Diary -Aug (1) 2001-

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15 Aug 2001
Wednesday

 夏はやっぱりカレーに限る。そこでタイ風グリーンカレーを作って食す。

 手っ取り早いところで、無印良品からグリーンカレーの素が発売されている。4人前相当で200円のパッケージだ。独特のスパイシーなカレー粉も特徴的だが、何といってもタイ飯の味付けのカギは、ココナッツパウダーにある。これをぬるま湯で溶いてココナッツミルク状にするだけで、何ともいえない甘い香りがキッチンに漂う。

 パッケージ裏面の「作り方」には、必要な具材として「ジャガイモ、タマネギ、マッシュルーム、ししとう、鶏肉」が挙げられていたが、どんな具を入れてもその旨みをカレー粉が引き立てるのがカレーだ。というわけで、小ぶりのニンジンを加え、マッシュルームの代わりにマイタケを、ししとうの代わりに刻んだニラを放り込んで炒めてみよう。

 鶏肉はヘルシーなだけでなく、淡白な味わいも含めてとても好きだ。特にカレーに用いて柔らかく煮込むと、何ともいえない素晴らしい食感を得ることができる。もちろん、ビーフやポークでもきっとそれなりに美味しいグリーンカレーができるのだろう。だが今夜に限っては、絶対にチキンだ。

 十分に煮込んだグリーンカレーを、炊き立てのアツアツのご飯にかけて食す。

 本当は長粒種のタイ米、それもパサパサ加減のものが相性抜群なのだが、そこはやむなく日本米。もちろんカレーの美味さには何の違いもない。刻んだ赤唐辛子を振りかけて食すと、口の中に火が付いたように熱さを感じる。そしてその熱さが喉元を通って胃に落ちていく。ひどくエキゾティックかつプリミティブな感覚。

 自分の部屋がバンコクになる一夜。
 BGMはもちろん、Murray Head の "One Night In Bangkok" (US#3/85) だった。



14 Aug 2001
Tuesday

 「実は、私に相談を持ちかけてきた時点で、あなたの心の中ではもう答が出てるんですよ」

 その方がおっしゃった言葉は、まったくもって意外だった。というのは、他人に相談してアドバイスを仰いだり、体験を聞いたりする作業は、自分では答が見つからなくて、行き詰まってしまった時に助けを求める行為だとばかり思い込んでいたから。

 ところがそうではないという。

 人はまったく空っぽの状態で相談することはありえない。他人に相談する時には、意識的にせよ無意識的にせよ、実は「こういう風に答えてほしい、こういう風に背中を押してほしい」と思って相談するものだ。そしてもし自分がそれと異なる意見を述べたとしても、「でもね、そうは言ってもね、……なんだよ」と反論され、相手は言わせたい言葉が出てくるまで食い下がる。だから、相談を受けた時に自分にできることは実はただひとつ、相談者の心の中で既に出ている答を静かに探し、その人の背中をそっと押してあげることだけなんだ、というのです。

 既に心の中で答を出してしまった人は、たとえ自分が止めてもそう行動する。
 逆に、他人のアドバイスに曲げられて、自ら出した答のとおりに行動しなければ、その悔いは長く残る。

 さすが、透徹している人の言葉は重い。
 数年前に聞いた言葉なのに、それはいつまでも僕の心に深く刻まれているのです。



13 Aug 2001
Monday

 今日は久しぶりに遠出して、旧友と2人だけでビイルを飲みました。差しで話すのはいつ以来になるのかなあ? 彼の結婚式に呼んでもらったのはついこの間のような気がしますが、指を折って数えてみるともう何年も経っていました。それに、結婚式では話すこともできなかったから、その数年前に遡ることになります。

 音楽の話、家族の話、旧友の消息話…。話題は尽きることがありません。

 最後に、彼の専門領域で思い切って質問してみました。
 『昔から地球滅亡の本とか読んで気になってたんだけど… 「惑星直列」って地球に何か壊滅的な影響あるの?』

 彼はいつも通りにこやかに笑って答えてくれました。

 曰く、太陽は木星や土星と比較しても直径も質量も膨大なので、惑星が一直線に並んだとしても重力/引力の影響を受けるようなことはない。また、地球と太陽の距離を1とした場合、地球と木星の距離は4もあり、仮に重力/引力の影響を受けるとしても木星側に引っ張られることはない。そもそも各惑星の公転軸は多少ズレているので、完全に一直線に並ぶこともない。…せいぜい満潮時の潮位が2センチくらい高くなる程度かな、だって。ああ安心した!

