日から僕はもう文章を書く必要がない。この人のこの本を読んでみてください、とオススメするだけで終わってしまうから。

 要するに昨日のテキストで僕が言いたかったことは、とっくの昔に千葉敦子さんがこんな言葉で言い尽くしていました。( 『寄りかかっては生きられない 男と女のパートナーシップ』 より引用)

「たとえ、どんなに貧乏をしようと、ひとりぼっちになって寂しかろうと、人間としての誇りを踏みにじられて中流の生活をするよりは…… 自分にとって本当に何が一番大切なのか、をよくよく……。外から見て、『幸せそうに見えること』 ことの方が、真に自分が幸せなことよりも大切なのかどうか。……あなたの人生はあなたのもの、誰がどう評価しようとも、あなた自身の評価が一番重要なのです」

 乳ガンで亡くなった彼女の本を、最近取り出してまたよく読み返すようになりました。僕の場合、本当に何度も読み返す本というのは実はそれほど多くはありません。千葉敦子さんの本は数少ない例外です。『ニューヨークの24時間』 『寄りかかっては生きられない 男と女のパートナーシップ』 『ニューウーマン』…。はっきりとした自我を持ち、淡々と仕事をこなしながら前向きに闘病生活を送った彼女の言葉は、何年経っても僕の心に響きます。どこかで同じような響きが聞こえたら、その共鳴を大切にしたい。ふと、そんな気がしました。



19 Mar 2002
Tuesday

 朝日新聞火曜日朝刊の「ティーンズメール」欄については以前も書いたとおり、ピーコの回が圧倒的に痛快です。今日も 「普通であること」 を強制する先生に反抗する高校生に対して、「そうだそうだ、先生が間違ってる!」 なんて絶対に言わない。「こんなことでくよくよしちゃだめよ。3年くらい我慢しなさい」。ピーコだとこうなっちゃうのです。確かに、学校を卒業して社会に出てからの方が妙な暗黙のルールがたくさんあるわけで。何が普通か、なんて議論はどうでもよいこと。自分自身の価値観をしっかり持つことと、社会の不文律のオカシサをおかしいと思えるココロを鍛えておくことこそが肝要なわけで。

 岸田秀の 「ものぐさ精神分析」 を久しぶりに読み返して頷いたり、本多勝一の 「大江健三郎の人生」 を読んで憤慨したりもしますが、どうでもよいような本もパラパラ読んでます。例えば中村うさぎの 「人生張ってます」。浪費癖で知られるブランド買いもの女王中村うさぎが、これまた波乱万丈な女性たちとしゃべり倒す対談集。この人たちはどうしてこんなにネタまみれの人生なんだろう。ちょっと羨ましいけれど、何事も起こらない静かな週末の時間の心地良さも知ってるから。本を読むだけで我慢しておくとしましょう。

 今読んでいるのは、職場で回ってきた 「鉄腕アトム」 の文庫本版。やっぱり手塚治虫は素晴らしいです。非人間を介して痛切に描かれるヒューマニズム。「ブラックジャック」 でも 「アドルフに告ぐ」 でもいいのですが、人間として忘れちゃいけない何か、しかも日常生活の中でしばしばどこかに置き忘れそうになってしまう何かを思い出すため、僕は時々手塚治虫のマンガを読む必要があるようです。

 ほんの少しだけ、スランプを脱出した模様。



18 Mar 2002
Monday

 久しぶりに食べ物ネタを続けてみましょう。
 今日の夕食はタイ風イエローカレー。無印良品のタイ風グリーンカレー/イエローカレー/レッドカレーのパックがお気に入りでよく買い置きしてあるのです。イエローは一応ベジタブルカレーという位置付けになっています。じゃがいも・玉ねぎ・人参の3種はたいてい用意してありますが、裏面の「作り方」に書いてあるようにマッシュルームやししとうが僕の冷蔵庫に常備されているはずもなく。とすれば適当にアレンジすべし。キノコはエノキダケで代用、ししとうは… 香味があって緑色のもので代用。ニラしかなかったけど。

 カレーってやっぱり偉大。具に何を入れてもそれなりに食べられるように仕上がる。究極の料理のひとつなのかもしれません。例によって汁ものをセット。今日は大根入りなめこ汁。何だかキノコづくしになってきた。