 これが、今日わざわざ足を運んで彼と飲んだ最大の収穫だったかもしれない。でもこの収穫こそが欲しかったんだ。やっぱり持つべきものは友達。どうもありがとう。これからもどうぞよろしく。



12 Aug 2001
Sunday

 9日木曜日に靴のキズについて書きましたが、靴といえば。

 私は信じられないくらい気が散るタイプで、作業中でも常に3つくらい別のことを考えてしまう傾向があり、能率悪いことこの上ありません。集中力を高めようと思ってテレビやステレオを消して机に向かっても、PCのモーター音や、ひどいときには静寂そのものの音(のような気がするもの)で思考がすぐに中断してしまうのです。食事中や、お風呂に入っている間も、たいてい食事の味やお風呂の温度とはまったく関係ない事柄をいろいろと考えてしまっていることが多いようです。そういえば今日何食べたんだっけ?

 そんな私が集中してできる作業が日常生活に2つだけあります。

 ひとつは歯磨き。これはもう、毎食後発生する行為です。そしてまた、歯磨きしている間だけは、他のことを考えなくてすむ、至福の瞬間なのです。仕事のトラブルのことも忘れ、ドツボにハマった恋愛トラブルも忘れ、金銭トラブルもすっかり忘れ、ビデオの録画予約のことも忘れ、さっき何食べたかまで忘れて、ただただ数分間、ペパーミントの香りに包まれて歯を磨く。これほど空っぽになれる時間はそうはありませんぜ。

 もうひとつを除けば。

***

 そのもうひとつが靴磨きなわけで。(他に何だと思ったわけよ?)

 これはさすがに毎食後するわけにもいかず。もちろん毎日するのもかなり無理に近い。日々の手入れというか、ブラシをかけてシューツリーを入れる程度はやりますが。実際のところ、週末やなんかにまとまった時間がとれた時に、他に至急の用事がないことを確認した上で取りかかるべきです。

 作業は至って平凡にして単純。ブラシをかけ、クリーナーで汚れを落として、KIWIの靴クリームを薄く塗るだけです。黒い靴には黒のクリーム、茶の靴には無色(時に茶色)のクリームを。ここで焦ってすぐに磨きに入ってはいけません。しばらく放置するのが通(らしい)。放置プレイです。たいてい他にすることがないので、お気に入りのCDをかけながらコーヒーを入れるか、缶ビイルを1本飲むかして時間をつぶします。しかしここでプログレのCDをかけたりすると、1曲が25分もあったりして時期を逸し、取り返しのつかないことになります。お気に入りのCDコーナーにプログレものを置かないか、根本的にはプログレのCDを気に入らないようにする必要があるでしょう。(ていうかそんな心配が必要なのはオレだけだろ。)

 イイ感じに革に馴染んだクリームを、柔らかい布で軽い力をかけながら拭き取っていきます。この過程でこれまたイイ感じにつやを出すのがコツ。ちなみに柔らかい布は言うまでもなく伝線したパンストです。そうでなくてはならん。力強く断言します。伝線パンストを入手できない人はまず伝線パンストを生み出す存在を確保するところから始めよう。まるで佐野元春「グッドバイから始めよう」みたいでとてもイヤな響きだな。頼むからそこで野村義男の THE GOOD-BYE とか突っ込むのはよせ。

 そうこうしているうちに靴が仕上がります。人は間違いなく足元から見られています。本当にどうでもよいことなのだけれど、靴だけはキレイにしておいた方がいいのではないでしょうか。

***

 結論: 汚い靴履いてる女の子はどんなに可愛いルックスでもやめとけ。
 (おいおい)



11 Aug 2001
Saturday

 っていうかさ。

 ここまで読みが当たると、むしろつまんないワケよ。変化球のタイミングで待ってたのに、全然直球攻めで、かなり萎えるワケよ。もっとひねってほしかったワケよ。要するに。

 むしろピンと来たくなかったにも関わらず、今回かなり最初からピンと来てしまって「閉鎖プレイとはまたいとをかし」
と半ば風流を感じつつ、自分の掲示板でフラれても半ば無視しつつ、刻々と変わる閉鎖理由に腹を抱えて笑ってたワケよ。

 盛り上がるあっちの掲示板での騒動も抱腹絶倒モノで、あまりにも空虚な笑いをこらえるのに必死だったんだけど、リードミージャックが迫るにつれ自分の中でもネタが生まれ。もちろんそれは追悼プレイだったわけで。金曜に至ってはあらかじめあっちの掲示板にネタ仕込んどいたですよ。勤務時間中に。懲戒免職の危険を冒して(笑)。それだけの価値はあるプレイだと見込み。

 今回さあ、形式指定で来てたじゃん。
 で、恐らく大半は盲目的に従うんだろうなっつー読みがあって、逆に一発カマした日記を書けばこりゃ相当浮くことができるっつースジ待ちが可能だったワケよ。

 ヤツの掲示板に仕込んどいたネタ踏まえて、それなりにしめやかに擬似追悼してやった本音はやっぱ「ヤツのトップページで触れてもらえる可能性大」だったわけで。ある意味、これはヤレると踏んだ時に思いっきり追いこみかける合コン終盤のノリに近く。あ・うんの呼吸でラブホにシケこむ展開の如く。


 気が付けばヤツは見事にトップページリンク、膨大なアクセス数を運んで来てくれてカウンターがくるくる回りまくる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか? 笑いが止まらんオレはともかく、無理矢理連れて来られた皆様には多少同情もいたします。まあこんなサイトですが、よろしかったら今後ともご贔屓に。とりあえず洋楽好きには損はさせませんぜ。

***

 ヤツに「罪悪感」まで感じさせちゃって、こっちまでプチ罪悪感を感じる週末のひととき。あんなネタ仕込んで、やっぱオニです。オレは。取扱注意。オレに気をつけろ。

 っていうか、さっさとStone Temple Pilots ベスト盤企画」書きこみやがれ(笑)
 (今度ビイル飲みに行こうな)



10 Aug 2001
Friday

 日記なんてどれ読んでも同じだって。

 ある意味、これが彼にとっての墓碑銘 (Epitaph) になるのかもしれない。自分だってそう思っていた頃があったし、ネットに日記ページを作るなんて本当にトラフィックの無駄だと思いこんでいた時期もある。

 だけど、「彼」のサイトに出会ってからはその思考を変えざるを得なかったし、それはむしろ嬉しい体験だった。フリーであれだけ質の高いテキストを毎日書き発表し続けることがどれだけ大変なことか、多少なりとも文章を書いたことのある人なら誰だって分かるはず。

 でも辞めたい時に辞めなくちゃダメだ。僕はその点も全面的に支持する。理由なんか要らない。辞めたくなった。それが必要にして十分な理由だ。

 だから彼には静かにサビついてほしい。Rust in peace...
 さなぎの表面がボロボロになって、内側からまた新しい姿を見せてくれる日を待ち続けよう。毎日少しずつ形態を変えていくのは不完全変態。さなぎから成虫が出てくるのは完全変態。やっぱり後者こそが、彼には似つかわしいから。さよならは別れの言葉じゃなくて、再び会うまでの遠い約束。
 
 やっぱり日記なんてどれ読んでも同じだった。



9 Aug 2001
Thursday

 お気に入りの革靴にキズを付けてしまった。

 どんなに磨いてみても、いったん付いたキズが取れることはない。鈍く輝く周辺部の革との対比で、ますます目立つばかりだ。思えば、まったく自分の不注意だった。ほろ酔い加減で帰宅して、部屋に上がる前に玄関のゴミ袋をゴミ捨て場にちょっと持って行った帰りに、マンション駐車場の車止めコンクリブロックにつま先を引っ掛けてしまったのだ。