***

 ところで、「オトナのしりとり」 とは何か。

 それは、普通のしりとりとは逆に、「ん」 で終わる言葉でつなげるしりとり。例えば 「天丼」 であれば、次の人は 「どん」 で始まり 「○ん」 で終わる言葉を探さねばなりません。例えば 「ドン・ジョンソン」。マイアミ・バイスかよ。息詰まるしりとりの中、長くて意外なフレーズを考えついた人ほど称賛されます。ペンタゴン。原子力発電。電波少年。インビテーション。

 そう、そのインビテーションこそが詰めの一語なのでした。「ション」 で始まり 「○ン」 で終わる言葉は、ほとんどひとつしかないのです。そこで女の子に順番が回ってきたりするとなかなか辛いものがある、ということが分かってしまった首都高速の渋滞なのでした。BGMの浜崎あゆみは、ちょっとイタかったね。



17 Mar 2002
Sunday

 何にも起こらない日曜日もいいですよねー。洗濯して、布団を干して、部屋の掃除をして、のんびり新聞や本を読んだりして。BGMはちょっと懐かしい80年代ポップスあたりが心地良い。

 NHK教育で午後3時頃から放映されたイラン映画 『石油地帯の子たち』 を観ました。何度も書いているように今イラン映画は大変なレベルにあって、どれを観ても感嘆させられます。映像処理や完成度という点では多少荒削りなこの映画も、例によって貧しい子供たちの生活を淡々と描き出していました。冒頭の、石油パイプラインの上を全速力で走って登下校する子供の集団映像の迫力。子供の目から見た国営石油会社の不正。米軍基地の兵士の家族の豪華な暮らし(と対比される自らの極貧の暮らし)。ラストシーンはある意味でハッピーエンディングなのだけれど、タイミング的には間に合わなかった、という設定。でも主人公の少年はきっと、この経験を一生心に刻んで強く強く生きていくのだろうと思います。

***

 で、土曜日も何も起こらなかったかというとさにあらず。
 食べものの好き嫌いがほとんどない自分ですが、正確に言えば「嫌い」がないのであって、「好き」は多少あります。割と好きなもののひとつに餃子がありまして、土曜日は職場の同僚3人と一緒に宇都宮まで小旅行してきました。もちろん、餃子食べ歩きツアー。

 宇都宮と言えば餃子日本一の街。専門店も数多く、地元だけでなく各地からファンが集まります。この日はいくつか回りましたが、やはり有名店として知られる 「みんみん(本店)」 は別格の美味しさ。ゴタゴタ言わずに3種類しかないメニュー(焼餃子・水餃子・揚餃子)を食すべし。具も最高だけれど、このお店は特に皮が絶妙の柔らかさ&美味さ。お店の外に20人近く列が出来ているのを見ると圧倒されますが、並ぶだけの価値は間違いなくあります。

 みんみん(本店)のすぐ近くにある 「正嗣」 も個人的名店。ここは頑固オヤジが経営している小さなお店。焼餃子と水餃子(各170円)のいずれも美味しいのですが、なんといっても以前訪れた時にオヤジに怒られたのが忘れられません。長い列の後ろで待ってようやくお店に入れた僕は 「焼1水1」 とオーダーし、取り皿におもむろに醤油を注ぎ始めました。とその時オヤジが一喝!

「コラ! お客さん宇都宮は初めてだね。餃子ってのはなあ、そんなに醤油つけるもんじゃねえんだよ。ちゃんと餃子本体に、皮も具も美味さがあるんだ。最初の1個は何もつけずに食べてみて、それでも足りなけりゃちょっと酢をつけるくらいで十分だよ」 

 店内の通っぽい客たちはチラリと僕の方を一瞥するも、黙々と食べ続ける。確かにべったり醤油/タレをつけてる客はいなかった… 2度目の昨日はさすがに怒られることはありませんでしたが、やはりちょっとした緊張感が店内に漂っていました。小ぶりの餃子のパリパリした味わいは最強。頑固オヤジとの再会を果たせただけで、宇都宮まで足を延ばした甲斐があったというものです。

 帰り道に同僚の車の中で遊んだ 「オトナのしりとり」 についてはまた別途…



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