 どうして足元に注意しなかったんだろう。どうしてゴミなんか出そうと思ったんだろう。どうして今夜に限って1杯飲んで帰ってきたんだろう。そもそもどうして今日大事なこの靴を履いて出かけたりしたんだろう。

 どこまでも自分を責めてしまう。それがますます気分を滅入らせる。悪い循環だ。以前の自分なら、このまま一晩中でも靴を見つめながら愚痴っていたかもしれない。


 …でも、今はもうそんなこと思わなくなった。

 だって、形あるものはすべていつかは壊れるのだから。カラーのものはすべていつかは色褪せ、まっすぐのものはすべていつかは折れ曲がる。だから、靴だって歩けばいつか必ずキズが付くはずなのだ。それがたまたま今夜だっただけのこと。

 そう考えながら、シューツリーを入れて下駄箱に並べる。いつかあのキズも、いい感じにこなれて全体としての味わいを増していくんだろう。その日までしばらく、あの靴と付き合って履いていくことにすればいいさ。さて、明日はどの靴で出かけようか。

 そう、形あるものはすべて壊れる。壊れないのは形なきものだけ。心の中で静かに燃える気持ちだけ。



8 Aug 2001
Wednesday

 珍しい飲み会に混ぜてもらい、秋に某区議会選挙に立候補するという同い年の女の子や、某通信会社から某参議院議員の秘書に転身したという23歳の女の子としゃべる機会があった。

 自ら政治家にならんとする前者の女の子は、やはり口達者というかよくしゃべる。自分の意見はズバズバ言うし、他人も使えるものなら全部使っちゃうぞという、ちゃっかりした感じがあって、それも全然悪びれていないという… これから3ヶ月でどうやって戦うのよーとか言って暴れてたけれど、仕掛ける戦は全部勝ちに行くわよという強い思いを感じたり。恐るべしポリティシャン。まだだけど。

 一方の政治家秘書嬢は、見たところ極めておっとり型。「えー全然わかんないんですよー。今日は議会で巨泉見ちゃいましたよー」てなもんである。何となく受けた秘書公募に受かってしまい、2年もしないうちに最初の新卒採用会社を捨ててしまうのだから、一部においては労働力の流動化が進みつつあることは確かなようだ。

 問題は全然そういうところにあるんじゃなくて。

***

 すべての偶然は、実は必然だ。そんな気がしませんか?



6 Aug 2001
Monday

 今さらながら佐野眞一の『東電OL殺人事件』を読んだ。それこそあっという間に読了。

 被害者のOLのプライバシーや、彼女が渋谷円山町界隈で毎晩のように行っていた売春行為の特異性に関する記述にはほとんど興味がない。むしろゴビンダ被告を取り巻くネパール人コミュニティや、出稼ぎ環境、さらには冤罪(この事件がそうだと断定するわけではない)が生み出される可能性等に間する取材の様子に読むべき点が多かったように思う。

 雑誌連載をまとめて手を加え、単行本化したもののようだったが、ノンフィクションのルポにしては佐野自身の感情が入りすぎているように思える部分もあり、読後感は必ずしもすっきりしない。

 誰もが何らかの形で自らの存在証明を試みる。
 だが証明不能に陥ったとき、自分ならどうするだろう?

***

♪行け行けラブホテル / 行け行け愛を探しに
 行け行けラブホテル / 行け行け愛を探しに
 レッツゴー レッツゴー 円山町♪

 何年も前に、Flying Kids というバンドを渋谷の ON AIR で観た時のアンコール即興ナンバーの歌詞だ。会場の壁にもたれて腕を組んだままライヴを眺めていた僕に、ヴォーカリストは何度となく目をやり、何か言いたそうにしていた。それともあれは気のせいだろうか。

 終演後、愛を探しに行ったカップルがどれくらいいたかは知らない。だがこの渋谷ラブホテル街、円山町界隈で愛を交わす男女は1日平均5千組、人数にすると1万人にものぼるというから、ひと組くらいいてもおかしくはないだろう。

 彼らが愛を見つけることができたかどうかは、分からない。
 ラブホで愛が見つかるものかどうかも、今となってはよく分からない。


 ロイホよりは見つかりやすそうな気もするが。



5 Aug 2001
Sunday

 昨夜は数年ぶり?に下北沢でお酒を飲んだ。かつて通い慣れた街だけに愛着あり。でも通りに並ぶお店の様子はずいぶん変わっているような。昔は何とも思わなかった南口の混雑ぶりも、ちょっと苦手になったかも。いろんな意味で北口の方が好きかもしれない。これからは。

 飲んでる中でふと耳にとまった単語の響きがとても良かった。「ソロ」。こういうコトバを何気に口にできる男のセンスを高く買って、帰宅後 Hall & Oates のアルバム "H2O" のラストに入っている "Go Solo" をかけてみたけれど、こいつは相変わらずいただけなかった。リリース以来19年も経つのに一向に良くならない。むしろ STAR WARS のビデオでも流してハン・ソロの勇姿を見るべきだった。口直しに4曲目の "One On One" をかけて眠りにつく。

***

 今夜の晩ご飯は、祖母が送ってくれた田舎の食材を中心に組み立ててみた。

 まず、ゴーヤ(ニガウリ)、キャベツ、マイタケ、チクワを刻んでオリーブ油で炒め、溶いた玉子を絡めて火を止めてから胡麻油で和える。胡麻油の香ばしさが実に食欲をそそる。さらにすりゴマを多少振って醤油をたらしてできあがり。

 スープの具は大根と茄子で、コンソメベースにしてみた。マイタケとチクワの残りもちょっとだけ放り込んでダシの足しにする。

 ご飯のつけ合わせには、ラッキョウの漬物/梅干/ゴーヤのシソ&鰹節&砂糖(?)の浅漬け。いずれも祖母の手作りで、田舎風のとても素朴な懐かしい味がするものだ。

 ゴーヤを美味しいと思えるようになったのはいつ頃からだろう? 味の嗜好は確実に変化する。でも、だからこそ生きる楽しみがあるというもの。これから、どんな味のどんな食べ物に出会いながら生きていくのだろうか。ちょっぴりホロ苦い、大人的夕食メニューを食しながら、そんなことを思った。



4 Aug 2001
Saturday

 「結婚するなら、高潔なゲイがいいな」

 彼女の言葉はなかなか印象的だった。

 つまり、こういうことだ。恋愛して男と同棲すると、やれ浮気だのやれ借金だのと男はトラブルを引き起こし続ける。そこへいくと自分は別に肉体的にセックスなしでは生きられないわけじゃないのだから、無理に男と恋に落ちて一緒に暮らす必要があるとは思われない。とはいえ仮に結婚しなくてはならないとするならば、ゲイの男がいい。それも、高潔なゲイが。なぜならば、まず第一に彼らは女にまつわるトラブルを起こすことがない。さらに彼らは一般にキレイ好きで部屋を散らかすことがなく、音楽や映画の趣味も良くて話題には事欠かず、料理も上手だったりなんかして、極めてストレスフリーな共同生活を営めるような気がするからだ、という。

 ある種のステレオタイプに囚われている点は否定できないけれど、彼女が何を言いたかったのかは何となく分かるつもり。家族は「なる」ものではなく「する」ものだから。

 …そして数年後、彼女が結婚した相手は全然ストレートな男性だった。高潔かどうかは、よく分からなかった。風の便りによれば、2人はすこぶる幸せに暮らしているそうだ。終わり良ければすべて良し。だが終わりって、いったいどこが終わりなんだろう?



2 Aug 2001
Thursday

 こんなコトバが引っかかった。

 「守れない約束をすることと、守れないからと約束しないこと。
  どちらがより重い罪なのか。」


 多分、どちらも罪なんかじゃない。

 ただ、約束をした人も、しなかった人も、最後までそれを胸に抱えて生き続けるだけのこと。それで十分に罰を受けたことになる。きっとそういうふうにできている。

***

 金曜日になるのがこんなに待ち遠しい週は、いつ以来だろう?



1 Aug 2001
Wednesday

 仕事の関係でNTTドコモ本社にあるショールームを見学に行った。

 NTTドコモ本社は、山王パークタワーというビルに入っている。平成12年1月に竣功したばかりの新しいビルだ。しかも巨大。地上44階・地下4階の威容を誇る。一般にはNTTドコモが本社を構えていることで知られているのかもしれないが、自分としては以前も書いた某K社時代の同期の女の子が勤めているドイツ銀行が入っている印象的が強い。とにかく新しくてキレイなビルだ。

 地下鉄の溜池山王駅改札を出ると、すぐに山王パークタワー直結のエスカレータがある。これを昇ると、STARBUCKS COFFEE や、IRISH PUB DUBLINERS一番どりといった飲食店が並ぶ地下フロアを抜けて、ガラス張りで光が明るく差し込む、ひどくスペイシーな1階ロビーにたどり着く。

 ドコモの受付が27階にあるというので、ずらり6基並んだ同フロア直行のエレベータに乗り込む。これがまた巨大な代物で、ざっと見たところ40〜50名は乗り込めそうだ。しかも豪華絢爛。見回す暇もないくらいあっという間に27階に到着してしまう。

 降りるとさらに目を奪われる。ここはある意味展望フロアも兼ねていて、東京タワーの大展望台(真ん中くらいにあるヤツね)くらいの眺望は十分楽しめる。しかも無料。ちょっと食事をしようかなと思えば、この27階に日本料理の「春秋」というお店と、おなじみ中華の「聘珍樓」がある。BARも備わっていて、夜景を眺めるデートなんかに使われてるんだろう。ドコモ社員の。違うか。

 ドコモの受付は、エレベータを挟んでこれらレストランフロアの反対側フロア全体を占めている。とはいえ、受付嬢×2くらいの受付を想像してはいけない。何と、受付嬢は優に10名は並んでいるのである。しかも、10名でも全然捌ききれないくらいに訪問客がたむろしているのである。受付フロアとは名ばかりで、混雑した駅待合室のような、凄まじい雑踏。受け付けてもらえたとしても、ドコモ担当者はこのフロアで本当に自分を見つけてくれるのだろうか、と不安がよぎる。

 しかし受付嬢は「29階の "CLUB D" へどうぞ」と言ってドコモ専用エレベータを指差した。そしてたどり着いたその "MAGIC WORLD CLUB D" こそ自分の訪問すべきショールームであったわけだが、これがまた驚くべき代物だった。

 ショールームといっても一般開放用のものではなく、基本的には会社のエグゼクティブクラスを案内するためのスペースである。ここの受付嬢は一見してコンパニオンと分かる長身モデル体型+短いスカートのブルー系制服着用で、立ちポーズやお辞儀の仕方、しゃべりなどがまさしく「プロ仕様」。彼女らがずらりと4人並んで対応する様に、一瞬ひるみそうになるがここは構わず足を進めねば。

 豪華ミニシアター系のビデオルーム、FOMA(次世代携帯電話)実機をずらりと並べて実際に触って利用できるコーナーなど、NTTドコモの技術の粋を集めた、しかしながら通信の素人にも十分にハッタリをかませるすごいディスプレイが造り込まれている。一応、通信業界出身者としてそこそこに質問などしてみたが、コンパニオンお姉さんたちもまずまずの回答を返してきた。教育も徹底しているようだ。

 やっぱり、儲かってる会社は違う。ちょっと悲しいけれど、現実だ。93年の段階で、まさかこの会社がここまで成長するとは予想できなかった。これも悲しいけれど、現実だ。

 でも、今儲かっている携帯電話業界が、いつまで儲かり続けるかはまったく見えない。実際ドコモも契約者数は頭打ちになりつつあり、迷惑メール問題やFOMAのトラブル等でいろいろ叩かれている面もある。海外戦略もまだまだ未知数で、ひょっとすると外資系に足元をすくわれる可能性もないとは言えない。

 1ユーザという立場に転身したわけだが、通信業界はユーザスタンスから眺めていてもやっぱり面白い。これからも楽しみな世界ではある。

***

 早く帰ったので夕食をとりながらテレビを見ていた。NHK教育、19:30〜『英語でガーデニング』。司会の1人が… マイケル富岡だった。一瞬、MTVのVJをやってた頃を思い出す。なんだか全然変わんないね、彼。でも本名が「マイケル・シェリダン」だとは今の今まで知らなかった。シェリダン。


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